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プロローグ。
守の部屋のローソファに並んで座って、テレビを見たり、スマホを触ったりと、なんとなく過ごすいつもの週末のこと。
「ハネムーンで、ロサンゼルスのディズニーランド行く奴らって、どう思う?」
「いいんじゃない?」
「男の側がカッコ悪く見えね?」
「奥さんの希望を聞いてあげる、優しい旦那さんって思うけど?」
「カッコ悪くね?」
「別に。」
「二世帯住宅と、別棟と、住むならどっちがいい?」
「引っ越しでも考えてんの?」
守の言葉に、何を言い出したのかと、奈々はキョトンとしている。
そう。鈍行列車のような2人は、守のあの夜の告白から5年。今はお互い社会人になった。
「あの…、そろそろ…。」
「エッチしたいの?まあ、いいけど。」
奈々が守に身体を寄せると、守が抱きしめる。唇を重ね、また奈々を抱きしめた。
「そろそろ、考えないか?」
守の固い声を、腕の中で聞いて、奈々はまたキョトンとしている。相変わらずの鈍感ぶりである。
「青木奈々さん。…じゃなくて、鮫島奈々さん。」
「…え?」
「…結婚しよう!」