⑥-07-101
⑥-07-101
「始めっ!!」
「うおおぉぉぉ!」
レネが飛び込んで来る。
速いっ!
パキイィィィン
しかし《見切れ》ない程ではない。
《受け流し》ていなす。
「ほう。レネの初撃を」
「・・・やりますな」
速さには法則が有る。
それは直線だ。
振り下ろしは遠心力を活かすといってもたかが知れた距離。
木刀だとその程度の遠心力からは大した力は得られない。
来ると分かっているのなら後はタイミングと振り下ろしの動きだ。
最速の直線ではないので振り下ろしの動きは《見切り》で対応出来た。
《受け流し》も出来た。
当分はこれで時間を稼ごう。
「このっ!」
コオォォォン
カアァァァン
木剣がぶつかり合う。
いや擦り合う。
なるほど。
連撃の速度が凄く速い。
これが体系的な騎士の動きって奴か。
いわゆる型ってやつだな。
相手がこう来たらこう対処しようと決められている。
しかし―――
「おらぁ!攻めて来んかぁ!」
俺が攻めないから俺の呼吸が読めないのだろう。
攻撃する時が最大の隙、
それを待っている故に攻撃だけの時間に戸惑いがあるのか。
スキルも使ってる風でもない、手の内は見せないつもりか。
「全て受け流すとは」
「・・・えぇ。正々堂々と戦えないと言っていましたが・・・」
「そこらの騎士でもなかなか出来んぞ」
「キサマァ!やる気はあるのかぁ!」
「昔の恋人を思い出させましたか?」
「!」
連撃のスピードが上がる。
もはやカウンターを狙ってる訳ではないようだ。
やはりパワータイプではなくスピードタイプ。
頭に血が上って攻撃に集中し過ぎている。
レネの右袈裟斬りを右腕の肘を曲げ木刀で《受け流し》、その反動で腕を回してレネの右足の甲を掠めるように打つ。
「ぐっ!」
ヒビでも入ったかな。
「スキル・・・使ってくださいよ」
「きっ、貴様・・・」
「田舎者に騎士様のスキルぅ、見せてくださいよぉ」
「・・・・・・いいだろう。見せてやる」
「おいおい!冒険者との1対1でか」
「・・・短気ですな」
「死ぬ前に降参しろよ」
「優しくお願いしますね。お姉さま」
「・・・・・・《身体強化》!!」
なるほど!
第2魔力が身体全体に漲ってるな。
パワーもスピードも出そうだ。
死なないように《受け流し》を試してみよう。
レネが仕掛けて来る。
ブオッ
バキイィィィン
「ぐおっ!」
はっ、速い!
これがスキルの力か!
今までの様に綺麗に受け流せない!
これは不味い!
いつか押し切られる。
俺は攻撃しないから防御のための最小動作、つまり手首中心に動くのがやっとだ!
しかし《見切り》でコースは分かる。
分かるが、
「ぐおおぉぉ」
「このぉぉぉ!落ちろぉぉぉ!」
速過ぎる!
コースは分かっててもそれに反応するだけで精いっぱいだ!
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《カウンター》がLv4になりました。
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だろうな!
「・・・・・・驚いたな。《身体強化》に《身体強化》無しで反応するとは」
「・・・えぇ。しかもレネの《身体強化》の速さは普通の騎士でも《身体強化》を使っても防げません」
「何か見えるか?」
「・・・いえ。スキルは2つのままです」
「信じられん。素のステータスだけで防いでいるのか」
「・・・どうやらゴースト狩りは伊達では無いようですね」
「・・・・・・あぁ」
「ぐうぅぅぅ」
「このぉぉぉ!」
速い!
相変わらず速いが、
「うらぁぁぁ!」
レネが振りかぶる。
コースが見え易い。
雑になってきているのだ。
短気さとプライドと思いの外粘る俺にイラついて雑になっている。
それに彼女の第2魔力が薄くなってきている。
どうやら長時間使えるスキルではないようだ。
スキル大全にも載ってた。
段々とスピードが落ちて来た連撃に《カウンター》もLvが上がって十分に対応出来ていた。
「オラァ!」
雑なコースだ。
全く!こんなので彼女たちの見本になれるか!
真面目にやれ!
さっきと同じ様に右手を曲げて《受け流し》、反動で先ほど当てた甲にまた当てる。
「ぐぅ!」
「スキルをぉ使って下さいよぉ」
「きっ、きっさま・・・」
はぁはぁはぁ。
こっちも体力持たんぞ、早く使ってくれ!
レネがバックステップした。
「・・・・・・いいだろう。お望み通り使ってやる!」
「なっ!レネ!それは!」
「はぁぁぁ!」
レネが力を溜めている。
第2魔力が剣を持つ右手に集まってゆく。
「《剣術!ソニックブレード!》」
「くっ!」
来る!
真空波が!
利き手の右手は守らねば!
利き手で持った木剣で《受け流し》つつ更に後ろから添えた左手の力も合わせて《受け流す》!
バキィィィ
パキィィィ
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《カウンター》がLv5になりました。
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