ご報告。by奈々
「あの二人、どうなったかしら。」
宮迫くんにのりを任せてから、私は一人でスーパーに来ている。のりの対応も穏やかだったし、意外に気が合うかもしれないと思ったので、あえて席をはずすことにしたのだ。のりは華やかなルックスから派手に思われがちだけど、本当はそうでもないから、宮迫くんみたいなタイプの人と合う気がしたの。
「さてと。夕食はどうしようかなー。」
夕食はのりと飲みに行く予定だったのが急遽、一人での夕食になり、それでスーパーに寄ったのだ。もちろん、一人での家飲みのアテを選んでいるのだ。刺身や、色のきれいなサラダ、野菜の惣菜などなど、色とりどりで目に楽しい。予定外のこんな時間も悪くない。それに今日は、のりからどんな報告が来るのかとワクワクしているのだから。
「良い報告が来る気がして仕方ないのよね。」
思わずつぶやくと、ますます楽しい気分になった。
「ちょっと贅沢しちゃお!」
選んだのは、貝類がメインの刺身盛り合わせ。外食したと思えば全然安い。そして、いつもよりもワンランク上のビールと、期間限定の缶チューハイをいくつかカゴに入れた。体調も良くなったことだし、楽しまなくっちゃね。
「かんぱ〜い!」
帰ってきて、急いでシャワーを浴びてから、髪を乾かすのもそこそこにビールのプルタブを開け、グイッと一口。
「おいしー!」
と、そこでLINEが着信を告げた。
「あ。来た来た。」
待ち構えていた、のりからだった。
『電話して良い?』
『いいよー!』
返信するとすぐに電話の呼び出し音が鳴った。
「もしもーし。何?どうだった?」
もう聞きたくてたまらない。
「んー。あれからずっと一緒にいて、今帰ってきたの。」
「そうなんだ。どこか行った?」
「あれからケーキをご馳走してもらって、お買い物して、食事もご馳走してもらって帰ってきたの。」
「へえ。結構長い時間、一緒にいたのね。」
「そうね。それでね。」
「うん。」
何?何かあったのかしら?まさかいきなり…?いや、宮迫くんに限って、そんなことはないはず。沈黙が妄想を掻き立てる。何ナニ、この沈黙?
「来週も会って欲しいって言われたの。」
「良いんじゃない?のりは、どう思っているの?」
「会って、良いと思う?」
「イヤじゃないのなら、良いと思うよ。」
「良いのかな。」
のりってば何をもったいつけているのかしら?