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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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⑥-20-114

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ウルマンは1人、森に入って行った。


「ウルマン様大丈夫かしら」

「先輩が動かない内は大丈夫よ」

「エチルが?」

「えぇ」

「・・・まぁ、あなたがそう言うなら」

「ジャックの様子は?」

「えぇ。お陰様で。意識もはっきりしてるわ」

「じゃぁ拠点から街へ送って病院に入院かな?」

「えぇ。そうなるでしょうね」

「そうなったら依頼はどうする?」

「続けるわ。4人はまだ戦えるから」

「そうか」

「そう言えば、エチル」

「うん?」

「昨日、私に魔力ポーションを渡したわよね」

「あぁ」

「私が水魔術士って言ったかしら」

「いや」

「じゃぁ、どうして」

「少し調べさせてもらったよ」

「ふーん」

「小隊を組むんだ、当然だろう?」

「まぁね。じゃぁフイネのことも?」

「あぁ。勿論だ」

「何魔法?」

「光だろう」

「・・・良く分かったわね」

「調べたからね」

「ふーん」

「しかしどんな魔法かは知らないが」


「凄い魔法だったぞ!」

「ウルマン様!」


ウルマンの目が赤い。

焚火の火が映ってる訳ではないようだ。


「大丈夫ですか!」

「あぁ。心配をかけたな」

「まぁ、生理現象なら仕方ありませんよ」

「オラァ!」

「ぐほぁ!」

「はっはっは。まぁ、似たようなものだ」

「ぐふっ、しかし今日はみんなどうしちゃったのかねぇ」

「何が?」

「いや、何がって。人が変わったというか何というか」

「良い方に変わったんなら良かったじゃない」

「まぁ、でもなぁ。何か変なものでも食べました?」

「もう!」

「あっ、魔犬か!ウルマン様!貴族の方々に是非魔犬を食すようファーダネ様に進言を!」

「はっはっは。考えておこう。しかしエチル」

「はい」

「これからはレネと呼んで欲しい。前みたいにな」

「いえいえ恐れ多い」

「何を今更」

「是非呼んでくれ。エチル」

「・・・分かりました。同じ死線をくぐった仲ですし」

「そうか!」

「では明日の予定ですがウルマン様」

「エチルぅ!きーさーまー!」


「しかしフイネの魔法は凄かったぞ!」

「あつつ。どう凄かったので?」

「《バリア》だ」

「バリア?」

「うむ。ロブゴブリンの攻撃を防いでいた」

「「「ロブの攻撃を!?」」」

「あぁ。あれが無ければ私達は全滅していただろう」

「いえ、私なんか・・・」

「いや、事実だ。非常に助かった。改めて礼を言う」

「そんな!ウルマン様に礼だなんて・・・」

「ロブの攻撃を・・・凄いね」

「ううん。私の魔法なんて《バリア》出したり《ライト》出したり、攻撃には役に立たないものばっかりだし」

「「!?」」

「ちょ、ちょっといいかな?」

「どうしたの?」

「2つの魔法が使えるの?」

「えぇ。そうだけど」

「・・・それって普通?」

「あー、なるほど。今までに会った魔法使いは1つしか使えなかったのね?」

「あぁ!その通りだ」

「なるほど。マイン、魔法使いのステータスやスキルのレベルが関係してると言われている」

「ステータスとスキルレベル」

「そうだ。他にも有るかも知れないらしいが有力なのはそれだ」

「上げていくと新たに使えるようになるんですか?」

「あぁ。スキルを習得する時に神の声が聞こえるだろう?」

「神の声・・・」

「僕達精霊信仰なんですウルマン様」

「エーチールー!」


「じゃ、じゃぁステータスとスキルレベルを上げていけば声が聞こえるようになると?」

「あぁ。因みに私も2つ使える」

「あつつ。そう言えば集落を焼いてましたよね?」

「うむ。《ファイアーサージ》だ。もう1つは《ファイアーアロー》だ」

「喋っても良いのですか?」

「ウルマン様は有名だから」

「あぁ、フランベルジュ」

「う、うむ」

「折れかけましたけどね」

「エーチールー!」

「ぐうぅ・・・ギブギブ」

「フイネ、《ライト》って光の玉を出すの?」

「うん。見る?」

「是非!」

「眩しいから気を付けてね」

「うん」

「~~~~~~~~~~《ライト》!」


暗闇を斬り裂く光が発現する!


「うわぁぁぁ!」

「眩しい!」


光は急速に収束した。


「ご、ごめんね!」

「い、いや。思ったより眩しくて」

「うむ。凄まじい白さだ」

「いつもはもっと小さいんだけど力んじゃったみたい・・・」

「凄いじゃないか!」

「そんな・・・目晦ましかランタンの代わりくらいしかならないよ。戦いの最中にやったら今みたいに味方も目が眩んじゃうもの」

「はぁ?ランタンの代わり?何を馬鹿な!」

「え」

「射程は?」

「ん、20mくらい」

「任意の位置に出せる?」

「うん」

「じゃぁ、凄いじゃないか!」

「え」

「例えば今回の盗賊討伐だとしたらだね」

「うん」

「ジャックとカイルが賊を惹き付けワザと退却する。そして追いかけて来る賊の目の前に発現させるんだ」

「うん」

「そうすると賊の目が眩む。さっきの僕達みたいにね。でもジャックとカイルは背を向けて逃げてるから2人は大丈夫だ」

「うん」

「そこにコールが矢を撃つんだ。それだけで1人死ぬ」

『おぉ!』

「ジャックやカイルが傷付くこともない。安全に1人殺せる」

『なるほど!』

「それよ!フイネ!これで行きましょう!」

「う、うん」

「勿論目が有る魔物にも使えるだろうから、今後お金も稼ぎやすくなると思うよ」

「やったわ!フイネ!」

「う、うん!ありがとう!」


「はぁ~」

「どうしたのダナ」

「ダナは疲れたんダナ」

『しらー』

「ど、どうしたのかな。ダナ君」

「フイネがそうなると私も攻撃魔法欲しいなぁって」

「べ、別に《ライト》は攻撃魔法じゃないよ」

「でもさー。私のは《イマジネートウォーター》でしょ。集落じゃないけど火事を消すくらいしか、あと昨日みたいに鍋に水を足すくらいだし」

「ダナ」

「な、なに」

「パーティで1番の荷物は何か分かるかい?」

「んー。テント?」

「違うぞ!ダナ」

「ウルマン様」

「1番の荷物は水だ」

「え」

「生き物に1番重要なもの、水。それが1番の荷物なんだよ、ダナ」

「え」

「カイルが僕達に荷物が多いって言ったけど。それはダナがいるから君達の荷物が少ないんだ」

「エチルの言う通りだ。軍の補給で1番頭を悩ますのが水なのだ」

「今回君達は荷物を失ってしまったね」

「う、うん」

「でもダナがいれば、水が無くて死ぬ危険は無いんだ。これは凄いことだぞ」

「その通りだ」

「うん・・・でも」

「射程は?」

「え」

「《イマジネートウォーター》の射程」

「うん。20mくらいかな」

「に、20m?」

「うん。多分」

「大きさは?」

「最大で?」

「そうだね」

「~~~~~~~~~~《アクアボール》!」


みんなから少し離れた所に直径1mほどの球が現れた。


「でっか!」


バシャン

水玉は落ちて水溜りになる。


「凄いじゃないか!」

「そうかな?」

「出すだけ?」

「出すだけ」

「動かせないの?」

「?動かせるよ」

「どの位まで?」

「魔力が続くまで」

「凄いじゃないか!」

「そ、そうかな?」

「例えば今回の盗賊討伐だとしたらだね」

「うん」

「賊の頭の上に発現させるんだ」

「頭の上に?」

「あぁ。それをすっぽり頭に被せる」

「うん」

「息が詰まる」

「うん」

「窒息死だ」

「それは難しいのよ。暴れて外れるし」

「動かせるんだろう?」

「あ、うん」

「動かせばいいじゃないか」

「うん、そうだけど」

「人間は突然窒息すると大体1分で気を失うんだ」

「1分。長いね」

「もう1分で死ぬ」

「2分必要なんだ。戦闘じゃあんまり役立たないよ」

「窒息死って最も苦しい死に方の1つって言われてるんだ」

「へー」

「だから突然水玉に頭を包まれたら必死に外れようとするだろう」

「そうね」

「その時間そいつはジャックやカイルを攻撃出来ない」

「・・・」

「そいつがパニックになってる間ジャックかカイルが攻撃すれば良い。もしくはコールが撃てばいい」

「おぉ!なるほど。命を救う水が一転して命を奪ってしまう。怖いな」

「そっか」

「相手が魔法使いだと詠唱を中断させられるだろう。そうすると」

「ジャックやカイルが傷付かずに済む」

「そういうことだね。殺す必要は無い、味方が殺される機会を減らせればいいんだ」

「ダナ」

「カイル。私やってみる」

「あぁ。頼むぜ!」

「先ずはカイルで試してみたら?」

「なっ、エチル!」

「ふふっ、そうするわ」

「ダナ!」


「しかしよく考えつくな。エチルは」

「僕達は奇襲が得意でして」

「あぁ。そう言ってたな」

「正々堂々となんて戦いませんよ」

「うーむ。しかしだな」

「味方の損害が無い方が良いに決まってる」

「・・・」

「敵は容赦なく殺します。でも味方は無傷で済ませます。これが僕達の戦い方です」

「・・・そうか」

「無傷で済むなら・・・どんな卑怯な手でも使いますよ」



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