探索型ナノマシン
数分後・・・
西行「よし、連絡は取っておいた。改良が終わるまではこのまま仕事に励んでくれだってさ。」
作良「ふ~ん、大丈夫かな~」
西行「まだこの技術は公表されていないから大丈夫だろ。」
プルルルル・・・プルルルル・・・
壁に備え付けられた電話が、鳴り響く。おいちゃんが対応した。
西行「いくぞ。」
私たちは階を一階降り、ガレージからトラックをエレベーターに乗せた。上の道路が引き込まれ、私たちはシャッターが開いたのを確認し、現場に出動した。
西行「現場は商店街、指名手配犯がその中に紛れ込んでいるらしい。」
作良「え?人探しのために私達を呼んだの?」
西行「何でも、人が多すぎてよ。私服警官を送り込むにもあんまり遅れないんだってさ。俺達ならたくさんの目を持っているわけだし、適任だってさ。よし、この角を曲がって・・・あ~やっぱり多いいな。セールでもやっているのか?・・・ほれ、これやるよ。」
作良「あ、っと。耳にはめて連絡な。俺は反対から操作をするから、歩きながら目を使え、半径は5メートルぐらいだ。だから出来る限り端を歩け、建物の中も見逃すなよ。じゃ、発見したら連絡しろ。」
作良「分かった。よっと・・・」
私はトラックを降り、人ごみの中に忍び込んだ。
人々の間を掻き分けて進んでいきながら、右のレンズを確認している。視認範囲に赤丸が表示された。その周辺を見ると、その赤丸は左の建物の中に入っているようだ。
作良「おいちゃん。反応があったよ。」
西行「分かった。お、そこに居たか。・・・よっ。」
作良「うっ、近くに居たのか。」
西行「で、何処なんだ?」
作良「あの建物なんだけど・・・」
西行「あ?おい、あの横、誰か倒れてないか?」
作良「え?」
ふと路地を見ると、見知った姿の人が居た。髪の毛も白いのに、白衣を着ているが、探偵になる前に医者だったから白い探偵と呼ばれている、役蛇 進定さんがしゃがみ込んでいた。
作良「あの~何しているんですか?進定さん?」
進定「あ?あ、あぁ。これは、お二人ともお久しぶりです。」
西行「何やっているんですか?こんなところで。」
進定「そちらこそ、指名手配犯の捜索では?」
西行「は、はい。そうですが・・・奴を追い詰めたかと思ったら此処で消えたんだよ。」
作良「いえ、消えてませんよ。」
進定「作良ちゃん、何で分かるんだい?」
作良「この建物にいますよ。」
進定「何?」
ガラガラガラ・・・この建物から転がるような音がした。右レンズを見ると、赤丸が遠ざかっていた。
作良「あっちです。」
西行「援護しろ。」
そう言いながら、叔父さんは犯人を追った。気づけば右手に銀のリボルバーを持っている。私も同じものが出せる。が、今は追いかけるだけにしよう。犯人が人を押しのけるので私たちはそれなりに早く追いついた。おいちゃんが犯人を一直線上に捕らえて、発砲した。音は拳銃とは思えない音だったが、犯人の足に弾丸が張り付いた。
西行「よし、逮捕だな。」
彼は鍵無しの手錠を犯人の手に遠目ではめた。
進定「おぉ、なんだか分かりませんが捕まえたんですね。一緒に報告に行きましょう。」
西行「そうですね。」
進定「外に応援を呼ぶらしいですよ。」
西行「応援がもう来たんですか?」
作良「何か悪いの?」
西行「あぁ、最初っから逃げていたら捕まえれなかった。逃げなかったのは彼が見失ったからだ。」
進定「そうだったんですか?」
犯人「急いだほうが余計に怪しいと思ったんだ。出来る限り隙を作って人ごみに紛れようと・・・」
西行「それにしては急いでたじゃないか。」
犯人「急ぐ人もいるんじゃないですか。」
西行「あぁ、そうかもな。ん~」
とにかく犯人は署轄につれていかれた。
西行「とにかく包囲してたら逃げられたかもしれないんだ。この車がもっと速かったらな・・・」
私は帰るとき、トラックを見て気づいた。
作良「急いでて気づかなかったけど、なんか大きくなってない?」
荷台が最車高の半分まで鉄箱が達していた。
西行「今回は探索任務だったから増設しておいたんだよ。」
作良「いつの間に?」
西行「出動のときさ。もっと多くすることも出来るぞ。」
作良「多ければどんなことができるの?」
西行「そりゃあ、でかいものも作れる。車丸ごと持ち上げられたり出来るんじゃないか?」
作良「それならカーチェイスもしなくて済むね。」
西行「そうか・・・俺はチェイスしていたいがな。最悪の事態にはなりたくないし。」
作良「そんな暗いことよりさ、トラックを改造するんでしょ?」
西行「あぁ、そうだな。二代目でも作ろっかな~」
続く・・・