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珍しくも無い出来事

トルンの森からこんにちは。ティファレトです。

今日は依頼で果物を採るためにここ、トルンの森に来ているのですが、今のところは対処出来ない生物に出会う事も無く順調です。


「あら?」


指定量を収穫した辺りで周りを確認すると、木に縫い付けられたかのような人間の死体がありました。

血が乾ききっておらず、食べられてもいない事から死んで間もない事が分かります。


「......」


近づいて更に細かく確認すると、サンレイン王国の紋章が印された冒険者ギルド鉄階級証を身につけています。

致命傷であろう腹の傷はヤリツノジカによるものですね。

戦闘らしい戦闘の跡は無し。恐らく、依頼か密猟でこの森に入り、ヤリツノジカによる奇襲の突撃を受けて絶命したのでしょう。

こういった形で冒険者が冒険者の死体を見つける事は珍しくは無く、名前が刻まれた階級証を回収するよう冒険者ギルドから言われています。

そして、身元が分かる程に原形を留めているのなら、可能な限り死体を回収してギルドへと運ぶようとも言われています。


「周りには......いませんね」


果物は指定量収穫し、周りに敵対生物の気配は無し。

充分に回収は可能でしょう。ギルドからの多少の褒賞も出る事ですし、一緒に帰るとしましょう。

木の皮や草で縄を作り、大きな葉で包みながら縛れば、簡易的な死体運び用袋の完成です。


「さぁ、帰りますよ」


神?彼の魂は御下へと来れましたか?そうですか。


「おい......あれ」


「......ティファレトか。そちらの遺体は?」


「トルンの森で見つけました。恐らくはヤリツノジカに殺されて間もありません」


「そうか......こちらで預かり、しかるべき場所へと送ろう。ティファレトはそのまま冒険者ギルドに戻って報告してくれ」


「お願いします」


門番に死体を預け、冒険者ギルドへと戻ります。

後々に報告を受けたのですが、死体となっていた彼は稼ぎのためにトルンの森へ密猟かつ単独で入ったらしく、ギルド側も動向の認知が出来ていなかったようです。


「いつかやるとは思ってたが、案の定だったな」


「馬鹿野郎が......」


「ラベル......嘘だろ?」


親しい間柄だった人は悲しみ、そうでない人も何かしらを思う。

ただの摂理や循環で無いのが、人にとっての死。

私にもいつか、分かる時が来るのでしょうか?

もし、分かる時が来たなら、私は何を失っているのでしょう?

残念ながら、今の私には答えは出せません。

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