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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-03-133

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それから2週間ほどが過ぎた。

領都ということで魔術師ギルドにも寄ってみたが男の店番だったので出ようとしたが菊池君に取り押さえられた。

しかし本や商品はロムスコと変わりは無かったので何も買わなかった。


ネムリマイタケ狩りも順調だった。

ビグレット商会は獣人を中心とした貧しい人達の中から屈強そうなのを護衛に雇い、マイタケを売りに他の街へ出ているらしい。

盗賊団も解体され流通も元に戻りつつある。

隣の領ではまだ出没すると言われているが、幹部でもないし直に討伐されるだろうとの噂だった。


その間にもタリルコルさんの評判を集めて回っていた。

概ね良いようだ。

強引とか偉そうとか、そんな話も聞こえるが街1番の商会ともなるとそんなものだろう。

人と同じことをやっていては金持ちにはなれない。

そんな様子が一般人の目にはそう映るのだろう。


タリルコルさんに貴金属相場について聞くと、やはり値段は落ちているそうだ。

それで系列店を紹介してもらい更に安くしてもらって2つ買った。

合計で約200万エナ。

菊池君とサーヤ君に渡す。


「1個100万エナ・・・」

「一財産だね」

「やっぱり私には・・・」

「ネックレスにでもするか」

「あの・・・私には」

「僕が死んだらグンナーでハリエット商会と商売でもするんだ。その宝石を元手にね」

「「・・・」」

「約束してくれないと安心して冒険者出来ないな」

「・・・分かったわ。でもだからって無茶しないでくださいね」

「当り前だろ。奇襲上等の僕が正々堂々?クソ食らえだ」

「ふー。それで良いんだけどね」

「サーヤ君は?」

「・・・約束します。けど死なないで下さい」

「冒険者家業は危険と隣り合わせだよ」

「冒険者辞めても・・・」

「それじゃー、幸せな老後は難しいよ」

「死んだら元も子もないです」

「そうならないように立ち回るよ。魔法も使えるしね」

「・・・はい」

「ネックレスにしてサーペントの中に入れれば、外からは分からんだろう」

「そうね。指輪やブレスレットは戦闘の邪魔になるだろうし」

「でもたまにしてる人見かけますよね。冒険者でも」

「・・・もしかして魔法付与か!?」

「あぁ!指輪とかに。あるかもね」

「宝石に付与するんだろうか」

「え、宝石以外に?」

「魔石とか」

「なるほど、それは有るかもね」

「宝石店に行って聞いてみるか」




「魔石にだね。宝石には無理かな」


宝石店の店主はそう答えた。


「無理かな?かな、とは」

「たまに魔力の詰まった宝石が見つかることはある。それに付与する事は可能だ」

「では一般的には魔石に付与すると」

「そうだ。しかもそこら辺の魔物の魔石じゃ駄目だ。高ランクじゃないとな」

「高ランクというと?」

「最低B。でもBランクだと込められる魔力も種類も限定される。Aが普通だ」

「A!?最高ランクじゃないですか!」

「その通りだ。こんな小さな指輪に魔法が付与されステータスなんかに影響を与える。最高ランクの魔石が適当なのさ」

「なるほど」




「たまに見かけるのはBランクの魔石アクセサリーなんだろうな」

「ですね。Aは流石にそうそう見ないでしょうし」

「強い奴がAランクを倒してアクセサリーを作り、更に強くなると」

「ステータスで開いた差が更に開きますね」

「まぁ、僕達には縁が無かったって事で」

「そうですね。そのアクセサリーの値段で老後の資産になりますからね」

「そういうことだね。では庶民はコツコツとネムリマイタケを狩りますよー」

「それでも庶民とは言えない金額ですけどね」

「ネックレスは明日にでも出来るそうだし」

「楽しみね」

「はい!」

「出来たら見せてくれよ」

「「勿論」」

「サーペントの中に入れて」

「は?それじゃネックレス見えないでしょ」

「あ、菊池君はいいよ。サーヤ君のサーペント姿が見たい」

「くぉら!」




契約の1ヶ月が過ぎた。

ビグレット商会館で更新の話をしていた。


「ワシとしては更新して貰いたいのだが」

「僕達も更新出来ればと思っています」

「それで1つ頼み事が有るのだが」

「頼み事?追加条項ではなく?」

「うむ。嫌なら受けて貰わなくても敵わん。というよりそれでヘソを曲げられたら敵わないと言うのが本音でな」

「ヘソを曲げる・・・厄介そうですね」

「ブフー。聞くだけ聞いてくれ」

「分かりました」

「最近この街近辺にオークが出没しているのだ」

「耳にしてます」

「以前、獣人が街を出て森で暮らし始めたと言ったが」

「えぇ」

「その村にオークの被害が出ている。頼みとはオークの駆除だ」

「オークの駆除」

「ブフー」

「しかしそれは冒険者に依頼すれば良いのでは?」

「それが・・・ワシはこの1ヶ月君達を調査し信用出来ると思い、この話をする。他言無用に願いたい」

「分かりました」

「ブフー。領主ハグデル伯は獣人を差別している」

「「「!?」」」

「弾圧とまではいかないが。冒険者に依頼を出そうにもギルドに圧力を掛けて依頼を出させないようにしているのだ」

「何の為に?」

「分からん。実は今のハグデル伯はギルドウォーの後に赴任して来たのだ。1年ほど前までは差別などしていなかったのだが最近になって・・・な」

「ギルドに圧力など・・・フォセンの統治官の事は?」

「知っておる。流石にあからさまな圧力では無いのだが」

「底辺に職が回らないと言うのも・・・」

「その通りだ」

「しかしそれでは返って領都の発展にはならないでしょう」

「あぁ。しかし領主の羽振りは変わらない、いや。むしろ良くなっているのだ」

「良くなっている?何故です?」

「分からん」

「ふーむ」

「それに良くない噂も有ってな」

「良くない噂」

「ブフー。前の領主様をギルドウォーのドサクサに紛れて追い落とし今の地位を手に入れた、とな」

「・・・噂ですか」

「うむ。前の領主様は人格者であられた。だからこそワシは一代でビグレット商会をここまでの地位まで押し上げられた。ひとえに前領主様の公正な領地経営のお陰だ」

「それがどうして追い落とされたのです」

「詳しいことは分からんが。ギルドと結託して王国や領地に損害を与えたとか。そのような事をするお人ではないのだが」

「ふーむ。つまりギルドに頼むと領主に目を付けられるから隠れて駆除したいと」

「その通りだ。口の堅い者を探しておった。君達が適任なのだ」


「なるほど。しかし懸念も有りまして」

「言ってくれ」

「実はオークと戦ったことが無いのです」

「なるほど。君のパーティは女性が2人、懸念も分かる」

「どの程度の強さなのでしょう」

「うーむ。身の丈は2mほど。筋肉質で力が強く武器を使う」

「俊敏ですか」

「いや。聞いた限りだとすばしっこくはないらしい」

「行動時間帯は」

「昼行性だ」

「それは朗報ですね」

「そうか?」

「森で野宿は嫌でしょう」

「なるほど、確かにな」

「オスばかりだと聞いていますが」

「うむ。女の敵である」

「メスはいないんでしょうか」

「確認されとらんな」

「お抱えの護衛では駄目なのですか」

「まだ村の力自慢に毛の生えた程度でな」

「面目ねぇです」

「精進したまえよ」

「お、おう!」

「直ぐに手を出す癖は直ぐに治した方が良い」

「お、おう!」

「それでオークの事だが」

「あぁ、そうでしたね。値段の方は」

「1匹2000エナでどうだろうか」

「ギルドの相場は?」

「魔石が500、常設討伐依頼で500。計1000エナだ」

「では1000エナで良いですよ」

「何?」

「1000エナで構いません」

「・・・いいのかね」

「お金は僕達よりもあなたが使った方が世の為になるでしょう」

「しかし・・・君達は先日も宝石を200万エナ分も買ってくれたそうじゃないか」

『200万エナ!?』

「秘密でお願いしますよ。トラブルになる」

「す、すまなかった。お前達もそう心得よ」

『は、はい!』

「僕達は魔物を駆除する。あなたは人々を経済的に助ける。役割ですよ、役割」

「・・・すまんな。では引き受けてくれるのかね」

「とりあえず1度狩ってみます。話はそれからで」

「うむ。契約更新の条件には加えないのでそれで構わない」

「では先に更新をしましょうか」

「そうだな」


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