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パパになるらしい。by守

『六週目だって。冬には守はパパになります。』


奈々のLINEの続きの一文は、俺の周りにクエスチョンマークを躍らせていた。どういうことだ?俺がパパ?パパ?…って、えぇえぇぇ~?

思わず通話ボタンをタップする俺。3コール目の途中で呼び出し音が途切れる。

「もし…。」

「おい。どういうことだよ?」

奈々の声がしたと同時に思わず問い詰めてしまう。

「どうって、そのままだけど。」

意外に冷静な声に拍子抜けしそうだ。

「朝は何も言ってなかったじゃねーかよ。」

「キチンとわかってから知らせたかったから、言わなかっただけよ。」

「何だよソレ。」

何日間か黙っていたのか?そういう期間も共有するものだと思っていただけにビックリだぞ。

「それより、約束よ。覚えている?」

「約束?」

「もう!忘れたの?」

約束って何のことだ?電話の向こうで奈々がクスクスと笑っている。

「かわいいからって、子供ばっかりにならないでね。」

「お前こそな。」

そのことか。それは俺の方こそお願いしたいぞ。子供ができると父親が孤立するパターンは御免だ。特に女の子だと、母親とタッグを組んでしまう場合が多いということを先輩や上司の愚痴によく出ているんだ。

「性別は?」

「まだ判らないわよ。母子手帳ももう少し先なんだから。」

またクスクスと笑う声を聞きながら考える。どっちなんだろう?女の子は欲しいけど、俺は孤立したくないぞ。いや、男の子もいいな。俺の相棒にしたいぞ。

「守?仕事中じゃないの?大丈夫?」

奈々の声で我に返る。そうだ。仕事中だったぞ。だからこそ、LINEで知らせてきたのだろう。

「と、とにかく。その!おめでとう。早く帰るようにするから。つわりは?」

「今のところまだみたい。お医者さんが言うには、そろそろ始まるって。あ。まだ安定期じゃないから、周りに言っちゃダメよ。階下したにもね。私も実家にはまだ知らせてないから。」

「そうか。わかった。じゃあ、仕事に戻るから。」

電話を切って、席まで戻ると仕事再開。のはずが、またしてもパソコンや書類の文字が俺の視界で踊り出した。実感がないけど、記憶の中の先輩や上司の話を思い出す。

つわりが始まると、奥さんが寝込んだりと大変らしいということも聞いている。そして、いたわらないと普段よりもキレる確率が高いことも。

今度はインフルエンザの時よりもキレるんだろうか?


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