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 あと1ヶ月で六歳になる、アレクだ。

 正直まだ六歳? と疑問に思うくらいには、濃い一年だった。

 思い返せば、性悪メイドさんからの職務放棄に耐え、グオリオおじさまの筋肉に包まれながら死にそうな訓練に耐え、一番上の兄から執拗に撫で回されたり本を取り上げられたり、あと私が読めないと確信している本をわざと見せてきたり、やっと使えるようになった複合魔法 氷魔法で凍らせられたり、苦い草を口に突っ込んできたり、訓練の最中に魔法の的にされたり、お揃いだとか言って服をペアルックにされたり、本当に色々あった。

 ここ5ヶ月の間の出来事とは思えないほど色々あった。

 一番上の兄はいつ王様からの性奴隷宣告をされるのだろうか。今から楽しみで仕方がない。さっさと召し上がられろ。


 今日は珍しく訓練もお勉強もない日なので、ゆっくり本でも読んで過ごそうと思う。

 昨日晩御飯の後にお気に入りの本を書庫から持ってきていたのだ。朝御飯を食べてその後はゆっくりと本の世界に浸る……ああ、これぞオタクの醍醐味である。

 そして本の世界に浸りながら、妄想をするのだ。

 剣士とドラゴン、魔族と王子、神と世界樹、コボルトとオーガ……ああ! 何て最高な世界なんだ! こんなに恵まれていていいのだろうか! 辞典でさえ妄想に浸れるなんて! 創造神、いや勉学の神はきっと同志に違いない!

 今日はどのカップルで妄想しようか。

 私のお気に入りの、この本は視点の入れ替りが少なく、脇役キャラクターたちの心理とか考えがわからない。

 主要キャラクターたちが見た脇役キャラクターたちの表情でしか、表現されていないのだ。まあ、言動からどんな考えをしているのかは何となくわかるけれど、やっぱり好きなキャラクターが行動したときの心理状態は知りたいし、話しているときの表情の変化とか、主要キャラクターへ向けた感情の移り変わりが見たい。

 小生意気な少年が主人公を護る騎士になったりとか、それだけで興奮するけれどもその過程もほしい人間なのだ。私は。

 だからこそ、足りない部分、原作にない目線を、感情の変化を、言葉の強さ、愛情の深さを、私は妄想するのだ。

 私に文才があれば、彼らの同人誌を作っていたのに……!

 ギリィと噛み締めながら自分の無力さを呪う。何故もっと前世で勉強してこなかったのだろうか。

 悔しさを胸に、さあ! いざ! 行かん!

 脇役同士のCPはご褒美です!


 バキィ!


「おい、アレク。来てやったぞ」


 壊れた──壊された、の方が正しい──扉から、銀髪蒼眼を持つイケメンが入ってくる。

 この数ヶ月間姿を見なかった方の兄が謎のどや顔で立っていた。

今話後書

部屋の主がいない間にここを出よう。

あんな蛇の中にある部屋の主が人間な訳がない。

少しの危機感と、どうしようもなく抑えきれない好奇心で部屋を物色しながら女騎士は考える。

眼は積まれている本と、机の上にある紙を捉えながらも、それでも女騎士は来た道とは別の扉へと足を向ける。

あの紙を見れば、部屋の主が少なくとも人間かそうではないものか解るのではないか?

そう考えてからは早かった。すぐに机へ向かい、その紙を手に取ったのだ。


腐女子の暴走回。最近は特に腐女子っぽくないなぁと思っていたので、暴走できて良かったです。

コボルト×オーガっていいよね

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