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057エピローグ

   (エピローグ)




 期末テストが無事終了した。中間テスト同様、今回も寝不足との戦いだったが、どうにか落ちかかるまぶたとの闘争に勝利し、高得点を獲得した。純架は今回俺より点数が低かったらしく、俺の追及を不機嫌にかわした。


 英二は学年7位だった。結城は学年19位。これで『探偵同好会』の成績序列は、英二、結城、日向、奈緒、俺、純架となる。純架が一番馬鹿であるらしかった。


 純架は『生徒連続突き落とし』事件の詳細を先生方や警察に報告し、された側は迅速(じんそく)に黒沢先輩への事情聴取に動いた。後はもう俺たちの手から離れた問題だった。


 そして純架は意気揚々(いきようよう)と、6人の署名が入った同好会申請用紙を手に職員室を訪問。裁判で判決を真っ先に報せようとするマスコミよろしく、「成立」と書かれた紙を広げて教室に現れた。


 嬉しいのは分かるが、ちょっと落ち着け。


「これで僕らが利用できる空き部屋が与えられることになったよ。部活じゃないから予算がつかないのが残念だけどね。まあ、これで色々やりやすくなるよ」


 英二は手錠をかけられ収監された囚人よろしくあきらめの境地にあった。


「俺、とんでもない間違いを犯したのかもしれない……」


 結城がうやうやしく頭を下げる。


「ご安心を、英二様。たとえ火の中水の中であっても、この菅野結城、全力で英二様をお守り申し上げる所存でございます」


 その声は若干震えていた。新人二人は戦々恐々(せんせんきょうきょう)としているようだ。


「もう夏休みだね、朱雀君」


 奈緒が柔らかい笑顔を見せる。


「どう? 『探偵同好会』の親睦(しんぼく)を深めるために、今度河へバーベキューにでも行かない?」


「いいね、そのアイデア」


 日向が喜んだ。


「行きましょう! 私カレー作ります。得意なんで」


「どうだ、純架、三宮、菅野さん」


 英二は端麗な表情を曇らせた。


「何で俺がしもじもとバーベキューなど……。なら俺の別荘に来い。お前らが一生かかっても食うことが出来ない珍味を取りそろえるぞ」


 純架は英二の頭に手を載せた。


「君はもう正式な『探偵同好会』会員なんだよ、三宮君。そして僕は会長だ。僕のいうことには基本、従ってもらわなきゃね。バーベキューに行こう。もう決まりだ」


 英二は純架の手を叩き落とすと、横を向いて頬を(ふく)らませた。


「分かったよ。勝手にしろ」


 奈緒が手を叩いた。


「よし、決まり!」


 俺は窓から外を見上げた。真夏の太陽が燦然(さんぜん)と輝き、焼け付くような日差しを注いできている。


 夏はこれからだ。


 乾いた涼風に髪をなぶらせながら、俺は解放感に満たされて一人未来の可能性に思いを()せるのだった。

まだまだ続きます。

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