第10話 violence of 火花
5時限目は、エンジェルハーツを使った戦闘の訓練だった。
この授業では、専用の身体にピッタリと密着する全身スーツを着て受ける。
そのため、持参を忘れた人は見学扱いとなっている。
「だから私たちは観戦席で待機していますね、ご主人様」
真理がコロッセオみたいな訓練場で、火花を連れて、待機報告をする。
「そうか、わかった。じゃあ授業終わったら教室で会おう。帰りは火花達のエンジェルハーツ貰いに行かないといけないから」
「それじゃあ、1班と2班、3班と4班で課題を───」
「そういえばさぁ、火蓮と火花ってどういう関係なの?僕気になっちゃうかなー」
対戦の休憩中、七斗がそんなことを聞いてきた。
「遠い親戚だよ」
俺がそう返すと、
「うっそだー。じゃあ何で火蓮のこと『マスター』なんて呼んでいるのかなぁ?一体どういうかんけー?」
こいつの洞察力、ぱねぇな。
俺は火花のいる観戦席に向かって、こちらに来るように指示する。
「そ、それはだなぁ、少し事情があって...」
「へぇ、どんな事情があるのか、洗いざらい、あることないこと吐いてもらおうじゃない?」
早く来てくれ火花ー!
「いや、ないこと言っちゃダメでしょ」
すると、いいタイミングで火花がやって来た。
「ちょうどよかった、火花、七斗を少し黙らせてくれないか?ただし、物理攻撃は無しだ。いいな?」
火蓮が火花に命令する。
「はい、マイマスター」
火花はそう言うなり、右手を七斗につき出す。
すると、火花の手から炎の球が浮かび上がり
「炙られたくなければ、この件の話しは二度としないことを誓ってください」
火蓮は、火花のバイオレンスな一面を見て、こいつが俺に絶対服従で助かったと思うのであった。
麒麟「助けろよ!?」