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声楽家のサモナーさんが異世界で謳歌します  作者: euch nicht
第一章 スグワルド王国
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閑話二

6.5話 裏工作のお話


「はじめまして。私が王太子のグラートだ。何だ。普通じゃないか。ハーフエルフということ以外は」


「兄様。一応メイドや執事たちにもばれないようにしてくださいね?」


「わかってる」


「……ああ、ぼーっとしてた。俺の名前はヴィルヘルム・シュッツ。よろしく頼む」


「ほぅ、王族に対してその対応か……なかなか度胸があるな?」


 そう言うと片手を上げる。すると、天井にあった気配が一気に降りてくる。そして俺を囲む。


「この世界はステータスが全てだ」


 王太子はニヤリと笑い、その手を下げた。と同時に囲んでた奴らが俺に向かってくる。全員を殺すのは忍びないため、適当にいなす。それでも躍起になって攻撃をしてくる。


「あの、これ、いつまで続けるんですか?早く命令を解いてくださいよ」


「クッ、ハハハ……なるほど愉快な男だ。貴様らもう良い。下がれ」


 そう言うと、俺を攻撃していた者共は天井へ再度戻っていった。


「なるほど。確かにステータスが高ければそのようなこともできよう。護衛として王家を守ってきた者たちだったのだが、簡単にいなしてしまうか」


 そして、再度ニヤリと王太子は嗤う。


「お兄様そのへんで良いのではないですか?」


「まぁ、試すのもこのあたりが潮時か。で、具体的にはどうするつもりだ?」


 俺は何もわからないまま話が進む。


「ちょっとまってくれ。現状は察しているが、どういうことかちゃんと言葉に出して説明してくれ」


 というと二人共呆れ顔をしてきた。


「お前、馬鹿か?そこまで言わないとわからないのか?」


「そうですよ?少しは察する能力をお持ちください」


「というか、心配しなくても風の魔術と光の魔術でここを見えなくしていますし、そもそも音は外に漏れません。天井で隠れていた方々は必死に我々を今頃探しています。空間の捻じ曲げも行ってるので」


 というと、二人共ぽかんとした。


「そこまで高度な魔術を扱えるのか?」


「そこまでとは……では説明いたしましょう」


「いや、俺の考えをまず聞いてくれ。俺のつてで、学校の仲間を引きずり込む。いきなり大臣は無理だが、あまり選民思想に染まっていないものをなるべく集め、其の者たちにもそういう人材を探してもらう。そして、汚職の証拠や金の準備をして、警備や近衛を掌握する。そして俺がクーデターを起こし、王位を無理やり奪還する。そして、若い貴族の子弟や一般の成績の良いものたちを色々なポストに付けさせる。この下準備を進めたいと思っている。どうだろうか」


「……もしかして下準備とか済んでます?」


「ハッハッハ……なんのことやら」


「ヴィル様、これが兄様です」


「あはは……」



 こうして、ほぼ根回しは済んでいるようなものだが、とりあえず準備をし始めた。と、思ったら、今度はリリア姫が何やら影で動いていた模様。王太子と話をし始め、王太子の顔は曇っていく。


「わかった。責任はお前が取れ。それなら問題ない。俺はお前を高く評価しているぞ」


「わかりましたわ」



 と何が何やらと思っていたら、リリアが部屋を出ていきしばらくして戻ってきた。いや、嘘。本当はリリアが戻ってくるまで王太子と二人きりで、しかも片方は呆けてて、片方は書類整理。とてつもなく気まずかった。


「お兄様、成功です」


「そうか。誰と接触した?」


「全員です♪」


「は?」


 というと、数名の男女が入ってきた。


「ヴィル様、ご紹介しますね。父上のエスターバ現王、第二王妃のエステート様、第三王妃のサラシャ様、グランド第二王子、クルト第三王子、フィアー第一王女、ファビア第二王女です♪」


「「……」」


「話は聞いた。実を言うと、リリアに愚痴を聞かれていたようでな。それをいいことに無理難題を言われてな。とはいえ、いつかは動かないといけないと思っていたところで裏工作が行われているとわかったのでな。であればシナリオを少し変えようかと思い、全員読んだのだ。もちろんティモルバは呼んでおらん」


「ふむ。ということは王位を退くということで同意するというわけですか?」


「ああ、無闇に血を流したくは無いのでな。少しはしょうがない。が、過度には必要あるまい。それに、一気に粛清を行ったら、人手不足だ」


「刑の軽い者は降格させて、上に有能な者をつけようと思っていたのですが?」


「ははは、良いではないか。だが、そうなると今度は貴族連中がクーデターを起こすぞ?そのあたりはどうなんだ?」


「それですが、貴族家と関わりの薄いメイドや執事を使って、監視させます。もちろん、何かあった場合報告すればお金と命の保証をすると約束を交わす予定です」


「なるほどな。で、次期は?」


「早ければ早いほどいいかと思われます」


「わかった。ではそちらの準備ができ次第ということで良いか?」


「はい。では今すぐ貴族たちを緊急招集してください。もうすでにこちらは準備ができています。各省庁の研修が終わっていないだけで、何、実践で働けば問題は無いでしょう。私も能動的に動く予定ですし」


「わかった。で、そちらのヴィルヘルム殿はどれほど当てにしてよいのかな?」


 と急に俺に振られた。


「あまり状況はよくわからないのですが、武力行使された場合の用心棒と考えていいんですよね?」


「くっくっく、王に対してその言葉遣いか。度胸があるの」


「父上。その下りはもうやりました。手も足も出なかったですよ」


「なんと!それは心強い!ではよろしく頼むぞヴィルヘルム殿」


「は、はぁ」


「それでは、解散しよう。グラートは残れ。私と詳細を詰めようではないか」


「ではお父様、私達はヴィル様と談笑していてもよろしいでしょうか?」


「構わぬ。好きにしろ」


「では失礼します」



 こうして、色々と紹介され、感じのいい人達ばかりだった。こうして、数時間ほど談笑し、その後二人の会話が終わったところで完全にお開きとなった。



 因みに、粛清後は肉塊共はブヒブヒ鳴いていたとさ。興味が無いから記しはしないが。

お読みいただきありがとうございます。

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