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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-22-152

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数日後の食事中。


「む」

「どうしたの?」

「ファーダネさん達が領主の館に向かったな」

「いよいよか」

「何でそんな事が分かるの?」

「ふっ。魅力的過ぎるからな」

「デザートも食べなさいよ」

「甘い物は村には有りませんからね。今食べとかないと」

「うん。ありがと」

「うぅ、デザートが甘酸っぱいな」


「む」

「どうしたの?」

「何やらトラブってるようだ」

「まさか抵抗を!?」

「行ってみるか」

「えぇ」

「はい」

「私も行く!」

「一応リーダーは僕だ。指示には従えよ」

「うん!」

「よし、行くぞ」

「「「はい」」」




領主の館の外周玄関に近づくと、玄関は討伐隊の隊士が警護していた。

その奥の館にも警護の隊士がいる。

そこに居た隊士が僕達に気付き近寄って来た。


「やぁ、エチル殿。お久しぶりです」

「あなたはいつぞやのウルマン様の隊の」

「えぇ。ロブ・ゴブリンで世話になった時の者です。副小隊長に任命されましてな」

「ご出世、おめでとうございます」

「いえ。これもあなた達にお逢い出来たからですよ」

「切っ掛けに過ぎません。全てあなたの普段の行いの結果ですよ」

「ありがとうございます」

「それで、どうしたのです?何やら怪しげな雰囲気ですが」

「流石ですな。少々込み入って来まして。どうぞ敷地内へ。おい、通していいぞ!」

「「はっ」」


外周玄関を通され館までの道すがら。


「領主を逮捕に向かったんですが拒否しているのですよ」

「拒否!?出来るものなのですか?」

「それがハグデル伯爵、オーレ家は王国建国以来の名門でしてね。逮捕は不当だの国王様の許可が必要だのでゴネているのです」

「国王様の許可が必要なんですか?」

「いえ、勅令を受けた討伐隊ですから。しかし・・・」

「盗賊討伐の勅令であって、貴族の逮捕の権限は怪しいと」

「左様です」

「しかし証拠が有るでしょう」

「偽造と突っぱねてるのですよ」

「偽造って」

「えぇ。魔力反応でまず間違いないので言い逃れ出来ないんですが」

「時間稼ぎでしょうか」

「時間稼ぎ?」

「国王様に逮捕の許可を待ってる間に逃亡、または証拠を焼き捨てる等の強硬手段を取るとか」

「なるほど。有り得ますな」


「全く!話にもならん!我がオーレ家は代々王国の寵愛を受けて来た家柄。何故盗賊などと組まねばならんのか!」

「それをお聞きしたいですね、伯」

「ならばそれを立証するのが君の仕事だろう!ファーダネ卿!」

「ですからこの証拠が」

「そんなものはでっち上げだ!」

「あなた」

「お前は黙ってなさい!」

「お父様」

「大丈夫だ。私が守ってみせる」

「獣人を犠牲にしてもですかな」

「な、何を言っておる!」

「まさかティラミルティと繋がるとは」

「だから!でっち上げだ!」

「王都で申し開きなされよ」

「陛下の勅許を持ってこい!」

「恐れ多い。このような些末な事で陛下を煩わせる事はありません」

「な、何だと!?」


「なるほど。滅茶苦茶ですね」

「えぇ」

「何が何でもこの場を切り抜ければ、後でどうにかなると思ってるのでしょう」

「全く」

「うーん」


要は証拠がハグデル伯の屋敷からも出ればグウの音も出ないだろう。

そして先に渡した書類と同じ魔力反応が屋敷のある一室から感じられる。


「どうしよう。私が幹部を殺したから・・・」

「大丈夫だ、マヌイ。君は悪くない」

「でも幹部が生きてたら証人で・・・」

「大丈夫だ。任せろ」

「え」

「ヤヌイの仇だ。必ず殺す」

「アルゴ」

「先輩」

「アルゴさん」


俺は屋敷に入る。


「あっ、エチル殿!」


「どーもどーも」

「何だ貴様は!?」

「アルゴ!?どうしてここへ?」

「何時まで経っても呼ばれないのでこちらから来ましたよ」

「何者だ!貴様は?」

「冒険者です」

「冒険者ぁ?下賤の者が、我が屋敷に許可なく入り込むな!」

「下賤の者とは・・・売国奴に言われたくはありませんね」

「なっ、なんだと!?」

「貴族を隠れ蓑に、盗賊ともつるんで罪も無い人達から金や女や命までも奪っていた外道に下賤って言われたくはない、そう言ったんですよ」

「き、貴様!ファーダネ卿!このような暴言を許すのか!」

「証拠が有るのでしょう?」

「偽造だ!」

「ファーダネ閣下、偽造出来るのですか」

「伯の魔力だからな、無理だ」

「いやいやいや!何者かが私を貶める為に・・・そうか、お前だな!」

「全く哀れですね」

「な、なんだと!」

「奥様やお嬢様も引いておられますよ」

「あなた」

「お父様」

「無実だ!私を信じろ!」

「故に王都で証拠の鑑定を受けられよ。それではっきりするだろう、伯よ」

「ならん!勅令を持て!」

「でしたら勅令を待ってる間、討伐隊の監視下に置かれるのですよね」

「うむ。そうなるな」

「断る!」

「滅茶苦茶だ」

「喧しい!名門オーレ家だぞ!」

「ファーダネ様」

「何かなアルゴ君」

「証拠の書類は恐らく対になってると思われます」

「ふむ。もう1揃いはハグデル伯が持っていると」

「そ、そうだ!その書類は対になってるのだ!それが見つからない限り意味はない!」

『・・・』

「な、何だ!?」

「あなた」

「お父様」

「その対になってる書類が我が屋敷から見つからなかったらどうする!?」

「王都でこの書類を鑑定するまでだ」

「いやー!対の書類が見つからなかったら無実だ」

『・・・』

「ファーダネ様」

「何かなアルゴ君」

(その証拠で間違い無く有罪に?)

(大丈夫だ)

(であれば茶番に付き合ってやるのもよろしかろうと思います)

(茶番?)

(はい)

(ふむ。何か考えが有るのかな。いいだろう)

「分かった。対の書類が見つからなければ伯は無実かもな」

「よーし!言ったな!」

「では屋敷を捜索する」

「な、ちょっと待て!」

「どうされた?」

「屋敷の捜索は許さん!」

『・・・』

「奥様、お嬢様。お2人から訳していただけませんか。話が進みませんよ」

「あ、あなた」

「お、お父様」

「何だ!」

「御自分で仰ったではありませんか。我が屋敷から見つからなかったらどうする、と」

「む!」

「であれば捜索は受け入れませんと」

「しかし!」

「お父様。無実であれば見つかりません。捜索を受け入れれば宜しいではありませんか」

「うーむ」

「伯を連行せよ!」

「はっ!」

「待て!分かった!捜索を受け入れる!」

「宜しい」

「しかし!見つからなかったら無実だ!分かったな!」

「見つかったら認めるのかね?」

「認めよう!」

『・・・』

(これが貴族ですか?)

(み、みんながみんなこうだとは思わないで欲しい)

(・・・同感です)

(ぐぅぅぅ、こんな奴が王国貴族とは)




「それで!どうするのだ!」

「その為に私が呼ばれまして」

「ふん!冒険者風情が!」

「ではどこから捜索するかねアルゴ君」

「はい。先ずは伯爵様が1番居る時間が長い場所が怪しいですね」

「なるほど。奥方、ハグデル伯が1番長い時間、居る部屋はどこかな」

「でしたら執務室かと」


サァーっと、

周りの誰もが分かるほどに顔色が変わるハグデル伯。

個人的に嫌いではない、殺すけど。


「では執務室へむか「ちょーっと待て!」」

『・・・』

「先ず茶でもどうかね、皆の者」

「いえ。早く仕事を終えて帰りたいので」

「まぁ、待て冒険者。貴様なんぞが飲めないような茶を進ぜようとの心配り。有難く受け取らんか」

「はぁ、では誰もこの部屋から出ず、ファーダネ閣下の部下の方に淹れていただきましょう」

「そうだな。これ、誰か」

「いや、やはり早く終わらせよう。このまま向かう」

『・・・』


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