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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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⑥-15-109

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首から墳血が迸り地面を染める。

地面に倒れるロブ。

トドメに延髄を突き刺して抉った。


《魔力感知》で周囲を調べる。

俺達の周りに反応は無い。

集落に2,3あるな。

虫の息のゴブリンのようだ。


あいつらは居なくなっていた。


「出て来て大丈夫だ」

「先輩!」

「カズヒコ様!」

「良くやってくれた」

「無事で良かった!」

「良くぞご無事で!」

「サーヤ」

「はい!」

「バッグからスタミナポーションを」

「はい!只今!」

「20は殺ったんじゃないか?」

「えぇ。それくらいは殺りましたね」

「あいつらは・・・」

「後退していきました。追われてましたけどね」

「ロブ・・・強かったよ」

「えぇ。ゴブリン巻き込んでましたね」

「1撃が重い。とても《受け流》せんな」

「カズヒコ様!」

「あぁ、ありがとう」


スタミナポーションを飲む。


「スタミナポーションか・・・」

「どうしたんですか?」

「これ夜の営みにも効くんだろうか」

「「!」」

「もう!こんな時に!」

「サーヤ君どうだったかな?」

「え・・・あ、はい。スタミナポーションは使っていませんでした」

「スタミナポーションは・・・か。別に有るんだな」

「ちょっと!サーヤに思い出させないで!」

「!・・・そうか、済まないサーヤ君。デリカシーが無かったな」

「・・・いえ」

「知りたいと思うとつい・・・ね」

「はい。存じてます」

「すまんな」


「それよりこれからどうするんです?」

「・・・あぁ。さっきロブが最後に吠えてたろ」

「えぇ、そう言えば」

「あれ仲間呼んだんじゃねーかなって」

「・・・えぇ!?ちょっと、早く逃げましょうよ!」

「カズヒコ様!」

「いや、ここで逃げたら依頼失敗となる」

「そんな場合じゃ」

「ファーダネが挟み撃ちに遭い盗賊討伐は失敗、大勢の人が困るかもしれん」

「私達が犠牲になるの?」

「いや、依頼は集落の殲滅だ」

「だから!」

「期間は設定されていない」

「・・・持久戦?」

「3分の1は俺達が殺した。3分の2も、時間を掛ければ殺れる」

「自信有るの?」

「作戦はある」

「どんな?」

「問題はロブだ」

「そうね」

「最悪2匹来た場合を考える」

「それで?」

「1匹は俺の雷で仕留める」

「なるほど!」

「魔法解禁ね?」

「あぁ。菊池君は《風刃》(エアロエッジ)と弓でゴブリンの数をとにかく減らせ」

「了解」

「サーヤもクロスボウでとにかく数を減らせ」

「了解!」

「罠を張る。君達は矢の補充と菊池君は魔力ポーションを持て」

「「了解!」」


俺が罠を設置している頃《魔力感知》に反応が有った。


「来たぞ!」

「「了解!」」


結構な勢いで来るな。

そして結構な数だ!

強い反応は2匹。

最後尾だ。


やがて騒がしい一団が藪から飛び出す。


「グギャギャギャァァァ!」


先ずは《受け流し》て手首を斬り落とす。

さっきと同じだ。

数は倍だが。

ミキの《風刃》もあるが殲滅力が足りない。

《受け流し》た隙をついて死角からゴブリンが襲ってくる。


ドゴォ


罠に引っ掛かり派手に転ぶゴブリン。

顔から行ったな。残念!

後退しながら引き込む作戦だ。

罠が無いのは俺の正面だぜ。

罠でスッ転んでいくゴブリンは矢が刺さりそのまま起きない。

3人で20匹近くを殺れたところに、


「遅いご到着だな」


ロブが2匹姿を現す。

はぁはぁ言ってる。

結構な距離走ってきたようだ。


「ブルアァァァ!」

「ゴルアッァァ!」


傷付いたロブの方が遅くやって来た。

元気なロブが俺に向かってくる。

大きく振りかぶって迫りくる。

どっちだ、

そのまま振り下ろす。

縦振りだ。

右斜め前に詰め懐に入る。


「《雷撃》(サンダーボルト)!」


大熊のような時間を掛けられないが2、3秒は食らわせてやれた。

眼球が破裂し血が流れる。

口を開けながら顔から倒れ込むロブ。


「ゴアァァァ!」


残ったロブと倒れたロブを挟んで対峙する。

飛び越えて来るか回り込んで来るかしなければ俺に近寄れない。

その間にゴブリンの数を減らす。

倒れたロブから、つまり正面からはゴブリンは来れない。

対して右側から来るゴブリンに対処する。

左側は彼女達に任せる。

順調だ。

順調に数を減らせている。

怖いくらいだ。

こーゆー時に何か起こってしまうんじゃないかと勘繰ってしまうほどに。

気持ちよく散歩してると側溝に落ちてしまうみたいに、

そしてそいつは落ちるんじゃなく飛んできた。


「うおっ?」


ドオォォォン!


倒れたロブを飛び越えて傷付いたロブが攻撃を仕掛けて来た。

飛び越えては来ないだろうと思っていたので虚を突かれた。

ただ横薙ぎではなく縦振りだったので少し躱すだけで避けられた。

咄嗟に額にマチェーテを振り下ろす。


「グオアァァァ!」


しかし浅い。

やはり長さが足りない。

しかし顔を滴る血でよく見えないようだ。

横薙ぎの棍棒が周囲のゴブリンを蹴散らす。

俺を探すように辺りを見回す。

その顔に石をぶつける。


「グオオォォ」


もう1発ぶつける。


「グゥゥゥ」


更にもう1発。


「グルアァァァ!」


激高した!

棍棒を誰かれ構わずぶん回す。

狂乱状態だ。

周りのゴブリンも逃げ惑っている。

その間も矢は飛んできている。

何匹かのゴブリンは矢の飛んで来る方へ駆けて行った。行ってしまった。

しかし数匹だから大丈夫だろう。

ミキは魔法と弓が、サーヤはメイスとクロスボウが有る。

ミキは接近戦が無理だがサーヤと合流すれば大丈夫だ。

問題は俺だ。

援護が無くなってしまった。

俺は今《魔力検知》を片目で使っている。

両目で使うと魔力の世界となり藪や木の裏のゴブリンまで視えてしまい周りを把握しにくいからだ。

藪や木の裏の敵にまで対処する必要はない。

今にも襲い掛かって来る敵に対処するため普通の視覚も使っていた。

片目だけ《魔力検知》を使うなんて、流石【DEX】が高いだけはある。

器用だ。

しかしそれも援護があってこそ。

狂乱状態のロブが作った空隙で両目検知し周りを確かめる。

まだ10匹以上いるな。

2人の所を視る・・・届かない。

《魔力検知》の範囲外だ。

《魔力感知》で探る・・・2匹か。

大丈夫そうだ。

やっぱり問題は俺だな。


いや、しかし良くここまで減らせたとも言える。

2人が戻って来るまで耐えればいい。

そうだ、希望が見えて来た。

こういった場面では武器スキルが有ればと思うでもない。

しかし無いものを思っても仕方がない。

今出来ることに専念するんだ。


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