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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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街への道中は1人だった。

この世界に来て外を1人というのは初めてかもしれない。

・・・寂しい。

俺の軽口に突っ込んでくれる菊池君や、

俺の下ネタに微笑んでくれるサーヤ君。

あれ、これセクハラか。

一度サーヤ君に聞いてみる必要があるな。

でもあの子は俺の前では嫌って言わないだろう。

菊池君にそっと聞いてもらうか。


にしても《魔力検知》と《魔力感知》Lv8だ。

Lv7がMAXではなかったのも驚きだがいきなり2つもか。

スキルそれぞれに上限が別に有るっていうのなら予想も何も無いが。

やはりLv10辺りか。

《魔力感知》はやはり感知範囲は倍になったようだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これがもっと早ければヤヌイを助けられただろうか・・・

いや、止そう。

終わった事だ。

今はこれからの事を考えよう。

一段落着いた後ででも許してくれるだろう。

マヌイは守らなければ。

いや、ヤヌイは村の人達を守ろうとしていた。

マヌイだけじゃなく村の人達も守らなければならない。

洞窟に残した3人・・・4人が心配だ。

《魔力感知》で戦闘を避けつつ街を目指そう。




夕方に街に着いてビグレット商会に向かう。


「アルゴ君!どうだったのだ!?」

「マヌイは助けましたがヤヌイは駄目でした・・・」

「・・・そうか」


タリルコルさんはしばらく俯いていた。

時折雫が床を濡らす。


「ワシに力が無かったばかりに・・・」

「盗賊団は皆殺しにしました」

「な、何!?」

「盗賊団は皆殺しにしました」

「ほ、ホントかね!?」

「えぇ。これから村は盗賊に襲われる心配は有りません」

「・・・良くやってくれた」

「それで頼みが有ります」

「うむ。何でも言ってくれ」

「魔術師ギルドに行って伝書鳩を使いたいのですが僕が行っても使わせてくれるんですかね?」

「通常魔術師ギルドに所属してないと使えないと聞いているが」

「これから話す事は他言無用に願いたいのですが」

「む。この部屋にいる者は大丈夫だ」

「では。エリーテ・ファーダネ様をご存じですか?」

「勿論だ。子爵であらせられる」

「子爵だったんですね」

「聞いておきながら知らなかったのかね」

「貴族は嫌いなので」

「みたいだな」

「そのファーダネ閣下に先日これをいただきまして」

「ん?・・・こ、これは!?魔術師ギルドの幹部が持つ指輪ではないか!?何故君が!?」

「ファーダネ様の依頼を達成した折にいただきまして」

「依頼達成だけで頂ける品ではないのだが」

「というと?」

「君は最初、ワシの依頼を断ったね」

「えぇ」

「もしそれが君のパーティメンバーの女性から頼まれた依頼だったらどうかね?」

「・・・なるほど」

「断れない、そういう事だ」

「つまりこれを見せれば・・・」

「あぁ。断らない、断れない。それ程の物だ」

「なるほど。では行ってきます」

「・・・事情を、話してもらえないか?」

「すみません。急いでますので。ギルドの用が終わったら寄りますから」

「そうか。分かった。頼んだよ」

「えぇ」




いつもの丸っぽいデザインの建物に入って行く。


「いらっしゃい」

「緊急です!」

「は?」

「これを」

「こっ、これはファーダネ様の!?」

「伝書鳩をファーダネ様に飛ばして頂きたい」

「わ、分かりました!至急準備します!」

「よろしくお願いします」


「伝書鳩に持たせる文は小文でお願いします」

「分かりました」


何て書こう。


「途中で奪われる恐れは?」

「勿論有ります。空にも魔物は居りますし、他国のスパイが猛禽類を放っている事も。ですので通常複数の鳩を飛ばします。更に暗号文であればよろしいかと」


・・・無理だ。

緊急で来てくれという事を伝える内容にしよう。


「ベアボアハッケン ナカミハオオモノ バレンダルニコラレタシ エマタ」

「これでお願いします」

「・・・結構です。分かりました」

「閣下は今ロムスコに居られるはず。どの位で届きます?」

「2日もあれば」

「たった2日!?」

「はい。なにせ空を飛びますから。加えてスキル持ちであれば」

「スキル持ち!?鳩が?」

「いえ」


そういって彼はウインクした。


「なるほど。それではよろしくお願いします」

「承りました。それで返信が有った場合どちらにお知らせいたしますか?」

「ビグレット商会のタリルコルにお願いします」

「承知しました。それでは早速」

「はい。私も急ぎますので、では」

「ご無事で」




ビグレット商会に帰った。


「鳩は?」

「飛ばしました」

「そうか」

「他言無用でお願いします」

「無論だ」

「皆殺しと言うのは訂正で2人生かしてあります」

「む」

「壊滅した大盗賊団の幹部でした」

「何だと!?」

「ファーダネ閣下にお渡しします」

「そ、そうか。なるほど」

「もう1つ」

「む」

「盗賊達が死んだ事も他言無用でお願いします」

「む、何故だ」

「今は言えないとしか」

「・・・そうか。ファーダネ様との繋がり・・・いや、分かった」

「村の人にもお願いします」

「村人にもか?」

「はい」

「・・・分かった」

「お願いが有ります」

「何でも言ってくれ」

「補給を。特にポーションを使ってしまったので」

「お安いご用だ。直ぐに用意させよう」

「僕はこのまま村に行き洞窟に戻ります」

「む」

「マヌイの衰弱が酷く動かせない状態です」

「・・・分かった。重ねてよろしく頼む」

「お任せください。最後に1つ」

「うむ」

「護衛パーティを付けてください、補給を持たせて。アジトまで連れて行きます」

「分かった」

「ファーダネ様が来られて私を探すでしょう。その時案内させてください」

「分かった」

「その時この指輪を渡せばスムーズに話が通るでしょう」

「!?私が預かって良いのかね?」

「えぇ」

「分かった。期待は裏切らない」

「よろしくお願いします」




俺はタリルコルさんが付けた護衛を伴い村に向け出発する。

夕方の門限ギリギリだった。

夜の森を抜けるという事で護衛はビクビクだったが、

《魔力感知》Lv8の256mで一切魔物と出会わずに明け方、村に着いた。

村長に会って報告をする。

正直会いたくは無いがそういう訳にはいかない。


「おぉ!アルゴさん!ご無事でしたか!」

「えぇ」

「それでマヌイヤヌイは?」

「・・・マヌイは助けました」

「・・・」

「・・・」

「・・・そうですか。ありがとうございます」

「マヌイは衰弱していて動かせません。洞窟に居るので回復まで側にいるつもりです」

「分かりました。よろしくお願いします」

「はい。必ず」

「休まれていきますか?」

「えぇ。タリルコルさんの護衛と一緒に行きますので午前中寝かせてください」

「分かりました。案内しましょう」

「それと洞窟で捕虜を確保しました」

「そうですか、それは良かった」

「ですので他の捕虜は必要ありません」

「は?」

「必要無いのです。報告にもこの村には捕虜は1人しか来てないと言いますし」

「・・・」

「連れて行った捕虜はもう始末しました」

「・・・分かりました。ありがとうございます」


護衛達と午前一杯横になった。

起きて調べると捕虜の魔力反応は無かった。


正午に洞窟に向け出発。

途中野営して翌日午前中には洞窟に着いた。

後日護衛達にはファーダネさんを案内してもらう為に分かり易く街道から入って行ったので少し時間が掛かってしまった。

入り口が有る斜面に来た頃には安心感も有って少し余裕が出ていた。


「あそこに何が見えます?」

「あそこですか?う~ん。普通に地面が見えるだけですけど」

「なるほど。おーい!帰ったぞー!」

「?着いたんですか?」

「えぇ」


バサッ


「先輩!」

「おぉ!カモフラージュ!分かりませんでしたよ」

「木の枝とか葉っぱをね、こう・・・」

「早く!来て!」

「!?どうした!」

「マヌイが!」

「!?急ぎましょう!」

『はい!』


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