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銀の放物線  作者: 加藤あまのすけ
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いつか言い始めるだろう

 スマホを頭上に高々と掲げて下駄さんは言った。



「俺が言っているようなこともネットの世界では求めれば見られる情報だ。海物語は千円21回以上回れば負けない。だが、それを見てやってきた人間は、まず千円21回以上回る台を見つけるのに苦労する。回す技術がないからだ」



 そう言うと下駄さんは空の寿司皿を一枚、ボクの目の前に置いた。



「それでも諦めずに探していればやがて回る台を見つけることが出来るだろう。やった、勝てる」




 可愛らしく両手でガッツポーズをしてみせてくる。



「でも、その台は高い確率で出玉を削られている。情報通り千円21回以上回る台を打っているのにその台は負ける台なんだ。大当たり確率十分の一で千円で10回引けるクジだが、当たっても九百円しか貰えないのだからな」



 ニコッと笑ってさっきボクの前に置いた寿司皿の上にもう一枚空の寿司皿を重ねてから話を続ける。



「それでも中には千円21回以上回って出玉も削られていない台があるかもしれない。よし、今度こそ勝てる」




 バンザイと両手を上げて喜んでみせる。



「しかし、その台も一日十時間しっかりと打ち切らなければ負ける台だ。千円21回以上というのは持ち玉比率が65%前後ある場合という条件の下で計算されている数字だ。四、五時間打った程度でやめてしまうのであれば、それもまた負ける台でしかない」



 三枚目の寿司皿を重ねる。



「わかるか、同じ台でもあらゆる理由によって収支が大幅に変わってしまうんだ。それを知らずに千円21回以上という情報だけを信じてやってきた人間の大半がいずれ出る結果に失望することになる」



 下駄さんは三枚重なった寿司皿を指差しながらさらに続ける。



「いくつもの関門を潜り抜けたにも関わらず、得たものはただの空き皿数枚だ。上に乗っているはずの寿司はどこにもない。結果、みな口を揃えて言うことになる。千円21回以上の勝てる台を打ってたのにトータル収支では負けた。パチンコは確率じゃないじゃないか。店が操作しているんだ」


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