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消えた記憶と桜とゴリラ

作者: ゆんき&ずんだくん

 目が覚めた。

目をあけるとそこには真白な天井が

視界に入った。


「知らない天井だ」


『お前ー・・』

ほんとにここが分からないのか?


君は一体・・・気が付いたら僕はここに居て

痛っ・・・包帯?


『あんまり動くなよ。しばらく寝てろ。』

馴れ馴れしくて腹が立つ。


「ありがとう」

誰なんだろうこのひとは


見覚えさえも、なかった


しかし僕にはどうすることもできない

自分のことさえもわからないのだから


そう、僕は

・・記憶を失ったんだ――


まだ光りを覚えたばかりの目が瞬く

病室に差し込む日差しと、庭にある桜が印象的だ。


でも、

気持ちは真白。

日差しも桜も、

今の僕にしてみれば

ただの風景だ。


またさっきの男が入ってきた。

白衣を着ているから先生だと思うのだが、

堂々と病室でタバコを吸うというのは良いのだろうか?


『君名前は?』

――――――自分の名前?


何か思いだせそうだ・・・

「・・・はる!はるが大切な名前だった気が」


『はっきり覚えてないのかい?』

冷たいまなざしを向けられた。


しかし覚えていないのだから仕方がない

僕の意識は突然、部屋の明かりをつけるスイッチを

OFFからONに切り替えたかのように

急に鮮やかになったのだから。

意識を失う前の記憶はもちろん

夢すら出てこなかったのだ。


僕は絶望という感情で心がもやもやしだした。

先生は何も言わず、無表情のまま病室を出た。

くそ!!!なんで!!!

声にならない叫びとなっていた。


だから僕は祈った・・・・

ねりりきるるはらら・・・何かの呪文か?


ねりりきるるはらら・・

ねりりきるるはらら・・

何度も心の中でとなえた

聞いたことがある―

大勢の前でこの言葉を

発した記憶がある!!!


そして僕は涙を流したんだ

繋がった・・・その思いが駆け巡る


ねりりきるるはらら

ねりりきるるはらら

何度も唱える。

何度も繰り返す。


わらにもすがる思いだった。

僕の記憶の手掛かりは

「はる」「ねりりきるるはらら」


それだけですべてがつながったんだ。

僕の名前は―――


納谷佳汰

はるっていうのは元カノの愛称で、そいつのせいで今は病室に

ねりりきるるはららっていうのは中三の合唱曲で感動のあまり泣いてしまったんだ


思い出した―・・

思い出した!!!!


でも今ここに居るのはおかしい。

今日はさやかと

動物園に行く約束をしている。

さやかというのは俺が今気にかけているかわいい女の子だ。


たしかゴリラを見ようとして・・・


なぜここに居るんだ?

早く行かなきゃ!!!


そうして俺は飛び出した。

後に残ったのは乱れたシーツと無機質なまでの病室・・・

今日も窓から見える桜は綺麗だった。


俺は、一分前まで寝ていたとは思えないほど、

全力で走った。

頭の中はさやかではなく

ゴリラでいっぱいだった。


あのしなやかな筋肉・完璧なまでのナックルウォーキング

解説しよう!!!

ナックルウォーキングとは、ゴリラや猿がウホッッいい男

と言いながらこぶしをついて歩くアレだ・・・・


俺は頭にそれしかなかった

もうさやかはどうでもいい!!

ゴリラに逢いたい!!!

そしてゴリラに伝えるんだ。




好きだ。と―・・


――完――

解説・・・

ネリリキルルハララとは「20億光年の孤独」という合唱曲の一部です。


納谷佳汰はリア友です。

動物園に行くと言っていたので友だちと書きました


どうでしたか?楽しんでもらえたでしょうか?


あなたの口角が少しでも上がっていることを願います。

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