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異世界に憧れて死ぬ人間多すぎでしょ

「ウルキオラ様本日のご連絡を申し上げます」

「本日は人間界より6345人の人間を新たに転送する予定でございます 」

「また多くの人間からの願いがありまして異世界転生した際の手続きをもう少し簡潔にして欲しいとの要望がありましたのでそちらに今ベッド案件を対応している所存でございます 」

「変わらずお前の報告が聞きにくいな」

ウルキオラ様はこめかみしわを寄せながら私の報告を聞いていた。

「もういい下がっていい次の案件もある」

「貴様は第2管理棟のシャオナのもとへいけ」

「了解しました 」

私はトランスポートと呼ばれる転送装置を持ち、部屋を後にした。この世界では異世界と人間界の間の場所。人間界というのはストレスを抱えてされている。上司や同僚に愚痴や文句を言われながら毎日スーツを着て会社に行く。

異世界に憧れて死ぬ人間多すぎますね


その中には異世界に憧れて死ぬ人間も多く、その中にも実際に世界に運ばれてくるものも多い。案件としては年で20万件。そのうち私達の担当する部署は特に博多で死んでしまった人間のスーツを回収、本人の魂をこちらの転送トランスポートの第4アパートに 移す。


時々変な目で見られることも多い。

「先輩何ぶつぶつ言ってるんですか」

シャオナはうちの部署の新人だ。今年入ったばかりで最近新人研修を終えた新進気鋭の管理人である。

「先輩がダメすぎて先輩の分の報告書も書いておきましたから」「乙です」

正直全く頭が上がらない。

「今回の件はどういう風になっているんですか」

「大型の案件が入っているとおっしゃっていたんですが」

「何でも会社の屋上から集団でスーツ着た奴らが飛び降りて死んだらしい」

「そいつの処理と魂との行き先を確認しなきゃいけないんだ」

私たちの仕事は多岐にわたる。そのまま直接この管理棟にやってくる真面目な魂たちもいれば、すぐに彷徨ってしまう迷子の魂達もいる。そんな訳で、彼らのために我々が案内人としてきちんと異世界までサポートするという仕事になるのだ。

「その前にウルキオラ様の所にちょっと行ってくるから」

「先にシャオナは待っててくれ」

ウルキオラ様は人間界の管理人であり私の直属の上司だった。

「おはようございますウルキオラ様」

「今お時間よろしいでしょうか」

「もうちょっとでイケけそうなんだけどな」

「邪魔すんなよ劣等生くん」

「そんなことおっしゃられましても」

板につかない敬語を喋りながら現場確認をする。

「シャオナには先に行かせたから」

「さ迷っている魂がつくことがあった場合は処理の方よろしくお願いします」

他の魂達はこのアパートに着いてもどこをどうやって行けばいいかわからない。そのため魂を管理する専用のエレベーターで、目的の異世界転生ができるように導くのが私たちの仕事だった。

「いい加減シャオナちゃんのバストの大きさぐらい聞いてくれないかな」

「多分Bだと思うんだけどね」

「君はそういうところができないから劣等生って呼ばれるんだよ」

「そんな無茶苦茶なことをおっしゃられましても」

「気にならないのかい」

「厚手のスーツを身にまとって、隠したその鋼鉄の鎧の奥にある」

「止めてくださいウルキオラ様」

「先に行きますので」

今迷っている魂の元へ行く。

「劣等生よ、そういうところがなきゃお前はうちの部署で一番最強なのにな」

管轄の市役所が全く違う場所まで魂が出てしまった場合は、特別な許可を取らなきゃならなくなる。そうなる前に魂を連れ戻すことも大切な役目だった。

「遅くなったシャオナ今大丈夫か」

「先輩もう全部終わりましたけど」

「476人分の魂の回収全て完了致しました」

「相変わらず仕事が早いな」

「じゃあ魂のかごを使いますね」

「先輩はいらないんですか」

魂はほとんど自分の力では動くことができないため、我々管理人が直接運ぶ必要がある。しかし人間の魂というのは他の生命体と比べても半端なく重い。このため我々管理人は専用のかごを使用することで、一度に10体の魂を運ぶことができる。

シャオナのはその中でも特別優秀で、一度に二つのかごを使い分け他の人の倍の作業をこなすことができた。

「まあ俺はかごをうまく使えないからな」

「先輩は私がいる間はお留守番でもしておいてください」

シャオナに冷たく突き放される。そういうところがまたありっちゃありなんだが。そして俺はかごを使えないというよりも触ってはいけないと言ってしまえばそれまでなのだが。


魂の移行が全て終わったのが夕方の5時過ぎだった。

「今日は頑張ったから残業手当を付けてもらえるぞ」

「ありがとうございます」

「もちろん先輩のおごりで行きましょう」

ちゃっかりしてる。

「まあウルキオラ様と二人っきりで行きたいんですけどね」

「余計なお世話だ」

俺は酒が飲めないんだよ。

「早く飲めるようになってください」

「もう大人なんですから」 次の日 俺たち2人は


魂はアパートに入った後、それぞれの部屋番号の鍵を渡され、その鍵を使用することで自分の行きたい世界へきちんと召喚がされる。その設定がきちんとできるか、また魂同士がぶつかったりして不用意な干渉起こしたりしないか、というところを見届けるのも我々管理人の役割だ。


エレベーターでの移行がスムーズに進む。魂の鍵の受け渡しも順調に終わったところでアラートが鳴り始めた。

「何ですかこれは」

新人のシャオナはまだわかっていなかったが、俺は新人の頃良くなったしてしまった緊急通報。何か異常なことが起こった際にこのアパート全体に響く。なった時点では始末書レベルのことだが。心臓がヒヤヒヤしながら原因を探る。

「何ですかこれは」

2階の一室で魂がひどい炎症を起こしていた。おそらくも元の世界への思いが強すぎて転生がうまく進んでおらず、このままでは魂自体が暴走してしまうことが考えられた。


「魂が暴走したらどうなるんですか」

「このアパート全体が一つの魂に乗っ取られてしまう」

「そうなると他の魂もみんな連結されてしまい、区別がつかなくなる」

人間界と世界をつなぐためのゲートが完全に爆発する。

「そんな……」

「こうなったら」

シャオナは自らの魂抑圧装置ブラストを使用して魂を抑え込む。かなり暴走が大きくなっているらしく全く歯が立たなかった。そこでウルキオラ様の特別製のを使用した。ウルキオラ様のは特別製で通常の3倍の攻撃力を持つがその分反動も大きい。

「なんとかウルキオラ様のおかげで終息しましたね」

「先輩は何もしなかったみたいですけど」

痛いとこつくな。魂の暴走は抑え込まれ、なんとかゲートの転生が出来た。その日は解散となった。


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