表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/41

ジミー君の本名。byのり

「面白くなくてすみません。」

申し訳なさそうに言うジミー君の本名は宮迫健という名前で、確かにお笑い芸人の面白さとは違うタイプの人だった。清潔感はあるけど地味で、今までお近づきになったこのないタイプね。

モカムースをつつきながら思わず観察しているとジミー君は言った。

「あの、何か?」

「いえ…。」

あわてて目をそらす。

「あ、あの、お味はいかがですか?甘さが控えめで、気に入っているんですよ。」

「店員さんみたいですね。」

思わず私が笑うと、ジミー君も笑った。確かにモカムースは甘さ控えめで、しかし苦すぎることもなく。トッピングの金箔のチョコレートとも相性が良い。しつこすぎないから、2個目でも最後まで食べられそう。それにしても、物静かというか、話さない人だわ。

そう。さっきからジミー君はほとんど話さない。下を向いてモカムースをつついている。いかにも女性に慣れていない感じね。

「守くんの学生時代のお友達なんですか?」

「あ、いえ、会社の後輩なんです。鮫島先輩には本当によくしてもらっているんですよ。」

守くんは、優しくて面倒見が良い、兄貴肌なのよね。まあ、特に奈々には特別優しいんだけど。

「守くん、優しいからね。」

「はい。」

後輩ってことは年下かしら?年上が好みなんだけどなー。やだ私ったら。圏外のジミー君を値踏みしてない?

「あのとき来ていた奈々ちゃんのお友達の中で、高畑さんが一番キレイでした。」

聞きなれた言葉なのに思わず頬が熱くなった。ジミー君、こう見えて、いきなり体が目当てじゃないでしょうね。

「そういう言葉ことは大事な女性ひとに言うものよ。」

やんわりと笑みを浮かべて返す。この程度のやりとりは慣れている。そういうことを言う男ってたいていすぐにベッドに誘いたがるの。私は派手だと思われることが多くて、そちらも派手だと思われがちなのよね。

「そ、そんなこと!本音ですから。」

あれ?意外なリアクション。この必死な感じも、珍しいタイプだわ。なんだか可愛いかも。

「ぼ、僕、鮫島先輩を目標にしてるんです。仕事のことだけじゃなくて、人として、見習いたいところがたくさんあるんです。」

「そ、そうなの。こんなことを言ってくれる後輩がいるなんて、守くん、幸せね。」

いきなりの熱弁にたじろいだわ。

「僕、鮫島先輩についていくって決めたんです。」

先ほどの沈黙は何処へやら。ジミー君はとても熱くなって、ギャップにびっくりしていると、ジミー君はさらに続けた。

「あの、いつからのおつきあいなんですか?」

「はい?」

「高畑さんは、先輩をいつからご存知なんですか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ