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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-07-137

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翌日。

僕達は昼から動いた。

食料を調達しているであろうオーク達が集落に帰る頃を見計らって尾行するつもりだった。


数時間探索して果たして手に獲物をぶら提げたオークのグループを見つけた。

彼らを尾行している間に夕方になっていく。

集落に着いた頃には陽はとっくに沈み薄暮の中を藪から窺っていた。


「あいつら火は使えないんだな」

「どんなもんです?」

「200匹以上は居る」

「「に!?」」

「どどどーします?」

「今夜は無理だな」

「そっか」

「明日から数日、間引こう」

「間引き」

「拠点の位置は分かった。恐らくここを中心に食料を調達している」

「えぇ」

「村に近い外縁部の数を減らしていけば、これ以上の村への被害は抑えられる」

「なるほど」

「ある程度まで減らしたら集落を襲う」

「ある程度」

「以前ロブゴブリンの集落は60匹は居た」

「あぁ。オークもそれくらいまでは移動はしないと」

「確証は無いが」

「まぁ、どっちにしろ今のままでは一気に殲滅は無理ですからね」

「そういう事だ。帰ろう」

「「はい」」




その日は離れに直接帰って寝た。

翌朝に村長に報告する。


「ににに、200以上!?」

「あぁ」

「どどど、どーすれば」

「集落は特定した」

「えぇ!?どうやって!?」

「それは今問題では無いです」

「た、確かに。それでどーします?」

「ある程度まで間引きます」

「間引き」

「その後集落を襲います」

「タリルコルさんに応援を呼んだ方が」

「僕達だけで大丈夫です。もし不安なら呼んでも構いませんが村の防衛だけにしてください。僕等の邪魔にならないように」

「そ、そうは言っても」

「であれば僕達は帰ります。他の方を呼んでください」

「い、いやそれは・・・分かりました。お任せします」

「えぇ。これから数日間はマヌイヤヌイを中心に村の防衛をしていてください。遠くに出歩かないように」

「分かりました」




村と集落までをエリアに分割し、村から近いエリアから間引きを開始した。

集落は村の南東にある。

このまま数が増えて行けばいずれ街道に出て来るだろう。

折角大盗賊団から立ち直ろうという時にオークの被害が出てしまう。

200匹ということは1日20匹でも10日もかかる計算だ。

全く厄介な連中だ。

ネムリマイタケの稼ぎも出来ない。


「正式に契約を結べば良かったな」

「?」

「討伐依頼で達成報酬を貰いたかった」

「あぁ。後から言っても貰えそうだけど、タリルコルさんは」

「後から言うのは嫌なんだよなー」

「まぁねー」

「今から帰って正式に結ぶっていうのも、なんだかなー」

「なんだかねー」

「まぁ、今回はオークを知ることが出来たって事で収めるか」

「そういうことにしときましょ」

「はい」




1日20匹駆除を3日もすれば村周辺からオークの気配はしなくなった。

村方面へは別のグループが交代で来る様子は無かった。

受け持つエリアが有るのかも知れない。

次は街道近くのエリアから始めた。

そうやって集落の北側を駆除していって1週間で100匹を超えた。


「いやはやなんとも。ホントに3人だけでおやりなさるとは」

「まだ終わってませんよ」

「しかし100匹。半分は狩ってますぞ!」

「まだ半分ですよ。これからです」

「はぁ」

「討伐数の記録は大丈夫ですか」

「えぇえぇ。それは任せて下され」

「後は邪魔しないように村の方にも言っておいてくださいね。特に・・・」

「はいはい。それはもう」

「これからは集落の南側を駆除しようと思ってるんで野営しつつになります」

「南側ですか」

「何か?」

「あまり南に行き過ぎると谷に出ますからお気をつけなせぇ」

「谷?」

「夜に谷に出るのは危ないですから」

「そうですね、気を付けます」




僕達は村を出て南東、集落の東の街道近くまで迂回し駆除を再開する。


「後100匹。ここから調整していかないといけない」

「えぇ。ゴブリン換算で60匹を目途にします?」

「それでいいかな?」

「えぇ、良いと思います」

「はい」

「単体はゴブリンより遥かに強いから欲を言えばもっと減らしたいんだが」

「移動しちゃったら元も子もないしね」

「そういうことだね」

「では2泊して村に帰りますか」

「うん、そうしよう」

「はい」




40匹を殺して村への帰途についた。

帰りの途中、移動だけで1泊したので3泊のちょっとした旅となった。


「それではいよいよ?」

「はい、村長。集落を襲います」

「そうですか。どうか無理をなさらんよう」

「無理をするのが冒険者ですよ」

「・・・無理に全滅させんでもええぇですから、ご無事に帰って来て下され」

「なるべくならそうしたいですね」

「明日は休みなさるか」

「いや移動されてもなんですから休息は取らずに行きますよ」

「・・・分かりました」




翌日昼前。

僕達は準備を終え出発しようとしていた。


「ちょっと待って!」


マヌイヤヌイだ。

マコルもいる。


「何か?」

「私達も連れて行って!」

「え?」

「オークの集落に特攻をかけるんでしょ!私達も行くわ!」

「特攻?」

「私達の村の為にあなた達だけが戦うなんて!私達も戦うわ!」

「足手まといだな」

「フゴー!」

「大人しく村で待ってろ」

「嫌よ!」

「君等のせいで失敗したらどうするんだ?困るのは村の人だぞ」

「フゴッ」

「私からもお願いするわ。どうか連れて行って」

「えーっと、マヌイだっけ?」

「えぇ」

「村を守るのも重要な仕事だと思うけど」

「それはそうだけど」

「オークだけじゃないだろう」

「・・・うん」

「責任を持ちたいのよ!」

「ん?」

「私達がもっと強かったら!オークなんかに、ヒト族なんかに!」

「2属性持ちの魔法使い様が何を言うのやら」

「2属性持っててもあなた達には敵わなかった!あなた達の強さを知りたいのよ!」

「・・・」


(今後、彼らはヒト族と争っていくのだろう)

(でしょうね)

(その為に強さを知りたいと?)

(あぁ。領主が当面の相手だろうがそれでも強大な権力を相手にする)

(先ず勝てないわね)

(そんな)

(タリルコルさんに言って自重させてもらわんとな)

(じゃぁ、連れて行かないの?)

(いや、連れて行こう」

((?))

(今後、戦うにせよ戦わないにせよ。強くなっておいた方が彼女らの為だろう)

(獣人だしね)

(それに彼女ら姉妹は豚族だ。野卑た目で見られて生きていく。君達の様に)

((・・・))

(僕等は今までも何度かそういう目に遭って来た。これからもそうだろう)

(彼女らには先輩はいないしね)

(そうですね)

(良いかな)

((はい))


「分かった。連れて行こう」

「ホントに!?」

「あぁ。ただし!」

「はい」

「リーダーは僕だ。僕の指示に従ってもらう」

「はい」

「従えない場合は身の安全は保障しない。いいね」

『はい!』

「よし。じゃぁ、準備をしてくれ、直ぐ出発する」

『はい!』


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