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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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⑥-12-106

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「諸君!いよいよこの時が来た!

かの大盗賊団を我々が撃ち滅ぼす時だ!

諸君らの中には親兄弟を殺された者、

恋人を殺された者、

友人を殺された者、

全てを奪われた者、

色々いるだろう。

その恨みを晴らすべき機会を国王陛下は与えて下さった!

奴らを殺し!踏みにじり!蹂躙せよ!

我々がきゃつらを滅ぼして王国土に再び平穏をもたらすのだ!」


〈〈〈うおおおぉぉぉ!!!〉〉〉


「うおぉぉ、雰囲気凄いな」

「それだけ恨みが有るんでしょうね」

「奴ら死んだな」

「だと良いんですけど」


王国軍が進軍を始めた。

俺達はその後を付いて行く。

いつの間にか沿道に人々が集まっている。

顔が怖いな。

代わりに殺してくれって感じだな。

そう叫んでる奴もいる。

犯罪者を改心させる?

この人達を見て言えるかね。


討伐隊は街を目指していく。




「残暑も和らいできたね」

「そうですね」

「涼しくなってきましたね」

「なんで盗賊になるんだろうか」

「・・・やむを得ない事情があったって?」

「うーん。どうみても割に合わないだろう」

「どうしようもなくなって、かな」

「貴族や商人に奪われてとか」

「恨みのため?でも村人や旅人襲っちゃ駄目でしょ」

「そうなんだよな」

「奪われたから奪い返すんなら奪った奴からじゃないと」

「無差別はな・・・」

「無差別テロは・・・駄目ですよ」

「奪われたから俺も奪って良いって言うんなら、奪われることも覚悟しないとな」

「命を?」

「あぁ」

「私達も・・・魔物を殺してるけど・・・覚悟はしないとね」

「もしあいつらが命乞いしたら助けるかも」

「「えっ」」

「タマ潰して手足も潰して放置するかもな」

「それ助けるって言わないでしょ」

「散々好き放題やって、最後に助けてくれって、何なんだろうね」

「・・・人間って事ですよ」

「あいつらはブッ殺します」

「・・・そうだな。先ずメイスでタマ潰そうぜ」

「はい!」




目的の街に着いて2日泊まった。

街の統治官と折衝をしているらしい。

補給なんかの話だろう。

宿に泊まっていると連絡員が来た。


「おい!3番小隊!全員集めたら領兵宿舎まで集合しろ!」


3番小隊。

俺達の隊だ。


「何だ?」

「何かやらかしました?」

「僕が?」

「レネさんをいじったとか」

「あれ以来会っていないぞ」

「じゃぁ、何でしょうね」

「さっぱりだ」


ダナ達と領兵宿舎まで行く。

部屋に通されるとファーダネ卿が居た。

お付きの2人も。


「やぁ、久しぶりだね。エチル君」

「お久しぶりでございます、閣下」

「おや、変わった服装だね」

「はい閣下。オーダーメイドです」

「そうか。早速だが依頼が有る」

「依頼?」

「あぁ。ここから北に村が有る。そこから北西に行けば例の拠点だ。その中間にゴブリンの集落が有るらしい。それを潰して来てもらいたい」

「軍は行かないので?」

「行けないのだ。行けば盗賊共とゴブリンに挟み撃ちにされるかもしれん。更にゴブリンを無視して盗賊拠点に行ってゴブリンとの挟み撃ちも考えられる」

「となると、閣下本隊は盗賊の拠点に行き盗賊を押さえ、別動隊がゴブリン集落を潰すと」

「理解が速くて助かる」

「ゴブリン集落の規模は?」

「50匹程らしい」

「50!?」

「どうした、あ~」

「ジャックです」

「ジャック。何か問題でも?」

「50匹のゴブリン集落を1小隊8人でですか?」

「いや、流石に冒険者だけに向かわせることは出来ない。これは村からの依頼でもあるし、その村は盗賊拠点に対する我々にとっても重要な拠点なのだ。無下には出来ない。従ってこのウルマンの小隊をリーダーとして2小隊を向かわせたい」

「「「ウルマン様と!」」」


ジャック達の喜びようが半端ない。

俺が質問する。


「確認が」

「構わない」

「出発は本体との同時進発でしょうか」

「その通りだ。我々が盗賊を牽制し、君達がゴブリンを殲滅する」

「何故今まで放置されていたのでしょう」

「ロブ・ゴブリンがいるらしい」

「「「「「ロブ・ゴブリン!」」」」」

「ちょ、ちょーっと待ってくれますか」

「あぁ」


俺はバックパックから魔物図鑑を取りだす。


「ほう、魔物図鑑か」

「はい。高かったですよ。え~とロブ・ゴブリン、ロブ・ゴブリンっと」

(どうしたんです?)

(なんか皆緊張してる、張り詰めた空気って苦手でね)

「ロブ・ゴブリンっと、あった。なになに、ゴブリンの上位種、上位種!?」

「そうだ。普通のゴブリンは人間の子供サイズだがロブ・ゴブリンは大人程ある。そして人間以上に力が強い。これが数匹いるらしい」

「なになに、《呼寄せ》を使う?」

「・・・あぁ。《呼寄せ》で仲間を呼び寄せるらしい」

「は~、こちらは16人。1人3匹以上、う~ん」

「はっ!ゴブリンにビビッてんのかよ!」

「勿論ですよ。クイルさんはビビってないので?」

「カイルだ!ゴブリンにビビる訳ないだろ!」

「なるほど。ウルマン様、実はこいつ等ね・・・むがもが!」

「へっへっへ、何でもありやせん」

「むが・・・全く、謝って欲しいな」

「すまなかった」

「素直!」

「貴様ら、仲が良いのか悪いのかどちらなのだ」


「エチル君は何が心配なのだ?」

「50匹という集団戦が初めてなもので。それに・・・」

「なるほど、それに上位種と。魔物の上位種は初めてかな?」

「いえ、前に1度」

「ほう、どんな魔物だい?」

「熊の上位種と」

「熊の!?」

「ドレッドベアかっ!?」

「ド、ドレッド?」

「・・・ドレッド・ベア。普通種はブルータル・ベアだ」

「貴様は名前も知らなかったのか!?」

「えぇ」

「ホントに倒したのかよ!」

「確か大熊の敷物が・・・バッグに」

「ほう、変わったバッグだね」

「はい閣下。オーダーメイドです。・・・っとあったこれだ」

「おぉ、これがドレッドベアの毛皮か・・・確かに硬いな。ブルータルよりも硬くて皮は分厚い」

「そうなんですよ!野宿の時重宝しますよ。夏とは言え朝方は冷えるでしょ?特に地面なんかは。これは温かいですよー」

「なるほどな。であればエチル君達でロブゴブリンも大丈夫そうだな」

「あっ!」

(バカ・・・)

「ちょ、ちょっと待ってください」

「なんだね?」

「人選が、人選が間違ってませんか?」

「人選が?」

「僕等が行くのならウルマン様は止めた方が良いのでは?」

「なんだと!どういう意味だ!?」

「それですよ。とても協力出来そうにない」

「むぐぐ」

「ウルマン様が行くのでしたら僕達とは別のパーティにした方が成功し易いでしょう」

「なるほど。だがやはりドレッドベアを仕留めた君達は外せない」

「であればクルト様とでは?」

「クルトは本隊での外せない重要な職に就いている」

「ではー、うーん、そうだ。模擬試合の時の審判の方」

「中隊長は中隊を率いている、外せんな」

「うーん、うーん、冒険者小隊の隊長は?」

「今から新たに小隊長を選ぶのは無理だ」

「うーん、うーん、うーん・・・」

「貴様は私の下につくのがどれだけ嫌なのだ!?」

「め――――――――――――――――――――――――――――っちゃ嫌です」

『なっが!』


「これは小隊への依頼ですよね」

「そうだ」

「もし僕等のパーティが引き受けなかった場合ジャックのパーティは・・・?」

「当然無しだ。別の小隊へ頼むことになる」


ジャックら3人の男達の視線が熱い。

初対面の時とはえらい違うじゃないか。


(引き受けなかった場合、その後の対盗賊戦で面倒が起きそうだ)

(ですね)

(サーヤ君もいいな?)

(はい)


「は――――――――――――――――――――、分かりました、引き受けます」

『なっが!』

「そうか!良かった。では別室でレネとミーティングしてくれ。頼んだぞ」

『はい』


スキル大全

《罠》

狩人などが持っている事が多いスキル。

特に村などの防備が薄い所では狩りだけでなく村の守りでも使える為非常に有用。

それだけでなく日常にも使い回しが出来るらしく調べていくと意外と有用だと聞かされた。

更に近年、南部同盟連合の街や村の周りに罠を設置する場合、

近くの木などに目印を残す事が決まっている。

当然、知らない者が罠に掛からない為にだ。

罠を感知出来る《罠》持ちの需要が年々増えていっている。

《罠》を持たない者にとって《罠》は罠より凶悪なものになる。

ただこのスキルを持つ者でもハニートラップは見破れないと言う。

女とはつまり、捕食者なのだ。


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