①-01
①-01
『あなた方はテロ攻撃に遭い死亡しました』
「こ、ここは・・・?」
気が付くと一室にいた。
いや、一室どころではなく体育館ほどあるな。
そして周りには結構な人々がいる。
100人程だろうか。
〈ここはどこだ!?〉
〈今の声は何!?〉
〈テロとか聞こえたぞ!?〉
〈あれさっきまで外を歩いてたのに・・・?〉
「先輩!?」
人々は混乱して思い思い叫んでいる。
それはそうだ、僕も何が何だか分からない。
「先輩!」
「ん?・・・おぉ菊池君か。あれ?僕たちは確か会社にいて・・・」
「ですよね。爆発らしき事があったまでは覚えているんですけど」
隣には同僚の菊池美姫がいた。
『あなた方はテロ攻撃に遭い死亡しました』
声の方を見ると多面体が地上数メートルの所で浮いていた。
「浮いてるな」
「浮いてますね」
「ドローンかな?」
「にしては大きいですね」
「ホバリング型にしてはそれらしき音がないな」
「それ今重要じゃないだろう!加藤!」
逆隣りには会社の同僚の男Aの姿も。
周りには同僚が幾人か・・・10人ほどか。
〈死んだってどーゆーことだよっ〉
〈責任者!責任者はいないのか!?〉
〈ここは何処か説明しろっ〉
〈テロ?・・・ここはシェルターか?〉
〈でも死んだって言ってるぜっ〉
人々が思い思い叫んだり周りの人と話している。
『あなた方はテロ攻撃に遭い死亡しました』
『これから60分後に異世界に転生していただきます』
『最初こちらから説明するので注意してお聞きください』
『説明後、質問を受け付ける時間を設けます』
〈責任者ぁー!責任者を出せぇー!〉
〈どっかでモニターで見てるんだろ!〉
〈殺すぞテメー〉
〈ドッキリか!?〉
〈あの浮いてる変なのカメラ搭載してるよね絶対!〉
〈ギャルのパンティおくれー〉
〈異世界転生きたー!〉
何故この状況で喜べる。
『先ずあなた方には転生先の世界で生活出来る標準言語は自動でインストールされます』
『更に転生先での当初生活出来るだけの貨幣、服を初期装備させます』
〈責任者を出せっつってんだろ!〉
〈あれ私のスマホは?〉
〈嫁に連絡させろ!〉
〈腹減ったぞー〉
〈ションベンしてる時だったからかチャック開いてたわ〉
〈チート能力くれー〉
くっ、聞きづらい。
『転生先はあなた方がよく想像する魔法と魔物のファンタジー世界です』
『異世界の人々が持っているようにあなた方にもスキルを授けます』
『スキルは人間で初期ランク最大10種類まで持てます。これは異世界住人も同じです』
『それではこれからスキル取得出来るように致します。ステータスと唱えてください』
人々の叫び喚きでなかなか多面体の声が聞こえづらかったが、聞こえた分には何やらスキルがどうとか・・・。
「ステータス・・・おぉ!」
半信半疑で言ってみると眼前に画面が現れた。
「先輩これ!?」
「出たな・・・ステータス。そしてこれが俺のステータス」
しかし手で触れようとするが触れない。網膜に出すAR(拡張現実)みたいなもんか?
というよりステータス画面が出たってことは・・・。
「あの多面体の言ってることはマジって事かよ」
「私たち死んだんですね」
「信じ難いが・・・しかし画面を出すだけならチップを埋め込むなりしてVR(仮想現実)見させられてるって線も」
「なるほどー、有り得なくはないかも?」
「異世界冒険のゲームっぽいし」
「魔法と魔物のファンタジー世界ですからね」
「うむうむ」
「異世界のキャラと現実世界の体がリンクしてて、異世界で死んだら現実でも死ぬとか?」
「「・・・・・・」」
「とりあえず真面目に話を聞こうじゃないか」
「そうしましょう」