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 こんばんは、腐女子だ。

 今日1日のお勉強が終わり、夕食を食べて、のんびりタイムに入っている。

 グオリオおじさまがアレクの部屋に来て早三ヶ月。今日は執事のおじさま特製のテストをした。

 文字をちゃんと覚えられたかの簡単なテストだ。勿論満点を取った。

 まあ、文字を覚えるのに三ヶ月もかかっているのだが……。

 この世界のアルファベットやひらがなの様な基本的な文字は五十個あり、これを覚えているだけで最底辺の学校から学力低めの学校にランクアップ出来るようで、三ヶ月のうちの二ヶ月はずっとこれの読み書きをしてきた。

 読みは出来るけど書きがどうしても難しく感じてしまい、苦戦した。

 書きも何とか及第点を貰い、次に教えてもらったのが数字だ。

 0から9までの数の形を覚え、簡単な足し算と引き算を教えてもらった。

 と、言っても覚える量が足し算と引き算の記号と合わせて十二個しかないため、こちらは一ヶ月経たずに覚えられた。

 一桁の足し算なんて余裕余裕、そこら辺は転生特典と言っても良いかもしれない。

 

 そして、そして!

 文字を覚えた私はおじさまたちからご褒美として書庫の出入りを許されたのです! やったぜ!

 明日のお勉強はお休みということで、入り浸って本の虫になりに行こう。

 この三ヶ月間、いや、転生してから文章というものに触れてこなかったのだ。この世界の文章がどんな法則で成り立っているかはわからないけど、皆と話している限り日本と同じ感じだろう。

 英語みたいな文法だったらどうしようか。その場合はちゃんとおじさまに教えてもらわないと間違って覚えたりしそうで怖い。

 この単語が来たらこの単語の意味はこう変わるよ! なんて言われてみろ、文の可能性は無限大だね! ってポジティブに思わないと心が、死ぬ……。

 まあ、それも全て明日になったらわかることだし、今日はもう遅いから、おやすみなさい。



 おはよう。アレクだ。

 グオリオおじさまに連れられ書庫に入った私は、何故か待ち構えていた一番上の兄に強制的に席に座らされ、妙に威圧感のある本を目の前に置かれた。

 何でいるのとか、急に持ち上げるなとか色々と言いたいことはあるが、それらの文句は目の前に本があることで、失くなっていった。


「アレクでも読める簡単な本だよ。挿し絵も綺麗に描かれているし、これなら物を覚えるのに丁度良いと思ってね」


 マジか、挿し絵まであるのか! それはもう漫画と呼んで差し支えないのではなかろうか。

 とりあえず中身を読まないと始まらない。私は読んでも良いか二人に――主におじさまに向かって――聞き、頷いたのを見てから破れないように丁寧に本を開いた。

 

「せな さにあ でんき?」


 表紙を開くと、横に一文そう書かれていた。

 でんきと書かれた文字の隣には私が習ってきた文字とは違う文字? が書かれている。

 首を傾げているとおじさまが教えてくれた。


「アレク様、そちらも文字ですよ。アレク様が覚えた文字だけでは文にしたとき伝わり難いと、その様な特別な文字を作ったのです。全ての物に固有の文字があるわけではないので、もう少し大きくなってから教えようと思っていたのですが……」

「勉強に遅いも早いもないだろう」


 なるほど、つまりこの奇妙で筆記体に近い形の字がこの世界の単語か。英単語、というよりかは漢字に近く、よく見ると龍が空を泳いでるような形だ。でんき、電気、伝記……? この本は、セナサニアと言う人の伝記なのだろうか。

 伝記なら物も多く出てくるだろうし、歴史や地理も学べるだろう。しかもこの単語に仮名を振ってくれているわけだし、文字を覚えるのにもいい。

 一番上の兄、こういうところは気が利くんだな……。


「この本は部屋に持っていっても大丈夫だよ、固有文字を覚えるには読み書き出来ないといけないからね」


 書庫で書きの練習をしちゃダメだからね。

 そう付け加えて一番上の兄はにこりと笑った。



今話後書

ぐるぁぁぁあああ!

怒りを込めた断末魔が空間中に鳴り響き、足止めしていた物が姿を現した。

それは、黒い蛇だった。

顔は一つ、まるで触手の様にうねうねと蠢く尾はパッと見ただけでも十はある。

その姿と威圧感に逃げ出すことも出来ず。女騎士は両手足と首に尾を巻き付けられてしまった。


固有の文字、漢字に近いものを想像しています。

早くおじさまの筋肉が生かせる様なお勉強をしたいですね。

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