休日と習慣
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
「良い実りです」
今日のお仕事はお休みでして、それでいて天気は快晴。
そんな時に私がする事は大抵決まっています。水ブドウの収穫と干し作業です。
「甘水ブドウのほうも収穫出来る日が楽しみです」
以前、商人から買った甘水ブドウの種はまだ結実していませんが、教会の庭に生えている水ブドウの木は毎日実をつけてくれます。
木の数こそ多くはありませんが、年中無休で実をつける水ブドウの生命力の高さには驚嘆と感謝に堪えません。
そんな水ブドウを天気の良い日に干して保存食にするというのは、私の習慣の1つです。
街に来て水ブドウを知った当初は生ばかりだったのですが、ガーロンド先生に食物の様々な加工方法を教えてもらい、試しに自分で干してみるとこれが意外と簡単でして。
生とはまた違った甘みと、長期保存が可能という素晴らしさに胸を打たれた私が習慣にするのに時間はかかりませんでした。
「うわ〜、すっごい水ブドウがぶら下がってる」
遊びに来た街の子ども達が干されている水ブドウを眺めています。
「まだ食べてはいけませんよ」
私も食べたいですが我慢です。
「いらなーい」
「........」
何故、何故こんなにも人気が無いのでしょう?
小さな頃から食べるから飽きるとは聞いたのですが、私には水ブドウに飽きるという感覚が理解出来ないので、ただただ人気の無さを見せつけられている感覚です。
「ふむ、こちらはもう少しですね」
水ブドウは非常に水分量が多いので干し状態にするのに時間がかかります。
天気の恵まれ方によりますが、だいたい一月ほどでしょうか?完成品は水にさらさない限りは1年以上保ちます。
こうして食料を長期保存可能にするというのも人間の強みなのでしょう。
繁殖における最大の壁となる食料問題を、ある程度解決出来るというのは非常に大きいです。
繁殖だけでなく、活動範囲を広げるのにも一役買っていて、初めて食料加工を知った時は衝撃のあまりに後退りをしたのを未だに覚えています。
「ふむ......」
せっかくですし、椅子を持ち出して外で読書としましょうか。
子ども達も水ブドウも見れますし、陽気の心地良さも追加されますからね。
「........ああ」
これは、実に贅沢ですね。
いつもの忙しさも嫌いではありませんが、こうした落ち着きが私には性に合っています。
少し、洞窟の水滴の音や湿気が懐かしくなってきましたね。子ども達が帰ったらサウナに出かけるとしましょうか。




