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何かと普通な僕の話
そんな村に生まれた僕の名前はシエラ。何処の世界からの生まれ変わりでもない正真正銘この世界の人。僕が生まれたころにはもうこの村では異世界からの生まれ変わりの子供しか生まれなくなっていて、村人のほとんどは元異世界人だった。
僕の両親が生んだ子供はそれまで、攻撃的に噛み付いてきたり、逆に植物みたいに動かないし喋らないみたいなのばかりだったそうだ。それでも子供を作ろうとしていた挑戦家の僕の両親のもとに生まれてきたのが僕って訳。それで喜んで育ててみると、普通に育つし、そのうち言葉もしゃべれるようになった。
それがこの村では変だったそうだ。
普通、異世界から生まれ変わってきた子供は自分の今居る世界に違和感を感じるもので、魔法を使えるようになった子供なんかはそれを制御できないで事件の一つや二つ起こすものだったし、実際二人とも元異世界人だった僕の両親もそうだったのだ。僕は事件も何も起こさなかったし前世の記憶とかも無いもんだから、そんな僕につけられた名前はシエラ。
父親の居た世界の言葉で『普通』って意味だ。