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今日の晩メシ。by守

「もう少し、寝ないとな。」

「うん。そうする。」

キウイフルーツの器と空になったグラスをトレーに乗せてキッチンに戻った。

奈々の心配ごとを知ることができてホッとしたと同時に、そんなことを心配していたのかと思うと意外だった。子どもが産まれたら、俺が放っておかれることも避けられないだろうという心配と覚悟は多少なりともしていたが、奈々がそんなことを思っていたなんてな。

「可愛いだろうな…。」

もし、女の子じゃなくっても、似てなくても、そんなことどうでもいい。早く子どもが欲しいな。

い、いや、だからといって今夜、なんてことはしないぞ。奈々が元気になってから、だぞ。

もし産まれたら、名前はどうしよう。男だったら俺の名前から一字あげるとか。いや、俺は一文字の名前だから、“守男”?いや、それはちょっと違うな。女の子だったら奈々の名前から“奈”のつく名前もいいな。

『奈々ちゃん、どう?』

一人でニヤニヤしているとお袋からLINEが入った。そうだった。心配かけたままだったな。

『落ち着いた。キウイフルーツ、喜んでた。ありがとう。』

『よかった。ところで、薬は大丈夫なの?』

お袋も同じ心配をしているようだ。

『たぶん違うと思うけど、弱めの薬を出してもらったよ。』

『そう。』

お袋も子どもを楽しみにしてくれているんだな。

ところで俺ってどんな子どもだったんだろう?聞いてみよう。

『俺ってどんな子どもだった?』

『正樹を子分のように引き連れて、虫取りしてたわよ。そうそう、スカートめくりを正樹に教えたりして、お母さん、相手の女の子の家に謝りに行ったわ。』

げ!俺はそんな悪いことをしていたのか。弟の正樹のほうがやんちゃだと思っていたけど、俺のせいか?男の子だったら、虫取りはヨシとして、そこはちゃんとしつけしないとな。

『急にどうしたの?』

『いや、別に。』

『ところで晩御飯どうするの?』

『奈々の様子を見てから考える。』

「さて…。」

冷蔵庫の中をチェックしてみる。何を作ろうか?薬味用のネギを発見。めんつゆもあるぞ。冷凍庫にて冷凍うどんを発見。野菜室は、キノコ類、ニンジン、白菜、その他もろもろ。あとはちくわでも入れたら鍋焼きうどんなら、できそうだ。それとも、まだ食欲なければフルーツかな。とりあえず、今度こそスーパーに行かねーと。

「あら、今度はどこ行くの?」

階段を下りたところでお袋に鉢合わせた。

「スーパーに行こうと思って。」

「帰ってきたら、階下こっちに寄ってって。唐揚げ少し持っていかない?」

「唐揚げ?たくさん持ってく。」

思わず声が弾む。奈々の唐揚げも旨いけど、お袋の味はまた別!子供の頃から高校生くらいまで、大皿の山盛りの唐揚げを正樹と競うようにして平らげていたことを思い出す。

「わかってるわよ。じゃあ帰りにね。」

「おう。助かるよ。」

ちくわ、フルーツ、ちくわ、フルーツ…。頭の中で呪文のように唱えながらハンドルを握る。

名誉挽回の鍋焼きうどんと、お袋の唐揚げ。どっちも楽しみだ。



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