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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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「我々は明朝、本体と共に進発。1日目の野営地で共に過ごした翌朝、本体と別れて集落に向かう。何か質問は?」

「はい」

「エチル」

「輜重隊は付かないんですか」

「うむ。たった2小隊、各自で持って行く」

「へっ、ゴブリン集落に補給隊なんていらねぇよ」

「森の中だから馬も無しと」

「そうだ」

「案内は?」

「地元の猟師が1人つく」

「分かりました」

「他にあれば、無ければこのまま解散」


僕達は別れて街中へ向かう。


「はぁ、失敗したぁ」

「大熊ですか?」

「あぁ。見せなきゃ良かった」

「まぁ、しょうがなかったんじゃないですか。ね、サーヤ」

「はい。気にする必要無いですよ」

「安全な戦争が」

「戦争に安全も無いでしょう」

「私達が呼ばれてたって事は最初から決まってたって事でしょうし・・・」

「そうよ。切り替えましょ」

「そうか。やはり落ち着いた大人な女性はやり手だねぇ。レネ嬢の方が扱い易いよ」

「それでこれからどうするんです?街の中心部に行ってるって事は何か買うんでしょう?」

「あぁ。先ずは食料と水、それにコンパスみたいなの・・・矢も買っておこう」

「足らなくなるの?」

「失敗したらね。森の中を彷徨うことになるだろう」

「失敗するの?」

「可能性は高いな」

「「えー!やだぁー」」

「今更かい!」


上位種。

熊の上位種があの強さだった。

熊より弱いだろうゴブリンの上位種とはいえ数が居るらしい。

連携も取れないだろうあのメンバーで果たして大丈夫だろうか。

補給品を買い宿に戻って明日に備える。




翌朝。

討伐隊は街を出発し1日目の野営地を目指し街道を進む。

野営地は駐屯所みたいな施設が作られていた。

食料などの物資の集積所でもあるみたいだ。

レネ嬢と明日の打ち合わせをしてその日は就寝。


翌朝。

そのまま北西へ進む本隊と別れ、僕等の対ゴブリン部隊は一路を北へ。

ここから森の中だ。

先頭はジャックのパーティでコールと猟師が先導している。

張り切っているようだ。

中衛にウルマン隊。

後衛に僕等だ。

ウルマン様は盾を背負っていた。


道半ばで昼休憩を取る。


「おめぇらそんな重装備で大丈夫なのか?」

「食いもんはやらんぞ、ナイル」

「カイルだ!いるかっ!」

「エチル。我々は速やかにゴブリンを殲滅し本体に合流せねばならん。遅れるようなら置いていくからな」

「へいへい。どうぞどうぞ」

「貴様!ウルマン様に向かって!」

「よい。こいつはこのような男なのだ。気にしては駄目だ」

「は、ウルマン様がそう仰られるのなら」


どうやらレネ嬢の隊もウルマンファンみたいだ。

完全アウェイ。


「ウルマン様1つ質問が」

「なんだ、エチル」

「紋章のグリフォン、あれはどういう意味です?」

「・・・知らんのか?」

「だから聞いてるんですが」

「貴様!」

「よい。貴様は王国の出身ではないのだったな」

「えぇ」

「グリフォンは王国の象徴だ」

「ほう。そういえばロムスコの像はグリフォンに跨っていましたね」

「そうだ。建国王はグリフォンに乗って国を平定したという言い伝えだ」

「グリフォンは・・・存在するのですか」

「あぁ、勿論だ。よく見る魔物では無いがな」

「なるほど。建国王が国を平定したように、ファーダネ閣下が盗賊を平定されるのですな」

「・・・なるほど!そうだな、まさに!」

「さしずめグリフォンはウルマン様ですかね」

「!そ、それは恐れ多い・・・いや、その気概で・・・」

「ゴブリン殲滅は成功させねばいけませんね」

「そうだ!その通りだ!成功させねば!」


・・・はっぱかけ過ぎたか?


昼休憩を終え道なき道を進む。

集落までまだ少しあるという所でキャンプする。

夜間戦闘は人間には不利だ。

それはウルマン嬢も分かっているらしい。

その夜はパーティごとに夜番に就いた。


翌朝。

数時間歩いただろうか《魔力感知》に反応が有った。


「集落だ」

「着きましたか」

「先頭はまだ見つけられてないようですが」

「一応心構えはしておいてくれ」

「「了解!」」


やがて先頭も見つけたのだろう。

集合となった。

物見が様子見から戻って来て報告する。


「結構いたな」

「50匹以上はいますね」

「62匹です」

「な、何?」

「全部で62匹、ロブゴブリンらしきは3匹」

「・・・エチル。何故分かる」

「秘密です」

「なんだと!」

「契約書を出すのでちょっとお待ちくださいね・・・」

「・・・分かった。62匹で対応せよ」

「信じるんですかい?」

「それ以下であれば問題ない。その数で心構えるように」

「はっ」

「えーと、作戦は?」

「騎士隊および前衛は突撃、後衛は援護だ」

「・・・それだけですか?」

「我々はすばやく殲滅せねばならん。1人4匹を倒せば直ぐ終わる」

「・・・いや、ロブゴブリンがいるんでしょ」

「ロブは騎士隊で対処する。お前らは雑魚をやれ」

「・・・合流が目的じゃないでしょう、殲滅をもっと」

「だまれ。勢いが重要なのだ。やつらに時間を与えてはならん」

「そうだ!てめぇはすっこんでろ!」

「・・・はぁ、カイル」

「カイルだ!」

「そう言ってんだろ」

「ぐぅ」

「震えてるじゃないか、エチル。大丈夫か」

「武者震いです」

「だと良いがな。良し行くぞ」

『おう!』


「先輩?」

「突撃だってよ」

「えぇ!?結構いますよ」

「勢いが大事なんだってさ」

「止まらなきゃね!止まったら途端手詰まりですよ」

「俺は罠を張る。君達は藪から出ないように弓で援護」

「「了解!」」

「バッグは俺が持って行く。バッグは後ろに木の枝に布を巻いた位置に置いておく」

「「了解!」」

「繰り返すが、ゴブリンは近視だが光のコントラストに敏感だ。気を付けてくれ」

「「了解」」

〈うおぉぉぉ!〉

「始まったな。援護を」

「「了解!」」


2人が駆けていく。

俺はバッグを後方に持って行き印をつけ、罠を張りに戻る。

幾つか罠を張り終え、藪から集落を覗いてみる。

周囲の藪から10mくらい離れた所に集落の端がある。

60匹なので結構な集落だ。

木の枝を組み合わせただけの簡素な家が燃えている。

フランベルジュがやったのだろう。

騎士隊は集落を少し入った所まで突き進んでいたがそこから先に進めていない。


ロブだ。

筋肉モリモリで人間より少し高いゴブリン。

1匹は傷だらけだ、恐らくレネが付けたのだろう。

しかしもう1匹が駆けつけて2匹になるとトドメは刺せなかったようだ。

騎士隊だけでなく、ジャックとカイルも駆けつけて対処している。

いや、お前ら雑魚どーしたの!?

2人の女性魔法使いは藪を出た所で心配そうに見ている。

ダナは魔術師ギルドのおじさんと同じ魔力を感じた。

水魔法だ。

火を点けてる集落にブッ放す訳にはいかないのだろう。

もう1人の女も同じように見ている。


斬り込んだ兵士に群がろうとするゴブリンは菊池君とサーヤ君が射殺していた。

2匹のロブを足止めする為に10人がかりだから雑魚の数が思ったより減っていない。

コールもいい所を見せようとしたのか姿を見せて矢を放っている。


そこにもう1匹のロブが姿を現した。

しかしあいつらは気付いていないようだ。

ロブは態勢を低くしてあいつらに突進をかました!

騎士が2、3人吹っ飛んで、吹っ飛んだ先でゴブリンに袋にされている。

悲惨過ぎる!

突進したロブゴブリンはあいつらの中心で棍棒を振り回した。

隊形が崩れて徐々に後退していく。


くそ!

あいつらが死んだら次は俺達だ。

今から逃げる?

逃げてもしファーダネの隊が挟み撃ちされたら?

任務放棄で俺達はお尋ね者か?


くそ!

失敗するにしてもある程度は数を減らした方が生き延び易いだろうし、

ファーダネが挟み撃ちされても対処出来るかも知れない。


くそ!

やるしかない。

彼女達を危険に晒してしまった。


いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない。

先ずは生き残る。それが最優先だ。

その為には敵の数を減らす。

よし、それでいこう。


2人の下へ走った。


ゴブリンの近視に関する話は第2章19話、通し話数36話を参照。

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