毎夜の手入れ
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
「おやすみ、シスター」
「はい、おやすみなさい」
本日のお仕事も終わり、夕食も食べ終え、子ども達が眠りにつき、私もこれからというところですが、その前に。
「........」
下着姿になって水ブドウを大きなすり鉢で細かく潰し、ほとんど液状にして体の隅々まで塗っていきます。
そう、私が寝る前にする事とは、肌の手入れです。
初めて街に来た当初は、体を清潔に保つという人間の習慣をいまいち理解出来ておらず、多くの人に注意をされてしまいました。
特にガーロンド先生とミリアーネさんに強く言われまして、その際に肌の手入れの大切さを説かれて以来、毎日の習慣となったのです。
最初はガーロンド先生オススメの軟膏をつけていたのですが、どうにも薬草独特の香りが慣れず、色々と試した結果、水ブドウを体に塗るという形に落ち着きました。
「......」
潰した水ブドウの汁を薄く体に塗れば、肌を保湿すると共にゆっくりとベタつきが無くなっていき、違和感も無くなります。
ガーロンド先生曰く、肌の具合で健康も左右されるのだとか。
恐らく多少の事では致命的にはならない体ですが、万が一ということも有りえますので、注意するのに越した事はないでしょう。
「ふっ」
体に水ブドウを塗った後は柔軟体操。
関節の柔らかさはそのまま怪我の防止に繋がりますし、戦闘の幅を広げます。
新人冒険者はこうした地道な行動を嫌う傾向にあるようですが、こうした事の積み重ねが生存に繋がる事を覚えるべきでしょうね。
私自身、何度も実感しています。
「おやすみなさい」
肌の手入れも柔軟体操も終わり、岩とは違う、もはや慣れ親しんだベッドで横になり目を閉じます。
そういえば、人間は寝る時に全ての服を着たままか、下着姿か、裸かで分かれるようですが、どれが一番多いのでしょうか?ちなみに私は下着姿です。
色々な考えが浮かんでは消え、やがて意識を手放し、私の1日が終わります。
きっと、明日もあると、そう思いながら。




