閑話四
7.5話 口添え
「粛清は終わったけど、これからどうするつもりだ?」
俺は王になったグラートに聞いてみた。
「とりあえず、父の助言を受けながら王としてやっていくつもりだが?」
「質問の仕方が悪かった。どのような政治を行っていくつもりだ?」
「……何か考えがあると見た」
「まぁ、そのとおりなんだけど」
「何だ?言ってみろ。聞いてやろう」
「いや、どの分野を聞きたいんだ?」
「どの分野とは?」
「だから、財政なのか、農業なのか、外交なのかってこと」
「ふむ。とりあえず一つずつ片付けていこうか。では財政で何か意見があるというのか?」
「それを話すのは構わないけど、財政の話をしてわかるの?」
「……誰か!財政担当を呼べ」
こうして俺はにわか知識を色々と吹き込んでいった。
「まずは自治体、要するに貴族の領地は貴族の物という考えを捨てましょう」
「待て待て!それだと貴族たちの反感を買うぞ!」
「爵位ごとに給料制にすればいい。侯爵は年間いくら。辺境伯はいくら。もしダンジョンやら魔物の多い地域の統治者は手当をつけるとか。それを国から支払う」
「そんなことをしたら国庫が空っぽになるどころか赤字ではないか!どうするつもりだ?」
「何簡単ですよ。税金の徴収は国が全て行えばいい」
「な!そんなことできるわけがないだろ!」
「いえ、出来ます。まず、各領地に監査官のポストを作ります。その人達は低賃金ですが、何か不正を見つけた場合多額の報酬がもらえるようにするんです。あっ、因みにこの監査官は貴族たちにはばれないように慎重にことを進めてくださいね。じゃないと、監査官が誰だかわかり、賄賂を渡されたりしたら、そこに住む人々が困ることになります。まぁ、俺が思い描いている未来図が出来上がれば、そこに人は住まなくなるでしょうけど」
「……前半は納得だが、後半は話が見えない。一体何を考えている?」
俺は無視して話を続ける。
「因みに、近衛を作った時に必ず、隠密も作ってください。監査官の監査官の立場です。ここには信頼の置けるものを配置するといいでしょうね。それで貴族が街を統治しているわけですから、貴族に税金をとらせる『仕事』をさせるわけです。そしてその給料を国から支払う。そして税金は全て国が管理する。ですので、ここの記載にある初夜税とかわけのわからんものは廃止しましょう。
そうなってくると、輸出入に関する税金も制定しないといけないですね。これは外交官というよりその部署の人達との話し合いも必要になりますが、どこと取引する場合、何を取り扱う場合税金をいくら取るという具合ですかね?」
グラートは唖然としている。
「後はそうですね。税金を下げましょう」
「馬鹿な!税金を下げたら国が回らなくなるぞ!」
「逆です。多分ですが税収を他の国より下げるとこの国に人が集まるようになります。商人も集まります。その時に取る税金が少なくとも、数で補えばいいです。すると物流が多くなり、物価が下がる。すると人々はどんどんこの国へやってくる。そこで更に税金を下げます。するともっと人々がこの国へやってきて、商売をして豊かに発展していくと思いますよ。
ですが、あまりやりすぎるのも問題です。商人たちはこぞってこの国へ来てこぞって大量に買い付け、こぞって他国で売りさばくでしょう。そうなっては困るのです。何が困るか。一番は食料です。商人から取る税金を……私の居た国では昔やってましたが物品税という形で税金を取ればいいのではと思います。出国時の食料品の税金を上げ、工芸品を安くする。というように重要なもの、この場合は食料ですね。それの国外輸出の関税を上げればいいわけです。
そして、庶民にもその税金を適用させます。というのも今度は逆で、食料品ほど安く売らないといけないという法律を作り、それ以上で売っていた場合罰金を取る。逆に贅沢品、まぁ、芸術品や魔道具などですね。そういうなくても生活できるものほど税金を取ります。うる側は高く売れます。因みにこれだと、食料を売ろうという商人はいなくなると思います。ですので、必ず食料品を一定数売ったという証明を作成します。要するに帳簿ですね。国民には必ず、食料を買ったらどれくらい買ったか、幾らで買ったか帳簿に書いてもらうようにします。
ああ、こうなってくると識字率の問題も出てきますね。それは一旦置いておきましょう。
そして、帳簿を国に提出してもらいます。その時に売った食料品の分量が多ければ多いほど税金を減額するという措置を取ればいいかと思います。
残る問題は識字率と、商人、GDPですね。ああ、GDPというのは国内総生産という意味です。国内で生産された食料を自国民で売る。それだけで100%以上を賄うことが可能な状態を作り上げることが理想ですね。そうなれば商品の一定数の食品の売り買いによる税金の取り扱いも考え直さないとですね。ああ、話していると結構まとまらないものです。
因みに、識字率は学校などを国が建てて、貴族に運営させる。こちらがマニュアルを作成してですけどね。それに則った教育をしていく。これで問題ないでしょう。
次に商人ですが、最初は行商人が集まるでしょうが、やがて大きな商会になっていくでしょうそうなったときの税金の聴取率を変えないと、いけません。これはまだ先の話なのでいいことにしましょう。
最後にGDPですが、これは食糧難がなければ問題ないです。もし100%を下回っているのであれば、テコ入れが必要ですね……うろ覚えですが、土地を休ませたり、栄養を補給する意味合いでも、クローバーを植えたり、一年畑を休ませたりしないといけないんでしたっけ?ああ、でもそのあたりはうろ覚えだからパスね」
とここまで一気に話をしたが、喋りすぎたようだ。ぽかんとした顔で聞いていたらしい。多分右から左へ音が抜けているのだろう。
「あの~、グラート王?」
「ハッ……いや、なんでもない。とりあえずわかった。理解できないことがわかった」
「まぁ、でしょうね。とりあえず、紙にまとめて書いておきますね」
こうして俺はノートとボールペンを購入し、色々とまとめたものをグラート王に提出した。その時、ノートやボールペンの方に話が言ってしまったのはご愛嬌だろう。
因みに、農業に関してはそれ関係の本をショップで買って補った。
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