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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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⑥-33-127

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「んん・・・ここは?」

「起きたかい?」

「んん、誰だお前は?」

「エチルって言う者だよ」

「あ、あれ?動かな、あ、縛られてる」

「裸だぜ!?」

「おい!てめぇ解きやがれ!」

「お前らに聞きたいことが有る」

「服寄越せよ!」

「さもねーと女やっちまうぞ!」

「お前らは盗賊団の頭目だな」

「あぁ!そうだ。だから早く解けや!」

「いや、盗賊なら尚更解かないだろ。馬鹿なの?」

「何だとてめぇ!魔法でブッ殺すぞ!」

「そ、そうだ魔法だ!」

「覚悟しろよ!今から魔法で・・・」

「あ、あれ。魔力が・・・」

「魔法が使えねぇ」

「な、何しやがったんだ!?」

「魔力が拡散する枷だ。後ろ手に嵌めてるから見えないだろうが」

「外せって言ってんだろ!コラッ!」

「外さねーと殺すぞ!」

「女もやっちまうぞ!」

「だから外す訳ないだろ、馬鹿なの?」

「てめぇ!」

「はぁ、馬鹿と話すの疲れるなターニャ君。よろしく」

「はい」


メイスを振りかぶってスウィングする。


ボグゥ


二の腕を叩き折る。


「ぎゃあぁ!?」

「な、何をしやがる!?」

「殺すぞ!」

「ターニャ君。全員にご馳走してあげて」

「はい、喜んで」


ボグゥ

ボグゥ


「ぐあぁ!」

「うあぁ!」

「もう一度聞くね。お前らは盗賊団の頭目かい?」

「そ、そうだって言ってんだろ!」

「いってぇんだよ!殺すぞ!」

「お~、女やっちまうぞ!」

「ターニャ君。両手に欲しいそうだ」

「はい、喜んで」

「ちょ、待てって!ま、ぐあぁ!」

「そうだ!俺達があぁぁぁ!」

「やめ、やめらがあぁ!」

「もう一度だけ聞くね。お前らは盗賊団の頭目かい?」

「そ、そうですぅ」

「俺達がやりましたぁ」

「そうかそうか。やっと話が通じたな。全く、馬鹿の相手は疲れるよ」

「な、何が知りてぇんだ」

「はぁ~、口の利き方も知らないのか。ターニャ君、膝。あ、矢が刺さってない方ね」

「はい、喜んで」

「ちょ、待てって!ま、ぐあぁ!」

「そうだ!俺達があぁぁぁ!」

「やめ、やめらがあぁ!」

「お前ら立場って分かってる?」

「は、はい」

「すみませんでした」

「うぅ」

「そうそう。やっと会話になるな」

「ううぅ」

「いてぇ」

「討伐隊に内通者がいるな?」

「は、はい」

「名前を言え」

「はい」


それから賊は内通者の名前を言った。


「それで証拠はあるのか?」

「無いです」

「そうか。告発しても証拠が無きゃ意味ないな」

「ですね」

「どうします?」

「うーん。お前らがあんな大盗賊団を作れるとは思えないな」

「ど、どういうことだ?」

「お前らみたいな馬鹿が300人もの盗賊団を組織出来る訳がないって言ってんの」

「うぅ。す、スポンサーがいました」

「スポンサー?」

「は、はい」

「誰だ?」

「名前は知りません。会った事も無いです。人を介して援助や方法を教えてくれて」

「ホントです」

「どこでだ?」

「街です」

「どこの?」


街の名前も聞く。


「そのスポンサーから内通者を紹介されたんだな」

「そうです。それで最初から言うと、その街で冒険者やってたらクランを作らないかって声を掛けられて」

「クラン?」

「はい。パーティは8人までだけどもっと人数を増やして」

「あぁ、アライアンスの事か」

「アライアンスはステータス画面でのことで。クランはギルド上の組織っつーか」

「なるほど」

「何百人ってなった時に軍隊作らないかって」

「軍隊?」

「はい。お前らなら王になれるって言われて」

「中二病が疼いたと」

「はい・・・って中二病?」

「厨二じゃなくて?」

「ネット世代だな」

「なんでそんな言葉を?」

「僕達もテロで死んだからな」

「なっ!?」

「あ、あんたらも!?」

「じゃ、じゃあ、転生者!?」

「あぁ」

「だったら助けてくれよ!」

「そうだ!」

「何故そうなるか教えてくれ」

「だって、同郷者だろ!?」

「日本人だろ!」

「助け合うのが日本人だろ!」

「罪無い人から奪い殺し犯す。それが日本人だと?」

「い、いや」

「だって!俺達も殺されたんだぜ!」

「そーだ!」

「殺したのはこの世界の人達じゃないだろ」

「そ、そーだ・・・」

「あの多面体は未成年には成長補正を与えるって言ってたが・・・成長補正してあれだけの魔法が使えるようになったんだな」

「ですね。導く大人が居なかったのか・・・」

「いや、元から腐ってんだよ。前世で育ったとしても碌なモンにはならんよ」

「くっ」

「奪って殺して犯したんなら、自分もそうされても文句は言えねーよな」

「俺も殺されたんだって!」

「そーだ!」

「僕達も殺されたんだけど真面目に生きてますよ」

「はい。真面目に冒険者してます」

「会社の同僚は街壁工事の仕事してるよ」

「えぇ。お金貯めて商売始めるって言ってましたね」

「うぅ」

「元から、腐ってんだよ。お前ら」

「こ、殺すのか!?」

「どうせ死刑だろ」

「は?」

「いや、盗賊ってこの世界では死刑だぞ?」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ」

「あの世に行ったら多面体によろしくな」

「待てって!」

「死にたくねーよ!」

「まだ20才にもなってねーんだぞ!」

「20才になってないのに何人の人を殺したんだよ。何人犯したんだよ」

「「「・・・」」」

「今度生まれ変わる時は深海魚になりなさい。この世界の深海魚なら人間に会わずに済むから迷惑にならないだろ」

「や、やだよ!」

「なんで魚なんだよ!」

「たまーになら水面に浮かんで来ても良いぞ」

「だから魚は嫌だっつってんだろ!」

「急に浮かび上がるなよ。水圧の違いで目ん玉飛び出すぞ」

「嫌だって!」


「じゃぁ、そろそろお別れの時間だよ坊主たち」

「ちょ、待って!殺さないで!」

「はんせい、反省してます!このとーり!」

「本当に?」

「ほ、ホントホント!」

「マジで!」

「うーん。分かった」

「先輩!?」

「ホントか!?嘘吐くなよ!」

「マジで!嘘吐きは泥棒の始まりだぞ」

「盗賊に言われたくねーけど・・・マジだ。僕達は殺さない」

「カズヒコ様・・・」

「マイン君、ターニャ君。川の近くまで連れて行くぞ」

「え、ちょ、何で?」

「僕達は殺さない。後は運を天に任せるだけ」


川縁に3人を引き摺って行く。


「いてぇって!」

「引き摺んなし!」

「玉が!玉が!」


「良し!戻るぞ」

「「え?」」

「藪に戻るんだ。急いで」

「「は、はい」」


しばらくすると川に魔力反応が出る。

藪から様子を見る。


「そろそろ来るぞ」

「何が来るんです?」

「来た!」


水面から何かが飛び出す。

いや、飛んで来る。


「「ウォーターリーパー!」」


ザシュッ

シュバッ


「うああぁ!」

「いてぇ!」

「ぐあぁ!」


両手両足を潰され移動する事が出来ない3人はどんどん斬り裂かれていく。


「しかしウォーターリーパーが小さいから傷も致命傷にはならんな」

「当たり所さえ悪くなければそうですね」

「生殺しとも言いますね・・・」

「ここからだよ、君達ぃ。陸に上がったリーパーはこれからどうするのか」

「はぁ~、また観察だよ」


陸に上がったウォーターリーパーは前鰭を使ってヨタヨタお腹の所まで来ると、


シュバッ


「ぎゃあぁぁ!」


はらわたが出て来る。

更にそのはらわたも、


シュバッ


「ぐぅ・・・ぅ」


「凄いぞ。柔らかい部分を狙って斬り裂いてる」

「うわぁ・・・」

「はらわたを食ってるな。なるほど」

「何がなるほどですか!」

「本能的に柔らかい位置を狙ってるんだな。飛んで来る時も首とか狙ってたし」

「た、助けてくれー!」

「大声を出せば更に呼ぶだけだろうに」

「おえぇ」

「おい!大きな魔力反応!川からだ!」

「「えぇ!?」」


ざぱぁっ


大きな蛇が川から上がって来た。


「べ、ベア・ボア!?」

「ベアボア?あれが!」


全長10mはあるだろうか。


「た、たすけ」


イモムシの様に這って逃げようとするが足に噛みつかれてしまった。

足から徐々に飲み込まれていく転生者。


「助けてくれー!」

「哀れな・・・」

「あぁは死にたくはないわね」

「はい」

「見たまえ。蛇の顎の関節は2つあって上下に大きく開くんだが、下顎の先は骨が無いんだよ」

「「え?」」

「靱帯で繋がってるんだ。だから口は上下左右に大きく開いて頭よりも大きい物を丸飲みすることが出来る」

「「うわぁ」」

「下顎が左右に分かれてるから左右で交互に動いて徐々に飲み込んでいく」

「「うわぁ」」

「更に人間には胸骨という、胸の真ん中に肋骨を繋げる縦の骨が有るだろう」

「「えぇ」」

「その胸骨が蛇にはないから肋骨が開いて腹よりも太い獲物を動かしていくんだ」




大蛇の口から顔だけ出した転生者が尚も助けを求めて叫ぶ声が森に木霊した。


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