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嘘と信仰

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

今日も今日とて冒険者ギルドで......おや?


「あ、来たわ。ティファレトさん、彼を何とかしてくれないかしら?」


建物に入った途端、困り顔のミリアーネさんが私の手を取って引っ張りました。


「こんにちは、ミリアーネさん。彼、ですか?」


「あの人よ」


ミリアーネさんの指差す方向を見るとそこには。


「良いですか?神は全てを愛しているのです!それなのに多くの殺生を貴方達はしている!このままではいずれ罰が降るでしょう!赦されるためには....」


太った男性が大袈裟に身振り手振りをして演説をしていました。

周りの冒険者は厄介そうに見ています。


「彼は?」


「北のムーンドルドから来たらしくて、高額なガラクタを皆に売りつけようとしてるのよ」


「逮捕すれば良いのでは?」


「十中八九、詐欺なんでしょうけど、神の罰と言われると私も含めて尻込みしてしまって......ほら、貴女を知っているから」


「なるほど」


信徒が身近にいるがゆえに神の実在を知っていて、下手に手出しが出来なくなってしまったと。


「では、真偽を確かめるとしましょう」


「助かるわ」


私は人を避けつつ、太った男性の前へと立ちます。


「お?ティファレトが来てくれたか!」


「俺等じゃ分かんねぇからな、助かるぜ」


「おや?貴女は?」


「こんにちは、私はティファレトです」


「私はトゥルーダスと申します。貴女は神を信じていますか?」


「はい」


神の事ならば3日間は休まず語る事が出来ます。止めろ?はい、すみません。


「ならば話は早い!貴女なら冒険者による殺生に神が怒りを覚えるのも理解出来るはず!その怒りの矛先にならぬよう、これらを身に着ける事の必要性もね」


男性が何に使えるか分からないガラクタを見せながら言いますが、私には全く理解が出来ません。


「理解出来ません」


「........は?」


「神が生物の殺し合いに怒りを覚える理由も、怒りを私達が避ける必要性も理解出来ません」


「な!?」


「仮に神が怒りを私達に向けているならば、一身に受けるべきです」


「ひぇ.......」


「本物は言う事が違うわ」


「ティファレトだけにしてくれ......」


「い、いや、しかし、神は怒りを覚えて.....」


「誓えますか?」


「え?」


「神が怒りを覚えていると、神の声が聴こえていると、神に誓えますか?」


神?生物同士の殺し合いに怒りを覚えますか?循環の一種に過ぎない?はい。


「そ、それは......」


「誓えませんか?」


「あいつ、えらい汗だぞ......」


「誓え......ません!無理だ!私には誓えない!」


「では、全てが嘘だと?」


「は、はい!お願いします!助け.....ぎゃああああ!」


だそうですよ?神?


「うお!?何だ何だ!」


「頭抱えて転げ回ってるな......」


「神の意志を騙った事を認めたので直接頭を締められています」


「なるほど.....ちなみに、誓ってたらどうなってたんだ?」


「誓ったうえで神の意志を騙っているので、頭が破裂して死にます」


「おっかねぇ......」


「やっぱ信徒はなろうとしてなるもんじゃねぇわ」


神の声が聴けるのですよ?なれるならなるべきです。


「完全に詐欺が確定したわね。ロールさん、衛兵を呼んで頂戴」


「はい。本物じゃなくて良かったです」


「本当ね。ありがとう、ティファレトさん。助かったわ」


「信徒かどうかは神に誓えるか否かです。信徒は保身の為の嘘がつけないので」


神は嘘が嫌いですからね。


「なるほど....覚えておくわね。お礼は今度させてもらうわ」


「はい」


思わぬ時間をとったので、今日は街中で完結する依頼にしましょうか。

あら、診療所のお手伝いがありますね。これにしましょう。


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