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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
171/706

⑧-05-171

2021年5月1日に第6章35話、通し話数129話で改稿を行いました。

主人公の背景設定の変更に伴う台詞の変更になります。

改稿による過去投稿分のストーリーへの影響は全くありません。


変更箇所を知りたい方は活動報告で。

⑧-05-171




アルビジェの街での滞在は1日で終わった。

北西に進路を取り次の街へ向かう。

途中の村には泊まらず野営で過ごす事にした。

テントを張って焚火を囲み食事をする。


「流石に北部の夜は寒いね」

「ホントね。《頑健》君があっても堪えるわ」

「私まだLv1だから寒いよ」

「私はまだ大丈夫ですわ」

「「「いいなー」」」

「次の街が過ごし易かったら寝袋を作るか」

「寝袋かー。良いわね」

「「寝袋?」」

「寝てる上に毛布を被るだけじゃ寒いからね」

「文字通り袋に入って寝るのよ」

「「へー」」

「素材をどうするか・・・」

「大熊の毛布と敷物はこのままで便利なのよね」

「そうですね。昼とかちょっと座る時とかに」

「新しい素材か・・・あくまの」

「「「ぜってーやだっ!」」」

「呪われそうじゃん!」

「悪魔だよ!?」

「悪魔ですよ!?」

「くっ!流石の女3人の圧力!」

「この辺の素材で良いんじゃない?寒いんだし丁度良いのがあるわよ」

「そうですよね」

「それで良いと思う」

「羽とかマジックアイテムに加工したら空飛べたりして」

「「「・・・」」」

「そ、それは・・・」

「うーん。ちょっと惹かれるかも」

「飛んでみたい・・・かな」

「そうだろう、飛んでみたいだろう」

「「「・・・う、うん」」」

「飛ぼうよ、飛んでみちゃおうよ。君達」

「飛んで・・・みる?」

「みちゃいます?」

「ちょ、悪魔の囁きよ!聞いちゃ駄目!」

「「はっ!」」

「ちっ」

「危なかったわ」

「誘惑に負けそうになるとこだったよ」

「悪魔は駄目ですよ」

「はいはい」

「・・・諦めてないわね、この男」




食事も終わり辺りも暗くなった。


「・・・マヌイ」

「ん、何?」

「世の中の男は皆が悪い奴ばかりじゃない」

「ど、どうしたの」

「そこは知っておいて欲しい」

「うん」

「みんながみんな、悪い奴じゃない」

「・・・うん。クルト様も治癒魔法ありがとうって言ってくれた」

「男は全員性欲がある」

「・・・うん。カズ兄ぃも?」

「勿論だ。コントロールなんだ」

「コントロール」

「みんな欲望をコントロール出来なければ商売なんて出来ないだろ」

「うん。盗賊ばっかりになっちゃうね」

「そうだ。欲望を抱くのは普通なんだ。問題はコントロールなんだ」

「うん」

「これからもマヌイは男の醜い面を見ていく事になるだろうが」

「うん」

「それが男の全てじゃないのを分かって欲しい」

「うん」

「コントロール出来ないヤツはケダモノだ。獣に容赦する必要はない」

「うん」

「・・・そういう訳で、お客さんだ」

「「「!?」」」

「用意をしてくれ」

「分かったわ」

「うん」

「分かりました」




パチッ


4人で囲んでいる焚火の火が爆ぜる。


「そろそろ出てきたらどうだ?寒いだろう」


焚火の灯りの届かない闇から影達が出て来る。


「へっへっへ。よく分かったね兄さん」

「伊達に冒険者やってないからね」

「そうかいそうかい」

「で、何か用か」

「いやぁ野宿しようと思ったらさぁ灯りが見えてね。火にあたらせてもらおうと思って」

「それ以上は近寄るなよ」

「おっと。小刀なんか向けねぇでくれよ」

「お前らも同業者だろう。用心するさ」

「火にあたりたいだけだって」

「だけなら自分達で火を熾しなよ」

「みんなであたった方がいいだろう?」

「4人用の小さな火に全員はあたれねぇよ」

「・・・そりゃーまぁ」

「ウチは女3人の所帯でね。用心に越したことはない。余所へ行ってくれ」

「そんなつれねぇ事言いっこ無しだぜ」

「確かにそちらの連れは多そうだな」

「・・・へっへっへ」

「尚更この火は小さいだろう」

「順番にあたりゃぁいいのさ」

「僕達の火だ。僕達が凍える必要はない、だろう?」

「冒険者は助け合いだぜ、兄さん」

「同感だな。じゃぁ助けて欲しい」

「何をだい?」

「お前らの後ろにいる奴らを追っ払ってくれ」

「・・・」

「どうした?助けてくれないのか?」

「あー、もう。バレてるぜ!」

「くそっ!勘の良い野郎だ」


奥から更に影達が出て来る。


「いよぉ。どっかで見た顔だな」

「てめぇ!今朝会ったばかりだろうが!忘れたとは言わさねぇぞ!」

「忘れた。言っちゃった!わはっ」

「て、てめぇ!」

「言わさねぇとか言いながら何も出来ないんだ、ねぇ、どんな気持ち?」

「くそがっ!ブッ殺してやる!殺して女はまわしてやる!」

「まぁ、待てって。兄さん。武器を捨てて素直に殺されりゃぁ楽に死ねるぜ」

「ホントか?」

「お?お、おぉ!嘘は言わねぇよ」

「じゃぁ、断れば楽に殺さないんだな?」

「な、そ、そうだが」

「そうか。ミキ、マヌイ」

「「《風刃》!」」


ザクザクッ


男2人の足が切断される。


「ぐあっ!」

「ひあっ!」

「な、何だ!?」

「なるべくなら殺さないようにね」

「「「了解!」」」


ドッドッドッドッドッドッドッドッ


『ぐぎゃああぁぁぁ!』

「な、何だ!?クッ、クロスボウがなんで!?」

「知るか!相手は遠距離だ!突っ込め!」

「うおおおおぉぉ!」


ガクッ


「うおっ!」

「なっ!」


男達が《罠》に足を取られ躓く。


「くそっ!罠だ!」

「足元に罠があるぞ!」

「見えねぇぞ!」


《隠蔽》してるからね。

足元を気にしてる間にも男達は射抜かれていく。


『ぐああぁぁ!』


12人居た男達は最初の男と今朝の男の2人だけになった。

残りは地面に転がって呻いている。

麻痺が効きだしたのだろう。


「ありゃー、もう2人だけか。拍子抜けだな」

「くっ、くそっ!」

「クソはおめぇの体臭だよ。酷いぞ。ここまで臭う」

「うるせー!」

「な、なぁ、あんた」

「うん?」

「助けてくれよ」

「な、て、てめぇ!」

「大体おめぇが原因なんじゃねーか!あいつ等に絡まなけりゃこんな事にはならなかったろーが!」

「う、うるせー!腹の虫が収まるかよ!」

「てめぇの虫ごときで死んで堪るかよ!」

「くっ!」

「なぁ、あんた、殺さねぇでくれたら有り金全部やるよ」

「その必要はない」

「えっ!?」

「お前を殺せば有り金全部いただけるからだ」

「ま、待て!」

「お前らホントに頭悪いな」

「待ってくれ!頼む!殺さねぇでくれ!」

「勝手じゃないかい?楽に殺すとか殺さないとか言ってた奴が」

「あ、謝る!この通りだ!なっ、頼むよ!」

「殺そうとしたのに謝まれば許されると思っている君の馬鹿さ加減に憐憫の情が湧いてきたよ」

「頼むよ・・・」

「遠くから、えっちらおっちら這って来る魔幼虫を見てる様に感じる」

「頼むから・・・」

「みんな。僕達は殺さない、それでいいかい?」

「はぁ~。もう何考えてるか分かってるし・・・良いんじゃない」

「まぁ、カズ兄ぃがそう言うんなら」

「良いですわ」

「そういう事だ。良かったな」

「ほ、ホントか!?ホントに殺さないんだな!?」

「あぁ、僕達は殺さないよ」

「う、嘘吐くなよ。嘘吐いたら」

「あー、もうめんどくせっ、サーヤ君」

「はい」


ビシュ


「ぐぅ!こ、殺さないって!」

「急所外してるだろ」

「う、うぅ・・・」


「お待たせ。君の番だ」


今朝の男に近づく。


「くっ!ころ「言わさねーよ!?」!?」

「めんどくさいな、マヌイ」

「うん」


ビシュ


「ぐぅ・・・」


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