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HappyHunting♡  作者: 六郎
第6章 盗賊団 (領都ロムスコ:エチル、マイン、ターニャ)
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⑥-09-103

⑥-09-103




翌朝、出頭した。

周りから結構ジロジロ見られる。

昨日の模擬試合が知られてるようだ。

部屋にはいつもの3人が居た。


「おはよう」

「「「おはようございます」」」

「昨日は良い試合だった!」

「そうですか」

「怪我の具合はどうかね?」

「お陰様ですっかり。回復魔法は凄いですね」

「そうかそうか、上々。そう言えば報酬を決めていなかったんだが何かあるかね?」

「はい」

「言ってくれ」

「秘密を・・・守っていただくことです」

「・・・秘密?」

「はい」

「秘密とは?」

「それを言えば秘密では無いでしょう」

「ふむ。と、言われてもな」

「そうですか、それでは金銭で構いませんよ」

「そ、そうか?」

「えぇ。ただ噂が広まるかもしれませんが」

「噂?どんな噂かね?」

「そちらのクルミさんが」

「・・・クルトだ」

「クルトさんが風呂場を覗いてるって、噂です」

「「「・・・・・・」」」

「金銭は1万エナでどうでしょう?」

「・・・・・・待ってくれ」

「9000エナ」

「いや・・・」

「8500エナ」

「待って」

「9500」

「増えてるじゃないか、待ってくれ」

「模擬試合に1万エナは高いと?」

「いや、そうじゃない」

「安過ぎる?それは嬉しい誤算です。周りにも良い試合だったって評判でして」

「いや、そうでは」

「良い試合ではなかったと?先ほどの言葉は嘘だったと?なんてことだ」


がっくり両手を床に付ける。


「先輩」

「エチルさん」


2人が左右から肩を抱いて俺を励まそうとする。


「待て待て待て。分かった。金も払う、秘密も守ろう」

「毎度ありがとうございます」

「秘密を守るというのはお互いにだな?」

「はい。契約書を交わしますか?」

「あぁ。そうしよう、契約書と魔力インクを」

(インクの方なんだな)

(ですね)

「お互い3対3で丁度いいですね」

「む、そうだな」

「僕達の秘密はお三方止まりで?」

「あぁ」

「そうだ」

「・・・あぁ」

「僕達もです」

「ではお互い他者に喋らないということで良いな?」

「「「はい」」」

「契約書である以上ペナルティが必要かな?」

「いえ、僕達の方は特に」

「必要無い?どうして」

「貴族様を信用しておりますから」

「ちっ、心にも無いことを」

「あぁ!傷が、傷が痛い」

「痛みは無いと言っていたではないか!」

「心に受けた傷が・・・」

「抜け抜けと!」

「レネ!」

「ぐぅ」

「しかし、ペナルティが無いと・・・どうなる?」

「もしどちらかが喋れば、報復でもう一方も喋るでしょうね」

「うむ、それで?」

「ダメージは僕達よりそちらの方が痛かろうと・・・推察しますが」

「「「・・・」」」

「・・・・・・その通りだ。分かった」


お互いが持つために2枚の契約書を作成した。

ペンもどうやら魔導具らしい。

専用のインクにつけサインをする。


「これで良し、と」

「確かに」

「しかし誠に昨日の試合は良い試合だった」

「まだまだ未熟でございました。伸びた鼻っ柱を折られた気分です、腕の様に」

「はっはっは!確かにな。しかしその強さの秘密が知りたいな」

「喋らない契約をしたのに秘密は増やしませんよ」

「契約をしたからこそ喋っても良いのではないか?」

「そうですね、では僕から言いましょうか」

「ほ、ホントか」

「上から95、74、96です」

「な、何だね、それは?」

「スリーサイズです。着太りする性質なんです。秘密ですよ?」

「・・・・・・ふっ。分かった。秘密にしておこう」

「では、マイン君も」

「喋るかぁ!」


「では配置を知らせる。クルト」

「・・・はい。君達は他の冒険者5人と組んでもらう」

「8人・・・パーティですか」

「・・・パーティになっても良いしならなくても構わない。兎に角8人編成で行動してもらう」

「はい」

「大体の軍の編成が8人単位なのだ。勿論パーティリングの影響だ」

「なるほど」

「軍では8人を1小隊として8小隊を1中隊、8中隊を1大隊としている」

「512人ですか」

「そうだ、アライアンスは8パーティまで、つまり1中隊までしか組めない」

「「アライアンス?」」

「なんだ、知らないのか?」

「田舎者なので」

「はっはっは、いいだろう。アライアンスとは一言で言うとパーティ同士のパーティだ」

「パーティ同士のパーティ」

「そうだ。個人同士のパーティではなく、な」

「それはステータス画面にも・・・」

「うむ。表示される」

「うーん」

「君達冒険者はアライアンスを組みたくないと言うものも多い。だからパーティになっても良いしならなくても良いという事だ」

「なるほど」

「今回、盗賊討伐隊の編成にあたって6大隊、約2000人で任務に当たっている」

「・・・1週間後にここを出発し討伐に向かう。因みにこれは機密事項だ」

「1週間後。分かりました」

「君達も十分準備をして臨んで欲しい。あ、勿論食料などはこちらが用意する」

「分かりました」

「うむ」

「・・・では配属先に案内させよう。誰か!」


「はっ」

「・・・彼らを配属先に案内してくれ。これが配属票だ」

「畏まりました」

「・・・では彼について行ってくれ」

「はい、では失礼します」

「うむ」




3人が部屋から出て行った。


「クルトのスキルはバレていたようだな」

「・・・はい。感知した形跡が有りましたので」

「あいつらも同様のスキルを持っていたのでしょうか?」

「・・・・・・いや、そんな様子は無かったな、クルト?」

「・・・はい。覗かれたら感知していたと思います」

「で、では私のスキルを知っていたのは?」

「《身体強化》と《剣術》は騎士なら持っていて当然のものだ」

「・・・ですな」

「まぁ、頼もしい奴らが加わってくれたのだ。後は作戦を成功させるだけだ」

「ファ、ファーダネ様!あいつ等!」

「レネ。我々の任務は盗賊の討伐だ。お前は私情を挟み過ぎる」

「も、申し訳ありません」

「気に食わない相手でも連携して任務を達成する。出来なければ人の上に立てんぞ」

「はい」

「組織とはそういうものだ」

「はい」

「まぁ、そんな事言いつつ、私にも気に食わない相手がいるのだがな」

「討伐隊の幹部連中ですね!自分達は戦わないのに文句ばかり言って!」

「大将が女では気に入らんのだろう。古い連中さ」

「・・・時代の流れは急であり緩やかですから」

「どちらにしても溺れないようにしなくてはな」

「・・・左様で」

「だからレネには小さな感情に囚われて欲しくないな」

「は、はい」

「先ずは目の前の任務に集中する!」

「「はっ」」



注:通常6大隊だと約3000人になるが怪我や死亡、任務で脱退など必ずしもフルパーティになる訳では無いので現状で討伐隊は2000人となっている。


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