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VRゲームカテゴリ漁りすぎて用語がちょっとだけ出てきます。
引き続き、アレクだ。
扉を盛大にぶっ壊し、その事について何も思っていなさそうな顔で立っているのは、学園BLだったら主人公のワンコをしていそうな不良少年顔の二番目の兄だった。
二番目の兄は、一番上の兄よりもがっしりとした身体に、整った筋肉がついている。身長も少しだけ一番上の兄よりも高く、如何にもスポーツしてます! みたいな見た目である。
銀色の短髪に少しつり目がちな蒼い瞳。昔、アレクが一、二歳だった頃の兄は毛先が青み掛かっていた。今は短髪のためか、はたまた魔力量が大きく成長したためか、光に当たってキラキラと輝く銀一色である。
なお、一番上の兄も幼少期は青み掛かった銀髪だった様で、白銀に近い今の髪色は努力した結果なのだとか何とか執事のおじさまがそれは嬉しそうに話していた。
その時の、目をキラキラと輝かしながら話す執事のおじさまが可愛かった。兄? 知らん。ショタ兄はショタ兄で顔面偏差値高そうだなとは思う。二番目の兄はヤンチャ坊主って顔だったけど、整ってはいた。ショタコンだったら危なかった。
写真が残っていないか聞いてみてもいいかもしれない。アルバム的なもの、執事のおじさまだったら作っていそうだ。
二番目の兄について、話を戻そう。
剣は両手剣を好んで使うが、片手剣と魔法を使った魔法剣士の様な戦い方もすると聞く。
魔力量は多いし、強い魔法をバンバン打つのも好き──勿論、私に向かってであるが──なので、逆に属性有りの魔法を使わないで戦っていると聞いたときは嘘だと思った。
訓練ではバンバン打ちまくり、切りまくりなのに何でなのか。クールにキメるのがカッコいいとか思ってしまっているんだろうか。
ゲームだったらSTR(筋力)もINT(知力)もどちらも高そうな、脳筋剣士とは言えない高性能わんこである。
まあ、一番上の兄に魔力量は敵わないのか、よく訓練後にボロボロになっている姿が発見されているのだが。
なお、両手剣で真っ二つにするのが大好きなので、知力はあっても結構な脳筋であることに変わりはない。
無属性の魔法で身体強化を施しながら、一番上の兄が作ったゴーレムをバッサリとぶった斬っていく様は、わんこというよりもゴリラとしての貫禄が出ていた。その足でこっちに向かってきたときは死ぬかと思ったけど。
私の夢のような時間を奪ったこの男は、あろうことかベッドの上で寛いでいた私を担ぎ上げ、そのまま庭にあるちょっと大きな訓練場に連れてきたのだ。
普段出さない悲鳴のような、怒声のような、それでいて懇願するかのように出した声は、二番目の兄の足を止めるのには不十分だった。
肩がお腹に……朝御飯食べたばかりなのに……。
階段が特に吐き気が凄かったです。
そのまま吐いてやれば良かった……。
「お、お兄様。何で訓練場に……?」
込み上げてきたナニカを奥へ奥へと沈めながら聞く。
私を下ろしながら二番目の兄は意地悪な笑顔を浮かべて言った。
「アレク、お前がどれだけ強くなったか確かめてやる」
その顔は、何か良からぬ事を考えている時の一番上の兄とそっくりだった。
誰か助けて……!
今話後書
女騎士が手に取ったのは、報告書の様だった。
良かった、文字が読める……。女騎士はホッと胸を撫で下ろし、書類を読んでいく。
『魔力解放計画 経過書』
そう書かれた下には、数行書かれている。
『青……順調
赤……順調
黄……順調 大幅な成長有り
緑……順調 エルフ種との混ぜ物は特に良し
黒……変化なし』
二番目の兄は脳筋ゴリラです。わんこと言うからには、AGI(敏捷値)も高めです。
尚、一番上の兄は警戒心強めの猫の皮を被った魔力ゴリラです。
王道学園BL物が本当に王道なのかわからない。
次話投稿 9/30予定




