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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-08-138

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僕達6人はオークの集落に向かっていた。

途中、魔犬や魔幼虫を殺して持って行く。


「何で魔物を持って行くの?」

「作戦が有る」

「作戦?」

「あぁ。君達にも持ってもらう為に背負子を用意してもらったんだ」

「それは良いけど、作戦って?」

「それは後で話す。全員で魔物を背負っていくぞ」

「分かったわよ」


純粋な魔法使いなのだろう。

マヌイとヤヌイは魔物を背負って辛そうだった。

マコルは大丈夫なようだ。

日が暮れる前に集落に着いた。


「よし。準備に取り掛かるぞ」

「はぁ~、やっと」

「水魔法を使えるのは、え~っと」

「私よ」

「マァ~、ヤァ~」

「マヌイよ」

「マヌイ。知ってた」

「うっそだぁ」

「よし、皆。魔物を開いてくれ」

『えー!』

「し、静かに。それとマヌイはこの容器に水を出してくれ」

「分かったわ《イマジネイトウォーター》」

「これにネムリマイタケの毒を入れ、混ぜ混ぜ」

「どうするの?」

「これを開いた魔物の中に、ぬりぬり」

『?』

「よし。見つからないように集落の近くに魔物を置いてくる」

『え?』


《隠蔽》で魔物を置いて周りに血を垂らす。

皆の元に戻って説明する。


「これでオークの晩御飯はあの魔物だ」

「な、なるほど!あの魔物を食べると」

「ぐっすり寝ちゃうんだ!」

「そこに夜襲をかけると!」

「そういうことだ」

「へー、なるほどね」

「正々堂々と戦うと思ったかい?」

「正面からとは思ってなかったけど」

「僕達は騎士でもない、冒険者だ。どんな手を使ってでも結果が大事なんだよ」

「結果」

「君達は領主と事を構えるつもりかい?」

『・・・』

「その結果、村の人達や子供まで領主から狙われるだろうね」

「あなた達に守れるのかしら」

『・・・』

「だからと言ってこのまま領主の横暴を許せないという気持ちも分かる」

「・・・どうしたら」

「タリルコルさんは信用しているんだろう?」

「えぇ」

「相談してみたらどうかな」

「相談しても駄目だったのよ」

「それは良い手が思いつかなかったというだけで助けないということではないよ」

『・・・』

「タリルコルさんも悩んでいたんだ。今もがんばってお金を稼いで君達を援助してくれているだろう?」

「うん」

「良い方法なんて直ぐに思いつかないよ。直ぐにお金持ちになれないし、直ぐに大盗賊団も討伐されない。皆で協力して少しずつ結果を積み重ねていくんだ」

「うん」

「あの領主が嫌なら別の土地に移るっていうのも考えても良いんじゃないか」

「別の土地。でも誰も知らないし職も就けるか分かんないし」

「タリルコルさんに支店を出してもらうとかさ」

「支店?」

「あぁ。別の街に店を出してもらう。そこで働かせてもらうんだ」

「なるほど」

「店を出すのが無理なら仲の良い商人に紹介してもらって働かせてもらう」

「なるほど」

「それで少しずつ他の皆を呼び寄せれば」

「少しずつ」

「今にも死にそうな人でもいるのかな」

「ううん。食べ物はタリルコルさんが送ってくれるから」

「大盗賊団の話は?」

「うん。聞いた。幹部は全員死んだって」

「今苦しいのは大盗賊団の影響が有ったからだ。勿論タリルコルさんにも。でも大盗賊団は壊滅した。これから良くなっていくよ」

「分かった。タリルコルさんと相談してみる」

「あぁ。それが良い。領都で1番の商人と知り合いなんだ。恵まれてるよ」

「・・・そうね」




《魔力感知》でオークが撒いた餌に食いついたのが分かった。


「食いついたようだ」

「文字通りね」

「コロリマイタケの毒では駄目だったんですか?」

「もし食って即死したら食うのを止めるかもしれん」

「なるほど」

「よし、奴らが寝るまで僕等も休息しよう」

『はい』

「みんな寝てくれ。僕が番をする」

「いいの?」

「大丈夫だ。競争の結果は知ってるだろう」

「うん。分かった」




集落から離れた所まで移動して休息をとった。

陽は完全に沈み、オーク達の食事も終わったようだ。

感知した魔力の動きが緩慢になっている。

後少しもすれば寝始めるだろうが、薬の効き目を活かすなら後1、2時間は待ちたい。

それに懸念もある。

2時間ほど待ち、皆を起こす。


「よし。始めるぞ」

『はい』

「マコル、マヌイヤニュイの3人はここで待機だ」

「ちょっと待って、今噛んだでしょ。いやそれよりも待機?」

「噛んでない。マニュイナユイはゴブリンをナイフで殺したことはあるか?」

「ちょ、名前が・・・いえ、無いけど」

「マコルは?」

「いや、無い」

「そういう理由だ」

『・・・』

「これからナイフで殺す。魔法じゃない。音を立てずに殺して行く。出来るか?」

「で、出来るわよ」

「もし起こしたら60匹以上のオークが起きる。パーティ全員の危機だ。出来るか?」

「うぅ」

「それにオークの子供も居る。君達に子供が殺せるか?」

「子供!?」

「そうだ」

『・・・』

「ヤニュイ」

「ヤヌイ」

「ヤヌイ。出来ないことを出来ないと言うのは恥じゃない。人にはそれぞれ役割が有る。君達姉妹はもし僕等が失敗したら援護をすることだ」

「援護?」

「あぁ。失敗したらここに走って逃げて来る。それを追ってオークが来るだろう。それを迎え撃つ」

「・・・分かったわ」

「マコルはマヌ・・・姉妹の援護だ、守ってやれ」

「えぇ!?・・・諦めないでよ」

「分かった」

「それとマリン君を君達の護衛に付ける」

「え?」

「マリン君は弓の名手だ。僕が居なくなったら君達のリーダーになる」

「よろしくね」

「え、あ、はい」

「失敗した場合の援護の指示はマリン君がする。従うように」

「分かったわ」

「マリン君。隣の藪に《罠》を仕掛けていく。失敗して僕等が逃げて来たら誘導してくれ」

「了解」

「よし。じゃぁカーラ君。準備は良いか」

「はい!」

「ただ懸念が有る」

「はい?」

「オークの子供だ」

「はい」

「眠り薬入りの魔物を食べていないかもしれない。オークの子供が夜泣きをするかは知らないがもし夜泣きをするのなら、食べて無い場合夜泣きをして寝ていたオークを起こしてしまうかもしれない」

「はい」

「子供は優先的に僕が殺す」

「・・・いえ。私もやります」

「いや。君は将来子供を産むだろう」

「えっ」

「その時に殺したオークの子供の顔を思い浮かべたりしたらどうする」

「で、でも」

「僕が殺す。リーダー命令だ。従ってもらう」

「・・・分かりました」

「心臓だと即死にならないかもしれない。仰向けだったら目を突いて脳を破壊しろ」

「はい」

「横になってたら延髄から脳だ」

「分かりました」

「あ、そうだマ・・・姉妹に聞きたいことが有る」

「もぅ・・・何?」

「オークは動物のメスにでも産ませられるんだよな?」

「えぇ」

「そうか」

「どうしたの?」

「動物のメスがいるようだ」

『えっ』

「流石に眠り薬入りの魔物は食べていないだろう」

「ですね」

「うーむ。仕方ない、殺すか」

「・・・仕方ないですね。生かしておいてもオークを産むだろうし」

「だな。よし、行くぞカーラ君」

「はい!」




先ずは動物のメスに向かった。

猪のようだ。

《魔力検知》で診るとお腹の辺りに別の魔力が診える。

矢にコロリマイタケの毒を塗り、サーヤ君のクロスボウで僕が撃つ。

猪は普段は昼行性だが警戒している場合夜行性にもなるらしい。


トスッ


コロリマイタケの毒の効き目は抜群だ。

唸り声をあげつつ倒れていた。

この程度ならイビキをかいているオーク共には大丈夫だろう。


(じゃぁ、これから始末していく)

(はい)


俺は子供を、サーヤ君は大人を始末していく。

流石にオークとは言え子供を殺すのは躊躇われる。

夢にうなされるかもな。

しかし殺らなければならない。

俺は何も考えないように子供を殺していった。

普段、肉を食う時、元の動物を想像しながら食うか?

狩られ、解体される様子を想像しながら食うか?

うまいうまいと微笑みながら食ってるじゃないか。

要は考え方だ。

・・・いや考える事も無い。

考えると子供を考えてしまう。

俺は何も考えずに子供を殺していった。


10匹ほど子供は居ただろうか。

考えずに殺していったので数えていなかった。

さて、ここからは大人オークだ。

腰をトントンしながら一息つく。


長い。

時間が長く感じられる。

息をひそめて活動しているからか長く感じられる。

1殺1分でも1時間かかる。

僕達は2人でやっているから30分か。

オークは木材と木の枝や丈の長い草などで簡易なテントを作っている。

テントの中のオークを先に殺していった。

今夜は晴れているので外で寝ている奴もいるが、もし起きられたら見つかり易いだろう。

テントの中であれば多少の音漏れは大丈夫かもしれない。

これは6人でやった方が良かったかもな。

そんな弱気が出る程、終わるまでが長く感じられた。


豚や鳥インフルエンザで家畜の殺処分に従事する作業員の気持ちはどんなでしょうか。

PTSDになったりしないか心配です。

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