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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-14-144

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駆除して回った後のランタンは消して行った。

これでもし賊が逃げようとしても時間が掛かるだろう。

もし俺らが逃げる場合は俺が先導して行けばいい。


これまでに寝床を4つ襲撃して15人殺した。


「後何人?」

「9人だ。しかし2人は俺達が知ってる2人だ」

「じゃぁ、後7人ね」

「3人はマヌイヤヌイと一緒に居る。その部屋の見張りに1人。その部屋の手前の部屋に3人居る。休憩中かな」

「どうします?」

「任せろ。とりあえずその辺のランタンを点けるぞ」

「「?」」




「ん?」


通路の先の灯りが消えたのに気付いた見張りが手前の部屋に入る。


「おい」

「どうした?」

「またランタンの燃料が切れたみたいだ。魔石を取ってくれ」

「あいよ」


見張りは魔石を受け取り灯りの消えたランタンの元に向かった。

奥の部屋の扉が開く。


「おい!どうした?」

「へぇ。ランタンが消えたみてぇで点けに行きやした」

「またか。そんな事で大きな音を立てるな」

「へぇ、すいやせん」

「ったく」


バタン


「ちっ、偉そうに」

「この程度の音でビクビクすんなっつーの!」

「全くだ。自分達はそれ以上の音を出してんじゃねーかってーの」

「くそが!」


見張りは魔石を手に消えたランタンの元まで来た。

木箱に置かれたランタンだ。

周りにもランタンが点いていてその灯りが逆に木箱の陰の闇を強調させていた。

屈んでランタンを開けようと手を伸ばした先の陰から手が伸びて来る。


「!?」


目にナイフが突き刺さった見張りは屈んだまま起き上がることは無かった。

俺は木箱の裏から出て来て2人を呼ぶ。

俺達はそのまま手前の部屋の入り口付近まで来た。

扉は無い。


(サーヤ、一番奥の奴に《吸精》だ)

(はい)

(手前の2人が気を取られたらミキと俺で後ろから刺す)

(了解)




「あれ」

「どうした?」

「すっげー気分が悪い」

「飲み過ぎか」

「いや今日は飲めねぇだろ」

「そうだな。当番だし」

「ちょい横になるわ」

「あぁ。仮眠しとげっ」

「ぐっ」

「わりぃ。じゃぁ、ちょいと寝させて、おい。どうし、ぐっ」


喉に突き刺さったナイフでその後のセリフは聞けなかった。


「仮眠じゃなく永眠だがね」


「これからは?」

「どうするかなー。マヌイヤヌイが居るから押し入るのは駄目だし」

「そうね」

「やはり毒を使うか」

「殺すの?」

「いや、吐かせる事が有る。眠らせる」

「分かったわ」

「分かりました」

「サーヤは手前の奴を狙え」

「了解」

「ミキは奥だ」

「了解」




ガタン


「っち、またか」


1人が扉を開ける。


「何度も言わせんな!大きなおとぅおっ」


扉の横に潜んで立っていた俺のナイフが男の顎下から脳の中枢に達する。

床に寝て射撃体勢になっていたサーヤからボルトが放たれ、

立ったまま絶命した男の足の間から背中を見せていた手前の男の肩に命中する。

絶命した男を手前に引き倒したと同時にミキが戸口に立ち弓を引き絞って放つ。


「うあ!」

「ぐあ!」


2本はやや時間差で命中した。


俺は飛び込んでこちらを振り返った手前の男の股間を蹴り上げる。


「ぐうぅ」


そのまま走り込み奥の男と相対する。


「なっ、何者だ!?」

「何者?」

「誰だと聞いているのだ!」

「言う必要あるの?」

「ぐあぁ!」


サーヤが手前の男の腕にメイスを振り下ろしたようだ。

横から女の声がした。


「アルゴ!」

「悪い。時間掛かった」

「貴様あの時の!?」

「こんな洞窟でいかがわしいことしてるお前に、「何者だ」って言われてもな」

「うぬっ!」

「マヌイ。こっちに来い」

「うん」

「真っ裸で武器も無しと。あ、棍棒があるな。おや、小さくなってますよ。オタクの棍棒」

「貴様!」


男は側に有った剣を掴んで襲い掛かって来た。

振りかかって来る剣を《受け流し》、《カウンター》発動。

剣はあらぬ方向へ飛んでいった。


「なっ、何!?」

「そら。お返しだ」

「ぐあぁぁ!」


手首を失った男が叫ぶ。

しかしやがてそのまま気絶するかのように眠っていった。

見ればもう1人も眠っている。


「ネムリマイタケの毒すげぇな。手首失っても寝たぞ」

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」

「そうだった!」

「ヤヌイ!ヤヌイィ!」


ヤヌイは裸にされたまま横たわっており体中に傷があった。


「サーヤ!そいつに魔力枷を嵌めろ」

「はい!」

「ミキはマヌイヤヌイを!」

「分かった!」


俺はポーションを使って男の手首を塞ぐ。


「そいつにポーションを使うんですか?」

「サーヤ、手首を戻すんじゃない傷口を塞ぐだけだ」

「そうですか」

「傷が塞がったらこいつの首にも枷を」

「分かりました」


人間の魔力反応はこの部屋にいるものだけだ。

俺は3人の元に駆け寄る。


「どうだ?」

「先輩・・・」

「アル・・・ゴ。来て・・・くれたんだね」

「当り前だろ。旅に連れてってやるって言ったろ」

「ふふ・・・ごめ。行けそうに・・・ない」

「マヌイ!治癒魔法は!」

「やってる!やってるよぉ!」

「おねぇ・・・ちゃん」

「ヤヌイィ!」

「ごめ・・んね」

「やだぁ!1人にしないでぇ!ヤヌイィ!」

「あたしの・・・分まで・・・生きて」

「やだぁ!ダメェ!ヤヌイィ!」

「あいして・・・」

「ヤヌイ?」

「・・・」

「先輩」


魔力反応は消えた。

菊池君も分かってるはずだ。


「ヤヌイィィィァァァ!」

「あああぁぁぁ!」

「あああぁぁぁ!」

「あああぁぁっげふっ」

「不味いっ!叫び過ぎて気道が裂けて血を吐いた!」

「「マヌイ!」」

「ポーションを飲ませろ!」

「はい!」

「それと身体も、血が出てる」

「はい!」

「ポーションに眠り薬を入れて」

「はい!」


ポーションを飲ませるとしばらくしてマヌイは眠りに落ちた。


「別室に寝かせよう」

「そうですね。冷やさないようにしないと」

「ヤヌイも。ポーションでは傷は元には戻らないのか?」

「・・・生きてるものしか」

「そうか。回復魔法だったら・・・いけたかな。いや、無理か」

「せめて綺麗にしてあげましょう。サーヤ」

「はい」




部屋には裸で転がってるモンスター2匹と俺だけが残った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺は間違ったのか。

最初の捜索に3日。

時間をかけ過ぎた。

いや、あれは仕方がない。

何も手掛かりは無かった。

じゃぁ、盗賊に襲われた時か?

しかしあのまま戦っていたら俺達にも被害が出ていただろう。

マコルを始め、全員殺されている。

トロールが居たとはいえ、賊共もトロールをいなしていた。

撤退が最善だったはずだ。

10人ほど殺したがまだ20人は居た。

トロールと挟み撃ち?

相手には《バリア》持ちがいた。

弓は通じない。

やがて包囲されて俺は殺され2人は・・・

無理に戦うってのはナンセンスだ。

ゲームなら多少の怪我やダメージでHPが減っても普通に動ける。

HPが1しか残ってなくても動ける。

しかし現実は傷を負えばその分動きが鈍る。

腕を怪我すれば剣が振るえず。

足を怪我すれば逃げることは出来なくなる。

首を刎ねられれば、心臓を刺されれば、HP満タンでも即死だ。

逃げられる内に逃げる。

間違ってなかったはずだ。

そうだ。

だからマヌイを助けられた。

マヌイは助けられた?

ヤヌイは?

あれ、どこで間違った?

うーん。

戦った後か。

捕虜を連れて村に帰って寝た。

寝たのが駄目だったのか?

しかし寝なければ今回の様に戦えなかっただろう。

マヌイは救えなかったはずだ。

あれ、ヤヌイは?

どこだ、どこで間違ったんだ?

・・・やっぱり最初か。

3日もロスしたのが駄目だったんだ。

捜索・・・索敵。捜索だ。

もっと。もっと捜索能力を上げないと。

しかし俺の《魔力感知》はLvMAXだ。

これ以上は・・・

何でLv7がMAXなんだ?

MAXになっても俺の中の魔力は全部視えていないぞ。

そもそもがMAXになっても視えなかった右胸だ!

《魔力操作》で魔力を操作したことが有るから分かる。

右胸に入った魔力はそのまままた体内に循環していくだけだ。

それだけなのに何故視えない?

循環していくだけ・・・だけ?

循環していくだけでも劣化はしていくはずだ。

血などがそうだ。

血は体内を巡る間に養分を届け老廃物を取り込み濾過されてまた体内を巡る。

魔力も実在するものなら劣化するはずだ。

しかし純粋魔力は純粋故に劣化は無い。

なら劣化するのは個人の魔力。

純粋魔力を取り込んで個性化した魔力。

さっき消えたヤヌイの魔力反応もそれだ。

それを循環させているものが視えていないが右胸にあるのか?

いや・・・視えていた?

最初から?

魔力しか視えていないと思っていた。

違ったんだ。

最初から視えていた。

器官ではなかった。

視えていたのはスキル。

俺の右胸にはスキルが有る。

体内に魔力を循環させるスキルが。

ここに転がってる2匹にも視える。

ステータス画面に載っていなかったのは全人類が持っているスキルだったからか。

魔物はこのスキルを持っていない。

だから魔石が必要なんだ。

魔石で魔力の循環をしているんだ。


-------------------------------------

《魔力操作》がLv7になりました。

《魔力検知》がLv8になりました。

《魔力感知》がLv8になりました。

-------------------------------------


あ、頭が痛い・・・

光が広がる。

光の中から陰が。

人の形に・・・

誰だ?

女・・・

ヤヌイ?

いや、ちが


「うあああぁぁぁ!」


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