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ジミー君。byのり

「年が離れた兄弟ってそういうものかもね。」

私が言うと奈々が不思議そうに相槌をうった。守くんの弟の彼女が現れて、守くんがさみしそうにしていたんですって。奈々のところは、お兄さん、年が近いから、ピンとこないわよね。それにお兄さんといっても何かと奈々を頼っていて、いまだに奈々の手を焼かせているらしいし。奈々にしてみたら厄介払いをしたいくらいの気持ちみたいだものね。

病み上がりの奈々からの誘いで、カフェでケーキセットをはさんで奈々と向き合っていた。今日は守くんが出張でいないんだとか。奈々が結婚してからは、休日に奈々と出かけるのは実に久しぶりだった。

「ところで、アレは効果あったの?」

ワクワクして聞いてみると、奈々が苦笑した。

「効果どころか…、酔っ払ってよく覚えてないんだけど、そのままインフルになったのよ。」

聞けば、バラを寝室に撒き散らかし、守くんが片付け、さらにはそのまま熱をだして、インフルエンザ発覚だったんだとか。なんか、悪いことしちゃったわ。

「なんか、ごめんね。」

「いいよ。酔っ払ったまま実行した私がドジだったわ。」

「ところで、ナゾは解けたの?」

「まだ…。」

フルーツタルトのキウイをほおばりながら奈々が下を向く。そんな思いまでしたのに解決しなかったなんて。

「どうして何も教えてくれないのかしら?」

「うーん…。なんでかしらね。」

そんなに言いづらいことがあるのかしら。

私はコーヒーカップを両手で覆いながら考える。守くんってときどきわからないのよね。でも、イイ男だし、奈々をすごく大事にしているから、良い旦那さんだと思うわよ。

「ところで、のりの方は最近どうなのよ?」

奈々が興味津々の表情をする。

「全然。話がないわけじゃないけど、会いたいって思えないのよね。」

そう。自慢じゃないが、話はある。ゴハンのお誘いも、映画のお誘いもある。しかし、興味がわかないのよね。半年ほど前の奈々の結婚式や二次会のときも、名刺をくれた相手が何人かいた。そのうちの二名ほどは会ってみたけど、悪い人じゃないんだけど、しかし…という感じで二度目にはいたらず。

「あの…、失礼ですが…、高畑さんですか?」

控えめな声に振り返ると、どこかで見覚えのある男性が立っていた。地味な人だなあ。そうだ、あのとき、超地味だったからジミー君とこっそり名づけた人だわ。

「そうですが。」

「あ。奈々さんもお久しぶりです。二次会でお会いした、守の友人です。」

はあ、そういえば、この人からも名刺をもらっていたかしら。

「お一人なんですか?」

奈々の問いに男性は笑顔で頷く。

「恥ずかしながら、甘党で、こうして時々一人でここにケーキを食べにきているんです。」

はにかんだ笑顔。ジミー君がさわやかに見える。

「よろしければ、ご一緒しませんこと?」

やだ、私ったら、口が勝手にしゃべってる。一番好みじゃないジミー君よ。

「いいんですか?」

私の口の暴走にジミー君の顔がパアっと明るくなった。

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