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銀の放物線  作者: 加藤あまのすけ
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九百円しか貰えない状況


「よーし、次は本当に最後。今日リュックに最も伝えたかった大当たり出玉についての話だ」


 下駄さんは腕まくりをする仕草をしてから(実際にまくらなかった)身を乗り出して話しを続ける。


「1回百円のクジ箱の中には十個の卓球の球があって、そのうち一個が大当たり、それを引けば千円が貰える。この確率理論に従って言えば(あの店の換金率において)海物語は千円21回転以上回れば、その台は勝てる台ということになる。ゴン太がリュックに教えたこの情報は間違っていない」


「でも、実際ボクが今日打った439番台は、千円21回しか回らなければ計算上マイナスになってしまうんですよね?」


 どのような理由でそんなことになるのか一刻も早く知りたい。


「そう、何故か?答えは単純で、あの439番台の大当たり出玉が通常よりも少ないからなんだ。これを卓球のクジ箱理論で言えば、1回百円のクジで十分の一の確率を当てても九百円しか貰えない状況ということだ」


「……出玉が少ない?同じ機種なのにですか?」


「まず、大当たり出玉というのはただ闇雲に玉が出てくるわけではないのはわかるな?言うまでもなく玉が出るということは打った玉がどこかに入賞したということだ。海物語は大当たりするとアタッカーが開き、そこに玉が一個入るたびに十二個の払い出しがある」


 言いながら下駄さんは食べ終わって空になった寿司皿をアタッカーに見立ててパカパカと開閉してみせる。


「アタッカーは一度開くと玉が八個(個数は機種によって変わるが)入るまで閉じない。要するにアタッカーが開いて玉が八個入って閉じる。これを16回繰り返して一度の大当たりは終了する」


「はい、439番台も他の台と同じでした」ボクの台が特別だったようには思えない。


「海物語は大当たりすると16ラウンドのアタッカーの開閉がある。つまり1ラウンド八個入賞掛ける払い出し一二個掛ける16ラウンドとなり1回の大当たりで1536個の払い出しがあるということになる。これに入賞した玉(使った玉)1ラウンド8個掛ける16ラウンドの128個を引いた1408個が海物語の基本的な大当たり出玉となる」


 ボクの脳みそからは相変わらず大量の煙が吹き出しているが、必死で話に食らいつく。


「だが、ある理由で実際の出玉はそれよりもさらに40個ほど少なくなる。だから俺たちは実戦での実数を考慮して基本的な出玉を1360個程度に設定して千円で何回まわれば良いのかを計算している」


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