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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-21-151

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ファーダネ卿が入街してくる。

規模縮小したとはいえ王国軍直属の精鋭である。

堂々とした入街に住人らも流石はと思わざるを得ない。

ハグデル伯に敬意を表し、討伐隊長自ら館を訪ねる。


「そういう訳で、しばらく厄介になります」

「経緯は分かったが隣の火事に何も私の所に水を求めて来なくても良いのではないか?」

「足元の安全を確保してからの火消しですよ」

「ウルマン卿にも言ったが火事を消す際にウチの物を壊さないようにな」

「訓練されております故、御安心を」

「だといいが」

「それでは失礼致します」

「うむ。御苦労だったファーダネ子爵殿」

「恐縮です、ハグデル伯爵」




領軍宿舎の執務室。

いつもの3人が集まった。


「それで。報告を聞こうか、レネ。急いでくれと鳩を飛ばした訳を」

「はっ。先ずはこれを御覧ください」

「うん・・・こっ、これはっ!?」

「次はこれを」

「まだ有るのか。クルト、最初の書類だ、読め」

「・・・は」

「これは!?」

「・・・むっ!?」

「そしてこれです」

「何、まだ?クルト」

「・・・は」

「やったな!」

「・・・なんと!?」

「クルト!最後のやつだ」

「・・・は・・・やりましたな!」

「でかしたぞ!レネ!」

「いえ。全てエチル達が集めた物です」

「そうだったな」

「・・・しかし・・・閣下」

「うむ。まさかティラミルティの名が出てこようとは」

「・・・とんだベア・ボアでしたな」

「うむ」

「ベアボア?」

「最初は飲み込んだ幹部が大物だったと思ったのだが」

「・・・飲み込まれたのがハグデル伯でベア・ボアがティラミルティだった訳だ」

「なるほど!熊ではなく伯爵を飲み込んでいたか」

「諜報員は死んだのだな?」

「・・・・・・はい。実は」


「・・・・・・そうか。仕方なかろう」

「・・・手足が無かったとか」

「・・・・・・エチルが」

「あやつとしては殺さずに我々に引き渡すつもりだったのだろうが、余程腹に据えかねていたのだろうな」

「・・・無理からぬとは言え残酷ですな」

「それだけ情が深いとも言えるが、さて」

「・・・呼びますか」

「うむ。彼から聞きたい。呼んでくれ」

「はっ」




「久しぶりだね、エチル君。いやアルゴ君か」

「対外的にはアルゴでお願いします」

「はっはっは。そうだな、この街でも活躍しているみたいだしね」

「恐縮です」

「マリン君も、カーラ君も。元気そうで何よりだ」

「「ありがとうございます。閣下」」

「そしてこちらがマヌイさんか」

「は、初めましてファーダネ様。マヌイと申します」

「うむ。今回の盗賊討伐に君達姉妹の尽力が大であったと聞いている。世話になった。王国を代表して礼を言う。ありがとう」

「そ、そんな。子爵様」

「加えてそなたの妹、ヤヌイさんは気の毒であった。お悔やみを言わせておくれ」

「あ、ありが・・・とう。ございます」

「アルゴ君。事のあらましを聞かせてくれ」

「はい。領主の差別により困窮の中にあった獣人達を援助するビグレット商会会長タリルコル氏から依頼のあったオーク討伐を僕達と共に終えて仲間の元に帰る途中のヤヌイが盗賊に攫われ、それを追って僕達と獣人の応援とで東隣の領境を捜索しましたが不発、一時帰還する途中で盗賊約30名に襲撃を受けマヌイは攫われ僕達3人以外を残して全員殺害されました」

「それで」

「僕達は逃走しましたが追って来た盗賊8人の内7人を殺害、1人を捕虜としましてその者の案内で盗賊の拠点である洞窟を見つけ、潜入した時には仲間割れで殺し合っており、それに乗じてマヌイを救出。幹部達を確保。以上です」

「うむ。そして書類を手に入れたと」

「はい」

「他にあるかね」

「はい」

「言ってくれ」

「盗賊達は殺した人達を死者の谷と言う、この街から南に行った峡谷に捨てていました」

「死者の谷」

「・・・聞いたことが有ります。何でもそこに落ちた者はアンデッドになるとか」

「アンデッドに!?」

「はい。これは私の予想ですが」

「うむ。言ってくれ」

「谷は南東に向かっていました」

「それで」

「南東にはフォセンの街があります」

『!?』

「ま、まさか!?」

「恐らく」

「何という事だ!」

「幹部も認めました。噂を聞いてやっていたそうです。しかし証拠は有りません」

「うーむ」

「ただ捨てるだけでは魔物に食われて終わりですが、アンデッドにすれば当初の計画に準ずる事にもなりますし、一石二鳥と」

「うーむ」

「・・・みな知っているのだな」

「いえ。マヌイは知りません」

「言ってないのかね」

「はい。マヌイも暴行を受け酷く衰弱していました。やっとここまで回復したのです」

「そうか」

「彼女も知りたいということで連れてきました」

「うむ。マヌイさん」

「はい」

「これから話す事は我々、いや、王国にとっての大事となる。口外しないと誓えるかな」

「は、はい!ヤヌイも知りたいと思いますし」

「うむ。君が殺し・・・いや仲間割れで死んだ盗賊の幹部はティラミルティ帝国の諜報員だったのだ」

「えぇ!?」

「ハグデル伯を抱き込み王国を混乱させ、獣人を差別し反乱を起こさせるつもりだったようだ」

「は、反乱!?」

「伯は盗賊団から金銭を受け取り、更に君達姉妹を受け取る予定でもあった」

「!?ま、前から側仕えに来いって言われてたんです」

「あの野郎!」

「レネ」

「ぐぅ」

「マヌイさん」

「は、はい」

「我々に任せて貰えないだろうか」

「え?」

「領主に対する思いは十分承知している。しかしティラミルティ帝国が関わっている。事は国家間の問題に発展する可能性が有る。其方達の行動が戦争になる可能性もあるのだ」

「せ、戦争!?」

「今回の始末を我々に任せて貰えないかな」

「も、勿論です」

「領主はどうなりますでしょうか」

「エ、アルゴ君?」

「今回の証拠でハグデル伯を有罪に出来ますでしょうか」

「うむ。可能だ」

「その場合刑はどのようなものに」

「死刑だ」

「だとさ、マヌイ」

「うん」

「任せて貰えるね」

「はい!よろしくお願いします!」

「分かった」

「・・・君達は証人でもある。我々が保護する故このまま宿舎に泊まってくれ」

『はい』



僕達はそのまま宿舎に案内されて部屋を割り当てられた。

俺は1人部屋、女3人で1つの部屋を使う。

マヌイは大丈夫と言っていたがまだ不安定だ、1人には出来ない。

4人で食事を摂る。

菊池君が聞いてきた。


「捕えた盗賊って2人じゃなかったっけ?」

(僕の魔法を見られている)

((そうですね))

(まさか!?)

(あぁ)

(証人として必要じゃなかったの?)

(何も知らなかったから役に立たんよ)

(・・・そうね)

「捕えた盗賊がいたの?」

「あぁ」

「そう言えば洞窟に案内させたって言ってたね」

「あぁ。案内させた後で殺したよ」

「!」

「盗賊は仇だ、生かしちゃおかないよ」

「・・・うん」

「これからどうなるのかしら」

「準備が出来次第領主を捕まえるんじゃないかな」

「直ぐって訳にはいかないか」


「カーラさんて《頑健》と《病気耐性》がLvMAXなんだね、凄いね」

「はい」

「マヌイ」

「何?アルゴ」

「奴隷は過酷なんだよ」

「・・・そっか。ごめんねカーラさん」

「いいえ。このスキルのお陰ですから」

「LvMAXだからパーティに入ったんじゃないわよ」

「はい。でもパーティの役に立ててるのが嬉しいんです」

「役?」

「カーラ君はポーターだ」

「ポーター?」

「荷物持ちです」

「荷物持ち?」

「僕より力が強いぞ」

「MAXだもんね」

「ステータスも上がってるしね」

「パーティに入った当初、《弓術》は無かったですからね」

「そうなんだ」

「パーティで助け合って生きてきた結果、習得したんだ」

「ふーん」

「みんな欠点はある、しかしそれを補い合って生きてきた」

「ふーん」

「欠点は自分で気付かないことが多い、気付いても自分1人では補えないかもしれない。人は1人では生きていけない。マヌイも言ってただろ」

「うん」

「今はマヌイにはタリルコルさんや村の連中がいる。今なら前以上に助け合えるだろう」

「うん」

「ファーダネさんも来たし。これから良くなるわよ!」

「そうね。アルゴの欠点って何?」

「俺か?・・・魅力的過ぎる事・・・かな」キラリ

「このお肉美味しいわよ、マヌイ。食べなさい」

「ありがとマリン。あっ、ホントだ美味しい」

「野菜も食べないといけませんよ」

「はーい、カーラ姉ぇ」

「弱ってたんだからドンドン食べなさいよ」

「うん」

「子供には分からんのだよ、子供には」


スキル大全


《病気耐性》

病気になりにくくなるらしい。

実証しようが無いので名前から判断するしかない。

ただこのスキルから言える事は、他にも耐性と名がつくスキルが有るのではないかという事だが、

実際にはこのスキル以外筆者は元より研究者一同見た事も聞いた事も無い。

毒耐性は勿論、痔耐性も虫歯耐性も、これ以外あらゆる状態異常耐性は無い。

冷気耐性や熱気耐性などはマジックアイテムに付くもので、人間に持つ者は皆無だ。

恐らく神がスキルを作った時に間違えて”耐性”と付けたのではと勘繰るほど無いのだ。

その神も今頃後悔しているに違いない、どうして耐性と付けてしまったのかと。

そして耐性というだけで病気に罹らないという訳では決してない。

そこは気をつけ給え。

取得した事に安心して娼館に入り浸った男の末路を想像出来るのなら。

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