君が手に入るまで何もいらないと
あの明るい太陽は、僕のことを照らしているんだ。この僕を照らしてくれているんだ。
そう。それはまるで、僕を殺そうと企むかのように。
僕だって君を明るく照らしている。美しい君を照らしてあげている。
そう。それはまるで、君を引き摺り下ろし僕の下へ誘おうと企むかのように。
どんなに美しくても、僕の物にならないものなど必要ないのさ。
誰かに我が儘と言われようとも、そんなのは負け惜しみに過ぎない。だから力を持つ僕は、その考えを貫いてみせる。
誰に対してでも優しい君は、僕の物になれないと言った。恐れるような顔も見せず、はっきりと。
僕を否定した切ない表情は、今まで見たこともないほど美しかった。そしてそれは、僕の感情を駆り立てたんだ。
火照る自分の姿、驚いた僕はその場を去るしかなかった。
君だって僕を照らしてくれている。僕のことも、照らしてくれている。
そう。それはまるで、僕から離れていこうと企むかのように。
努力しても君は僕の物にならない。それでもなぜだか君を殺せなくて。
皆に我が儘と言われた僕も、変わってしまったのだと錯覚した。
あれは初めての感覚だった。僕の物になれないと言われ、今までは怒りしか覚えなかったと言うのに。
僕を否定する切ない表情なのに、僕は美しいなどと感じてしまっていた。
鏡に映っていたのは、今まで見たこともないような醜いもの。涙する己の顔、驚いた僕はその場に崩れていった。
権力を駆使することにより、なんでも欲しいものは手に入れて来た。
何をしても手に入らないものなんて、初めてだったんだ。ここまでして手に入れたいと思うものなんて、初めてだったんだ。
誰に対してでも優しい君は、僕の物になれないと言った。恐れる顔など一切見せず、強くきっぱりと。
僕を否定した切ない表情なのに、ずっと見てきた何よりも美しかった。そしてそれは、僕の感情を駆り立てたんだ。
火照る自分の姿に、驚いた僕はその場を去るしかなかった。
興味本位で欲しいと言い、手に入れると捨ててしまう。そんな欲とは違う。本当に欲する気持ちを僕は知って、光から逃れるようになった。光の下に出ることが出来なくなった。
君が手に入るまで何もいらないと。