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028 大会予選

 G・Sバトルコロシアム出場の為にホテルに長期滞在する事となった虹の剣一行。


 コイウスさんがコロシアム関係者に連絡をして運営側から直接アプローチが来たが、大会出場に当たり()()()()()を解決する必要が出て来た。


 1つは俺の機体である"ホワイトポーン"での出場は出来ないと言う事。


 惑星同盟と敵対する帝国側の機体である"ブラックポーン"を元にしたホワイトポーンでは、コロシアム出場どころかこの惑星に降ろすことさえ許可が取れない。


 まぁ確かに戦争中に相手の兵器が本拠地(惑星テレラ)で動き回るのは問題であろう。


 その問題は運営側が用意した無改造の"ラスター4"を貸出(レンタル)してくれるそうなので、とりあえずは解決となった。


 2つ目の問題は"虹の剣の実力の信憑性(しんぴょうせい)"に、大会運営が確信を持って居ないことだ。


 現在話題となっている虹の剣の知名度を使えばショービジネス的に美味しい運営だが、コロシアムでの戦闘経験の無い者がいきなり大会に出てコクピットを狙ったり、逃げ回るだけのつまらない試合をされてはたまらない。


 そこで運営側は急遽(きゅうきょ)、"大会予選"と言う形で大会前に1戦行い、そこで勝利したら本大会出場と言う条件を出して来た。


 その提案にテレイアは即答で「OK」を出し、俺は惑星滞在5日目でバトルコロシアムの選手として出場することになる。


 それが今日、この日――


 コロシアムの会場に向かうと、スタッフ専用エリアで運営側からレンタルされたラスター4に乗り込んでテスト走行や関節駆動の調子を確認をする。


 俺と整備士であるベスタ以外のメンバーは観客席の方に行った。


【ベスタ】「どうじゃ?アイリス、どこかに油を差した方がいい箇所とかあるかの?」


 外の無線機から音声通信で話すベスタ


『いえ、問題無いです……ただ、やはりホワイトポーンの方が駆動領域や姿勢制御が滑らかでいいですね』


【ベスタ】「そうじゃろう、わしが改造した機体じゃからのう!……所でアイリス」


『はい?』


【ベスタ】「武装はどうするのじゃ?運営側から幾つかレンタル出来るが、銃系はアマルガム弾のみ可、近接は刺突、斬撃系は禁止じゃから棍棒とかになるがのう」


『今日の試合では円盾を2つ借りるだけにします』


【ベスタ】「盾だけでいいのかえ?まぁアイリスがそう言うなら運営に申告しとくがのう」


 こうして俺は無改造のラスター4に搭乗し、支給された小型の円盾2つを手に持つと、搬入口から闘技場へと向かった――。


 闘技場の東の入場口で待機していると、扉を挟んだ会場内から軽快なBGMとアナウンスの声が聞こえて来る。


 黒兎、セーフティ解除を


《了解 残り120秒》


「会場のみなさま~!今日のG・Sバトルコロシアムに集まって頂きありがとうぅぅぅぅ!!!!」


「今回行われるスペシャルマッチは、何と最近話題となっている宇宙傭兵団"虹の剣"からこのコロシアムに刺客が送られて来たぞぉ!」


 分厚い扉越しからでもハッキリと大きな歓声が沸き起こっているのが分かる。


「このスペシャルマッチで勝利すれば、なんと五日後に行われる大会にゲスト枠として参加する権利を得られる!」


「虹の剣のエースパイロット、"アイリス"!搭乗機体はラスター4!いざ、入場ゥゥゥ!!!!」


 目の前の扉が観音開きで開き、自機で会場へと入って行く、視界に入るのは大きな円形グラウンド、そして防弾ガラスで囲われた客席に居る人達の姿だ。


 ラスター4を操作して指定された開始位置までノシノシと歩いて移動する。


《残り60秒》


 もう解除まで半分か、実戦と違って選手紹介や開始までの段取りがあるから、最初から俺の操作で戦えそうだな


「対するは現役の惑星同盟軍人"サイラ"選手!同じくラスター4で登場だァァァ!!!!」


 現役軍人(プロ)が参加していいのか?割と緩いんだな同盟軍って……。


 西の扉から出て来たサイラ(ラスター4)も開始位置へと移動した。


《残り10秒》


 会場に流れている音楽が止まり、照明も闘技場全域に当たる様になる。


 そして――


「試合開始ぃ!!!!」


《セーフティ解除》


 試合開始のブザーが鳴ると同時にセーフティも解除された。


 相手のサイラ(ラスター4)は手に持ったアサルトライフルを両手持ちにして構える。


 それと同時に俺は自機(ラスター4)を操作して、盾を持った両手を広げ横に移動しながらグルグルと回転を始めた。


 サイラ(ラスター4)狙い(エイム)はまだ俺に定まっていない、俺は回転しながら、回転により発生した全身の運動エネルギーを右手に持った円盾に集中させる様にして投擲(とうてき)した。


 陸上競技の"円盤投げ"の要領で、投射角度、空気抵抗、モーメント(力能率)、ジャイロ効果を計算された最適な動きで、尚且つG・Sに備わったパワーで投擲された円盾は優に"音速"を超えたスピードでサイラ(ラスター4)に向かって飛んで行った。


 サイラ(ラスター4)は高速で飛んできた円盾に気づき、ライフルでのエイム(狙い)をやめて右方向へと回避した。


 だが、移動した位置に自機の()()から放たれた()()()がサイラが操縦するラスター4の首に直撃し、頭部がまるで"黒ひげ危機一髪"で当たった人形の様にポーンと宙を舞った。


 俺がいつも射撃武器でしている連射での偏差撃ちを、2つの円盾投擲で実行したのである。


 スラスター(移動)が制限されている分、G・Sの足の動きで普通(実戦)よりも次の行動位置が読みやすかったな


 試合開始8秒での決着に暫く静まり返る会場――


「と、頭部破壊?、し……試合終了ゥゥゥ!勝者、アイリス選手ゥゥゥ!!!!」


 アナウンスの声で一時停止が解かれたかの様に観客からは一斉に歓声が上がる。


「新鋭傭兵団虹の剣の実力は偽りでは無かったァ!本大会出場決定ィィィ!」


 俺は転がった首を回収してヨロヨロと退場して行くサイラ(ラスター4)と観客席に向けて一礼をしてから闘技場を後にする。


 しかし、この戦い方だと大味(おおあじ)で見てる方もつまらないんじゃないかな?


 次からはなるべく投擲戦法は(しば)るとするか……。


 などと思いながら、この後自機(ラスター4)が無茶な動きをしたせいでジョイント(関節)からオイルが噴き出していた事も知らずに戻り、ベスタに叱られた俺であった――。




 ◆◇◆ 機体紹介のコーナー ◇◆◇


 惑星同盟軍採用 量産機 【ラスター4】


 全長 8.9m

 重量 9.0t

 推力 90000kg

 装甲材質 オリハルコン・一部合成鋼

 主動力  ハーツドライブ


 惑星テレラ、及び同盟領でのG・S生産の9割を担っているマロタリ社が開発した軍用G・S


 量産機として現在の惑星同盟軍では一番多く配属されている。


 主な武装は レーザーガン・レーザーライフル

       オリハルコン電震ナイフ・オリハルコンブレード

       オリハルコン弾オートライフル

       オリハルコン弾ピストル

       オリハルコン弾ショットガン

 その他用途に応じた武器を換装しやすい仕様になっている。


 更には強襲型、重装甲型、地上戦用などにも改修・改造しやすい


◇◆◇           ◆◇◆

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