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HappyHunting♡  作者: 六郎
第7章 ライト・マイ・ウェイ (領都バレンダル:アルゴ、マリン、カーラ)
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⑦-01-131

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オストフォルド領領都ロムスコを出て北西に進んだ最初の街では大した稼ぎは期待出来そうになかったので更に北西に進む。

ただ、門を出る時に門衛に注意を受けたのが気に掛かっていた。


「北西に行くとハグデル領領都バレンダルだが、最近オークが出てるらしい。気を付けろよ」


村や野宿で夜を過ごしつつバレンダルに近づいてゆく。


「オークか・・・」

「サーヤ・・・オークって・・・」

「・・・はい。女の敵です」

「そうか。まぁ、容赦なく殺れるのは良いんじゃないか」

「見つけ次第ブッ殺すわよ!」

「はい!」

「オークの交配相手は人間だけじゃ無いんだろ?」

「はい。猪や犬、馬や牛なんかも」

「哺乳類の敵か。逆に気になるな」

「「え!?」」

「同族以外に授精するっていうのがね」

「異種族交配みたいなスキル持ってんじゃない?」

「そう言う話は聞きますね」

「でも魔物図鑑には載ってないのよね」

「まぁ、オスばかりなんだろ?」

「はい」

「ゴブリンと違って、というよりゴブリンが異常なんだが」

「性別も無いしね」

「ゴブリンは異種族交配しないという意味ではまだ生物としてまともだが・・・オスだけか・・・」

「それも異常だけどね」

「前世ではたまに見られるけどね」

「え?」

「単為生殖ってやつだね」

「昆虫とかにいる?」

「あぁ。あと僕の大っ嫌いなナメクジも単為生殖可能だ」

「私はゴキブリね」

「私もです」

「ゴキブリも単為生殖可能だよ」

「えっ!?」

「といっても数匹必要になるらしいけどね」

「「数匹必要?」」

「ナメクジは1匹だけでも卵を産む事が出来る」

「「げー!」」

「単為生殖で更に異種族交配・・・オークって何なのかしら」

「でも哺乳類のオスっていうのが珍しいね・・・哺乳って言って良いのか?」

「・・・生態調査しないからね」

「えぇ!?」

「嫌ですよ!ね!サーヤ!」

「あ、わ、私は」

「まぁ、殺した後でもいいから」

「い・や!」




野宿を終え、明日にもバレンダルに着こうとしていた。

この辺は村は無いらしい。

街道沿いに進んでいるお陰か、オークに遭遇することは無かった。


バレンダルの街壁が見えて来る。

これまでの領都とは違い、像は無く装飾もそれほどではない。

しかし領都だけあって壁もそれなりに高く、長い。

入街税を払い街に入る。

その日は宿に泊まって翌日に冒険者ギルドに向かった。




「こんにちは。新規登録をお願いします」

「こんにちは。新規登録ですね。こちらに必要事項をお書きください」


受付嬢が奥の部屋から帰って来る。


「ではアルゴさん、マリンさん、カーラさん。冒険者カードです」

「ありがとう」


「アルゴ?」

「エチルアルコールからね」

「エチルは使ったからアルコか」

「あぁ。しかしここら辺はネムリマイタケがいるみたいだね」

「ですね。約1年ぶりに狩りますか」

「そうだね。ここんところ指名依頼で大きな金額を稼いでいたせいかショボく感じるが、本来はかなり買取額の高い魔物だ」

「そうですね。私達の原点でもある魔物ですし」

「サーヤ君も。最近までが異常だったんだ、金額にガックリしないようにね」

「はい!」

「採集依頼見て見ましょうよ」

「そうだね」


「おっ!6000エナで依頼があるじゃないか」

「受けます?」

「そうだな」

「ネムリマイタケは北西の森にいるみたいだね」

「今から向かいます?」

「あぁ、そうしよう。十分間に合うだろう」




その日はサクッとネムリマイタケを2匹殺し、魔犬や魔幼虫も幾匹か殺した。

納品を終え代金を受け取り、翌日。

今日は魔犬や魔幼虫がメインだ。

マイタケは毎日は狩らない。

注目を集めたくないからだ。

意味は無いかもしれないが有るかもしれない。

出来る事はやっておく。

そうして魔犬と魔幼虫の魔石を納品館で納品したところ、係員に言われた。


「ビグレット商会のタリルコルさんが面会を求めてますよ」

「ビグレット商会?」

「えぇ。バレンダルで1番の商会です」

「ギルドで会うんですかね?」

「いえ、商会館に来て欲しいそうです」

「・・・分かりました」




納品館を出て宿に帰った。


「どうします?」

「う~ん」

「先ず間違いなくネムリマイタケですよね」

「あぁ、多分な」

「何か問題なんですか?」

「あぁ。恐らく独占したいんだろう」

「私達としては別に良いんだけど、あくどい奴なら面倒な事になるってことよ」

「束縛されるって事ですか」

「もしくは脅されて狩る方法を言わされたりね」

「にしても初日で目を付けられるとは・・・」

「う~ん」

「どうしましょう」

「会うのは吝かでは無いんだが、場所がね」

「商会館が?」

「敵だと仮定すると、敵の本拠地な訳でしょ」

「あ、なるほど。みすみすそんな所に行く必要はないですよね」

「そうなんだよ」

「じゃぁ、ギルド?」

「いや、これまでの経験からギルドは商人寄りだったからな」

「そうですね」

「どこか他に人のいる喫茶店みたいな所が良いな」

「適当な所を見つけてそこに来てもらいましょう」

「そうだね。商員に手紙を渡せば良いだろう」




翌日。

街の人にビグレット商会の場所を聞いて訪れ、商員に手紙を渡した。

待ち合わせの場所は街中の比較的大きな食堂。

個室を予約して予定の時間まで待つと、果たして店員に案内されて一行がやって来た。

ドアから最初に現れたのは護衛だろう、武装している。

2番目に現れたのが主人だろうか。

丸々と太ったヒト族の男で歩くのもきついのか息を吐きながら歩いている。


「アルゴさんのパーティはこちらで宜しかったですかな」

「はい。私がアルゴです」

「私がビグレット商会の会長のタリルコルだ」

「どうぞお掛け下さい」

「うむ」


護衛は全員獣人で4人連れて来ていた。

タリルコルは席に着くが護衛は背後に控える。

店員が茶を持ってきてタリルコルに供し、出て行った。


「では早速ですがおは「おい!」」


護衛の1人が口をはさむ。

目線をそいつに移すと喋りだした。


「なんでお前らがタリルコル様を呼び出すんだよ!」

「は?」

「お前らが来るのが筋だって言ってんだろが!」

「用は無いと言う事ですのでこれで失礼しますね。行くぞ」

「「はい」」


僕等は席を立った。


「なっ、ま、待て!」


止まらずドアに向かう。


「待てって言ってんだろ!」


別の男が追いかけて来てドアノブを掴もうとした俺の手を掴もうと手を伸ばす。

その手を《カウンター》で《受け流し》て逆に手首を掴み、捻り上げる。


「いてて!」


その男の膝裏にローキックをかまし、バランスが崩れた所に足を引っかけ頭を押さえて後頭部から床に落とす。


ドカッ


男は気絶した。


「じゃぁ、僕達はこれで」

「待ってくれんか」


そのまま歩き出す。


「ま、待ってくれ!申し訳なかった!この通りだ」

「・・・1度しか許しませんよ」

「わ、分かった。席に戻って欲しい」

「う~ん、どうしよっかなぁ」

「頼む」

「あなただけじゃなく護衛の奴らにも謝って欲しいなぁ」

「こ、これ」

「え」

「謝るのだ」

「あ、は、も、申し訳なかった」

「よろしぃ。では君達、席に戻ろうか」

「「はい」」


席に座ろうとする。


「よっこい。タリルコルさんでしたっけ?犬の躾がなってませんな」

「も、申し訳ない」ブフー

「ぐぐぐ」


護衛達が歯ぎしりしている。


「あれ、まだやる気なの?」

「こ、これ!」

「うぅ」

「はぁ、もう疲れたから帰ろっかなぁ」

「話を聞いてくれ!」ブフー


一連の騒動で興奮したからだろう、息が苦しそうだ。


「改めて自己紹介をしよう。私がビグレット商会のタリルコルだ」

「アルゴです」

「今日は其方達に依頼が有ったのだ」

「ギルドを通しては?」

「それだと一部ギルドに持って行かれてしまうのでな」

「手数料みたいなものですか」

「その解釈で良い」

「で。依頼内容は」

「ネムリマイタケを狩って来て欲しい」

「お断りする」

「む。何故だ」

「トラブルの元になるのでね。そいつみたいに」


床でのびてる護衛を顎で指しながら言った。


「むぅ」

「お話は以上ですかね」

「ま、待て。条件を聞いてからでもいいのではないか」

「お金よりも働く環境が大事なのですよ」

「働く環境?」

「こんな怖い人達とじゃ目の前の魔物よりも背中が気になって仕方ないですね」

「手は出させん」

「出してましたけどね。今はのびてるけど」

「うーむ」

「じゃぁ僕達はこれで」

「待ってくれ!」


護衛の1人が叫ぶ。


「俺達の態度が悪かったのは謝る!話を聞いてくれ!」

「もう聞きましたけど」

「い、いや、そうじゃなく!」

「では失礼」




僕達は店を後にした。


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