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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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「3人を連行しろ!」

「はっ!」


奥方とお嬢さんは担がれて連れていかれ、

ハグデル伯は立てないのか両脇を支えられ連れていかれた。


「マヌイ大丈夫?」

「何もされませんでしたか?」

「・・・うん。大丈夫」


「いや、良かったですね閣下!」

「うむ」

「・・・中々の茶番でしたな」

「これもアルゴ君のお陰だ。良くや・・・どうした?」


俺は金庫の中の大きな袋を凝視していた。


「先輩?おーい」

「アルゴさーん。どうされましたー?」

「アルゴー?」

「エチルは何を見ているのだ?」

「・・・収納袋ですな」

『!?』


クルトさんが金庫から収納袋を取りだす。

俺の視線は収納袋にくぎ付けでその後を追う。


「どうしたのだアルゴ君」

「・・・収納袋は初めてなのでは?」

「せんぱーい!」

「アルゴさーん」

「はぁっ!?」

「気が付いた?」

「どどど、どーしたみんな?」

「聞きたいのはこっちよ!」

「収納袋を見るのは初めてかね?」

「しゅしゅしゅ収納袋って言うんですかー、ふーん」

「いや、魔導具図鑑で見て知ってるでしょ」

「へー、ほー、ふーん」

「欲しいのか?エチル」

「べべべべべべべーつにー!」

「ハグデル伯よりも動揺してるな」

「・・・恐らくこの中にも何らかの証拠や財貨が入っているものと」

「そうだな。よし回収して保管しておけ」

「はっ」

「かい・・・しゅう、だと?」

「ほら!先輩!凝視しない」

「護衛任務承りました!」

「ちょ、何言って!おーい!カーラ、後を追って!」

「は、はい!アルゴさーん」

「全く・・・申し訳ありません」

「はっはっは。いつもの彼らしからぬ態度だったな」

「もう、恥ずかしい」

「いや、しかし良くやってくれた。あの様子なら自白も取れるだろう。ティラミルティとの関係も解明出来るかもしれん」

「でしたら良かったんですけど」


「マヌイさん」

「は、はい」

「気持ちはどうかな?」

「・・・・・・奥さんやお嬢さんが・・・」

「うむ。しかし貴族は人民の上に立つ身。その責任があるのだ」

「責任」

「うむ。知らなかったではすまされない。妻や子供の為ならばこそ罪を犯してはならなかったのだ」

「・・・・・・はい」

「時にマヌイさん」

「はい?」

「もし良ければ軍で働く気はないかね?」

「えっ」

「ヤヌイさんと同じ犠牲をこれからも出さないように、我々と働いてみないかな」

「・・・・・・」

「返事は今でなくて構わない。後日聞かせてくれ」

「・・・・・・はい」

「うむ。証拠品を残らず回収して撤収だ」

「はっ」




「で、結局証拠品保管庫まで行ったと」


宿で正座させられていた。

ハグデル伯一家はバレンダルで簡易に取り調べを受け王都まで連行される。

保護の必要が無くなって自由の身になった。

マヌイはタリルコルさんの所に。

僕達は宿に。

マヌイとはまだパーティのままだ。

軍がバレンダルに駐在している。

しばらくこのままの方が良いだろう。


「保管庫の警備員に止められたんですよ」

「全く、恥ずかしいわ!」

「だってー」

「そんなに欲しいならタリルコルさんに聞いてみたら!?」

「そ、そうだな!」

「それで。これからどうします?」

「うーん。ネムリマイタケを殺すか」

「うーん。そうね。ここ最近全く収入無いもんね」

「そうですね」

「宿代や食事代は掛からなかったとはいえよ」

「じゃぁ明日からでも?」

「そうだね」

「そうしましょう」

「はい」




翌日。

久しぶりに狩りに出かける。

3週間近くぶりだ。

もう11月も終わる。


「平凡な日常は久しぶりだな」

「魔物狩りが平凡な日常とは思わないけどね」

「寒くなりましたね」

「あぁ。サーヤ君の冬着を買おう」

「そうね。冬用を買っておきましょう」

「ありがとうございます!」

「セクシーなの買おうぜ!」

「ねーから!冬用に、んなもんねーから!」


ネムリマイタケの納品でビグレット商会に向かう。

納品を終えるとタリルコルさんが話があると言う。


「マヌイが顛末を教えてくれたのだが内容は教えてくれんのだ」

「なるほど、実はですね・・・」

「えっ!?言っちゃうの?」


俺は話した。


「ブフー!なんとそんな事が!」

「アルゴ!大丈夫なの!?」

「バレたらタリルコルさんも共犯だな」

「そうだな。漏れないようにしないといかんな」

「うん」

「なるほど、詳しく話せなかった訳だ。すまなかったな」

「はぁ~、察して欲しかったですよ」

「もう!」

「はっはっは。しかしこれで獣人への差別は収まるだろう」

「・・・無くなる。訳じゃないのね」

「差別は無くならないよ」

「・・・そう」

「それじゃ僕達はこれで」

「待ってくれ。もう1つある」

「?何か?」

「マヌイ」

「・・・うん」

「どうした、マヌイ」

「うん・・・」


タリルコルさんの目を見るマヌイ。

頷くタリルコルさん。


「私を正式にパーティに入れて欲しいの」

「「「!」」」

「・・・つまり僕達と旅に出ると?」

「うん」

「でも。そうしたらタリルコルさんや村の人達と離れる事になるわよ」

「うん」

「辛いのだそうだ」

「辛い?」

「村人を見るのが。マコル達を思い出してしまうと」

「・・・」

「そう」

「駄目だ」

『!』

「先輩!」

「アルゴさん!」

「アルゴ君」

「・・・やっぱり。パーティを、みんなを危険に晒したから?」

「・・・いや。いや、そうだ」

「・・・そっか」

「先輩!あれはどうしようもなかったのよ!」

「そうです!アルゴさん!」

「僕達は冒険者だ。命を懸けて金を稼ぐ。マヌイには荷が重い」

「・・・」

「先輩言ったよね!欠点はメンバーで補い合うって!」

「そうです!私達が支えれば良いじゃないですか!」

「・・・しかし」

「先輩。マヌイは若いわ」

「そうです。22才ですよ」

「若い人は失敗するものよ」

「あぁ。しかししてはならない失敗が有る」

「そうね。マヌイはしてしまったわ。取り返しのつかない失敗を」

「うぅ」

「でもマヌイは生きてるの!やり直したいのよ!責任が有るって言ったの先輩よ!」

「ここに居てはその責任に押し潰されてしまうかもしれませんわ!」

「ワシからも頼む。アルゴ君、マヌイを連れて行ってやってくれ」

「・・・」

「ヤヌイは旅に出たいと言っていた。マヌイに見せてやってくれないか。この世界を」

「・・・泣き言は、」

「言わないわ!」

「言って良いんだ」

「えっ」

「泣き言も、悩みも、全て吐き出し合うのがパーティだ。マヌイに出来るか」

「うん」

「引っ込み思案でヤヌイの陰にいたマヌイが、俺達を信用出来るのか」

「できるよぉ」

「森にトイレなんて無いぞ。俺の前で出来るのか」

「できるよぉ!」

「やるならもっと離れてやれ」

「どっちなのよぉぉぉ」

「いきなり魔物は狩れない。明日から教習だ」

「うん」

「俺達は宿で寝る。マヌイは最後にここで泊まっていけ」

「うん」

「俺は帰る」


俺は宿に向かった。


「もう。全て吐き出し合うのがパーティだって言ってたのに、泣いてるとこ見られたくないのよ」

「アルゴさんらしいですわ」

「うん」

「私達が支えるから。がんばりましょう」

「えぇ。ヤヌイさんの分まで。幸せにならないと」

「うん」

「ありがとう。よろしく頼みます」

「はい。任せてください」

「それではマヌイさん、また明日ね」

「うん!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公のパーティは「レイプ被害者の会」になっていくのかな
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