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あかずきん

 昔々あるところに赤いずきんをいつも被っている赤ずきんちゃんという可愛らしい女の子がいました。

 華奢な手足に大きな瞳。膝上丈のミニスカートも赤くて扇情的です。


 ある日のこと、お母さんに言われました。

「赤ずきんちゃん、森に住むおばあさんのところへガレット(そば粉を使った薄いパンみたいなもの)とバター壷を届けておくれ」


「えー、また~? それFランク冒険者の任務じゃん」

 白い頬っぺたを膨らませて嫌がります。


「あなたまだEランクになったばかりでしょ。お願いね」

「は~い」

 赤ずきんちゃんはしぶしぶ依頼を引き受けました。


 おばあさんに渡す食料を持って森へと向かいます。武器は杖だけです。


 森は狼やゴブリンなど弱い魔物でいっぱいでした。

 魔法でなぎ倒しながら、のどかな道を歩いて行きます。

 細い足を動かすたびに、赤いスカートがひらひら揺れました。



 すると、開けた場所で狼男に会いました。

 狼男は下心丸出しで近付きます。

「やあ、赤ずきんちゃん、こんにちは」


「なに? また燃やされたいの?」


「いやいや、赤ずきんちゃんが強いのは知ってるさ。何もしないよ。ところで大きな荷物を持ってるけどお使いかな?」


「ううん、こっちは解体した狼の素材。今日はおばあさんにガレットとバター壷を届けるの」


 赤ずきんちゃんは背負い袋の口を開いて毛皮でいっぱいになった中身を見せつけました。

 剥がしたばかりの狼の毛皮を狼男へナチュラルに見せつけるという割りと鬼畜の所業に、狼男はドン引きしつつも冷静を装って答えます。


「そうかいそうかい。それだったら、向こうの崖の傍にある薬草を摘んでいくと喜んでもらえるよ」


「えー、薬草採取ってFランク冒険者の依頼じゃん」

 白い頬を膨らませて嫌な顔をします。


「まあまあ、そう言わずに」

「は~い」

 赤ずきんはしぶしぶ狼男に言われたとおりにしました。

 崖へ行って薬草を採取します。



 その間に狼男は森の奥にあるおばあさんの家に先回りしました。

 小さな丸太小屋の家です。


 ドアをノックしながら、裏声で言いました。

「おばあさん、赤ずきんよ。頼まれてたガレットとバター壷を持ってきたの。開けてちょうだい」


「まあFランク冒険者の仕事をあなたが引き受けてくれたのね。取っ手を引いて入ってらっしゃい」

 狼男は言われたとおりに扉を開けると家に入りました。


 そしてベッドで寝ているおばあさんに近付き、なんでも収納できるアイテムボックスにおばあさんをぺろりと収納してしまいました。


 それからおばあさんの服をタンスから出して着て、おばあさんになりすまします。

 今度こそ隙をついて赤ずきんちゃんを食べるつもりだったのです。性的な意味で。



 そうとは知らない赤ずきんちゃんは薬草を採り終えておばあさんの家にやってきました。

 ドアをノックしながら言います。

「おばあさん、ごはん持ってきたよ」

「あら赤ずきん、久しぶりねぇ」

 狼男は野太い声で答えます。


「ボケたの? 一週間前に来たばっかりじゃん」

「そうだったかしら。取っ手を引いて入ってらっしゃい」


「は~い――ていうか、ひどい声」

「風邪を引いたんだよ……さあ、コッチに来て一緒に寝ておくれ」


 狼男の言葉を疑いもせずに、赤ずきんちゃんは家へ入ると服を脱いで裸になりました。

 可愛らしい華奢な肢体。垂れた髪が胸を隠します。

 白い肌を晒してベッドの傍に来ました。


 するとシーツから飛び出た大きな耳に驚きます。


「まあ、おばあさん! なんて大きな耳してるの!」

「それはね、お前の声を良く聞くためだよ」


「まあ、おばあさん! 目もすごく大きいじゃん!」

「それはね、お前をもっとよく見たいからさ」


「まあ、おばあさん! ――ステータスオープン! ……やっぱ狼男じゃん!

 ――大火球ファイアーボール!!」


 どかーん!


「ぎゃああああ!」

 おばあさんになりすましていた狼男は魔法で燃やされてしまいました。


 その後、アイテムボックスからおばあさんを助け出しましたが、中には宝石や金貨もいっぱい入っていました。

 赤ずきんちゃん一家はお金持ちになった幸せになりましたとさ。


 めでたし、めでたし。

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