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どうも腐女子です。
父の部屋から自分の部屋に戻る間、一番上の兄は何も言わずに着いてきた。どうせだったら道案内でもしてくれよ、基本部屋から出して貰えない(出たとしても魔法や剣の的当てになったりする)私は、父の部屋からの帰り道なんて曖昧にしか覚えてないんだぞ。まあ、覚えようともしていないんだけど。
階段を下りて、確か右側二番目の部屋、だったっけ?
考えていた部屋の扉の側に性悪メイドさんが立っている。どうやら一番上の兄と一緒に戻ってくると知った性悪メイドさんが態々扉の前で待っていたようだ。性悪メイドさんは玉の輿を狙っているのでこういうちょっとした行動に気を使っているのだ。
勿論私だけの時は迎えになんて来ないのだが。
性悪メイドさんが私と、私の少し後ろにいる一番上の兄を見てにこりと笑った。にこり、となんて可愛らしい表現は似合わないかもしれない。獲物が向こうからやって来た時の肉食獣のような顔だ。
兄はそんな顔を見ても何も思わないらしく(端からみればただの美少女の笑顔という事もあるが)、性悪メイドさんが開けている扉の中に入り、ベッドの近くに置いてある椅子に向かっていく。性悪メイドさんはその間ずっと兄を見つめていた。
いや、そんな観察している場合ではない。あの兄は私の部屋に入ってどうするつもりだ。私はお喋りする事なんてないぞ。やめろ、早く入れみたいな顔をするな。ドS感満載の顔やめて、性悪メイドさんがその顔を見てきゅんきゅんしてるから。NLも勿論好きだけど、あんたらの組み合わせは地雷だから!
「アレク、歩き方を忘れちゃったのかい?」
「アレク様、アリストロ様がお待ちしております」
「……ごめんなさい」
二人に睨まれながら扉の中へ入っていく。
父の部屋とは違い、八畳程の空間に私の身体よりも大きいベッドが一つと、小学校にある勉強机の様な物と勉強用のふかふか椅子が一つずつ、クローゼットが一つで、後は今、兄が座っているベッドの近くに置いている椅子一脚。これが私の部屋である。
性悪メイドさんが言うには使用人が使っている部屋と大体同じ作りの様だ。その事を話している時の性悪メイドさんの嘲笑顔は中々頭から離れなかった。というか夢にまで出てきた。お陰様で睡眠不足でぶっ倒れそうになったりした。意地で克服したけれど。
「ほら、アレク。お前は病み上がりなんだからベッドに寝なさい」
勉強用の椅子を持ってこようと机の方へ向かおうとする私を見て、兄は笑顔でそう言った。
ビックリして私が固まっているとベッドを軽く叩き、早く来いと促す。
何かの罠だろうか、優しい兄達は決まって私を嵌めてこようとするのだ。
「さあ、おいで」
行かなければ痛め付けられ、行っても痛め付けられるかもしれない。なら出来るだけ早く行けば、痛みが軽減されるかもしれない。
私は兄が待つベッドの側へ行き、靴を脱いで、ベッドへ座る。
兄はその様子をずっと見ていた。何がしたいのだろうか、この人は。
「じゃあ、おやすみ」
そう言って兄は私の頭を、さっきベッドにしたように軽く叩き、撫で、メイドさんが開いた扉から出ていった。
あの人は一体何がしたかったのだろう。
今話後書
ゴブリン退治をした女騎士は、森を歩き出す。
少し運動したお陰で目が冴えた。あとでゴブリンたちに礼をしよう。
そう考えながら歩いていると、木々のない広場に出た。目の前には壁と、大きな穴。
どうやら洞窟のようだ。
話としては全然進んでいませんが、腐女子とアリストロお兄様の関係に少し変化はあったのではないかと、期待しています。