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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
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⑧-07-173

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数日掛けて次の街ムトゥルグにやってきた。

やはり高めの入街税を払って街に入る。

同じ国だから街並みも前の街アルビジェと同じだ。

風呂付の宿に泊まり明くる朝、冒険者ギルドに向かう。


「んー、臭いはしないな」

「そうね。アルビジェは外にも臭ってたからね」

「臭かったねぇ」

「えぇ」

「納品館があるから臭うのは仕方ないにしてもアルビジェは酷かったからな」


扉を開けて中に入る。


「すー、はー、すー、はー」

「まぁ、少しくらい?」

「そうだね、少し」

「許容範囲ですね」

「ギルドの指導の賜物だな」


受付に行き新規登録をする。

受付嬢が奥に引っ込む。


「菊池君。そわそわし過ぎ」

「だってぇ。新人冒険者が絡まれるイベントってやっと起きたから」

「期待しちゃ駄目だよ」

「そうですよ」

「まぁ、冒険者になって1年半くらいか。初めての新人絡まれイベントだったもんな」

「そう考えると南部は教育が行き届いていたわね」

「ここも一応南部だよー」

「境、みたいな感じですけど」

「お待たせしましたー」

「あ、どーも」

「はい。こちらがギルドカードになります」

「「「「ありがとうございます」」」」

「頑張ってくださいねー」

「「「「はーい」」」」


近くのテーブルにみんなで腰掛け、カードを見せ合う。


「マコル、マリア、マーラ、マヤ」

「カズ兄ぃ」

「マコルの分まで俺が面倒見るからな」

「うん!」

「菊池君はマリンからのマリアか」

「えぇ。そしてサーヤは、カーラからのマーラね」

「はい。マヌイは姉妹の頭文字ね」

「うん。ヤヌイの分もって意味で、最初だし」

「4人共最初が ”マ”か」

「偶然ね」

「マヌイの新たな門出としてよろしかったんじゃないでしょうか」

「そうだな」

「新しい国だし。最初の街はケチが付いたけど、ここから頑張りましょ」

「はい」

「うん!」

「よーし。依頼掲示板でも見に行くか」

「マイタケ居ないかしら」

「居たら良いなー」

「でも朝のラッシュは終わってますから良い依頼有りますかしら」

「まぁ僕等は採集がメイン・・・だ」

「どうしたの?」

「悪魔・・・討伐依頼出ていないだろうか」

「「「!?」」」

「出てるかも!探しましょ!」

「「はい!」」


「有りました!」

「「「どれ!」」」

「に・・・ひゃく・・・まん・・・だと?」

「ちょっと待って!討伐の報酬が200万エナよ」

「という事は?」

「悪魔の死体の買取は別に払われるのよ」

「えぇー!」

「高額が予想されるわね」

「魔石も今までで1番大きかったですからね」

「まぁ待て。悪魔を渡す事でこの先どう予想される?」

「うーん。ランクは間違いなく上がるでしょうね」

「今までも有ったね」

「有名になります、か」

「緘口令をお願いしよう」

「依頼を受けさせられる?」

「逃げよう。他には」

「んー。とりあえずはそんな所?」

「そうだねー」

「はい」

「じゃぁ、何かあったら逃げるって事で」

「簡単ね」

「何が起きるか分かんないんだし。起きたらそれでいいんじゃない」

「フォセンでもうまく切り抜けましたわ」

「危険は有ったけどね。よし、受けるか」

「「「はい」」」


受付カウンターに戻る。


「どーもー」

「はい。どうされました?」

「あのぉ、大きな声を出さないで聞いてもらえます?」

「?はい」

「依頼を受けたいんですけど」

「はい。どの依頼でしょうか?」

「討伐を」

「はい。討伐ですね~、ちょっとお待ちください」


受付嬢は冊子を取りだす。

多分依頼種別にファイリングされてるのだろう。


「はい。どの討伐依頼でしょう」

「大きな声出さないで下さいね」

「はい。承りました」

「悪魔です」

「はい?」

「あ・く・ま。悪魔」

「・・・はいぃー!?」


ギルド内に響き渡る声。

一斉に注目を浴びる一行。

一瞬時が止まる受付周辺。


「ブッ殺す!」

「ちょ、止めなさいって!サ、マーラ!」

「は、はい!カ、マコルさん!」

「カ、マコル兄ぃ!落ち着いてぇ」

「ももも申し訳ありません!」

「一回イわしたる!」

「何をよ、って、止めなさいって!」

「放しませんよー!」

「落ち着いてー!」

「どうした、何を騒いでいる?」

『!?』


その声に一瞬止まる5人。

奥から壮年の男が出て来た。


「またかー!」

「ちょ、止めー!」

「マコルさん、筋肉付きましたね」

「マーラ姉ぇが落ち着いちゃ駄目ー!」


隙を見て受付嬢はササッと壮年の男の後ろに隠れる。


「マスター!」


受付嬢の口から漏れる。


「やっぱりなー!やってやんよー!」

「ちょ、こらっ!」

「やります?やってやります?」

「駄目ー!マーラ姉ぇもー!」


受付嬢が男の耳元で囁いている。


「はっはっは。そうかそうか。それは悪かったねぇ」

『!?』

「私はここ、ムトゥルグの冒険者ギルドの長をしている。クエイドと言う。先ずは先ほどの部下の失態を詫びさせてくれ。申し訳なかった」

『!?』

「お、おうよ」

「盗賊みたいな口振り!?」

「別室で改めて話をさせてくれないかな?」

「うーん。面倒だな」

「そうね」

「そうですね」

「うーん」

「何もしないよ。話をするだけだ」

「『何もしないよ』って、悪い奴が誘う時に使う常套句だ!」

「罠よ!」

「罠ですわ」

「そこまでー?」

「はっはっは。随分疑われたものだ。ではこうしよう。別室は私とこの娘と君達だけ。いつ出て行ってもらっても構わない。どうかな」


(どうする?)

(罠の臭いは?)

(今の所は。恐らく2階だろう。いざとなったら窓から逃げればいい)

(フォセンでもそうでしたしね)

(そんな事あったんだ)

(聞くだけ聞くか)

(・・・任せるわ)

(お任せします)

(任せるよ)


「気に入らなければ出て行く。よろしいか」

「あぁ。構わない。ありがとう」


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