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誰もが避ける嫌な依頼

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。


「........」


今私は、人の頭ぐらい、つまりは水ブドウぐらいの大きさの硬い実をひたすらに上下左右に振っています。


「それが終わったら依頼は終了です。ですが、もし、あと2つもやってくれた場合は依頼料を上乗せ致します」


「やりましょう」


今回の依頼は第三王子殿下からの依頼でして、その内容はシオジルの実から出来る塩の精製です。

【シオジルの実】

サンレイン王国南のアダン砂漠に生息する植物の実で、その特徴は中に液体状の塩が入っていて振れば振るほどに塩が固まっていく事です。

最高級の塩と知られたシオジル塩ですが、振る事による精製は中々に大変です。

重く、妙に滑りやすく、振り始めてから振るのを止めると何故かそれ以上は固まらなくなる、といった具合で基本的に1つの実から精製される量は極僅か。

体温にも反応しているらしく、水車でも精製は無理なのだとか。


「........」


手の皮がめくれてきましたが、あと2つは大丈夫でしょう。

それなりに高い依頼料が相場となる依頼ですが、第三王子殿下は私を名指しでかつ依頼料も相場より高くしていました。

誰もが避ける依頼を私に名指しする理由はよく分かりませんが、私としては命の危険も無く稼げるので嬉しい依頼です。

ちなみに、何故誰もが避けるのかというと、手の皮が確実にめくれる上にシオジルの実は振るほどに強烈な臭気を放つからです。

例えるならば、腐った水と排泄物が混ざったような臭い。そんな臭いが確実に手に染み付くのです。

ですが私は信徒。事前に芳香〈おとない〉を発現させていればこの通り。


「........」


「わ、私は別室で待機していますので」


周りには臭気が立ち込めますが、私の手や体からは神からの恩寵によるミルク臭を発しており、これで私の体に臭いが染み付く事はありません。


「ふむ、あと1つですね」


中の液が固まって塩になるほどにシオジルの実は重くなり、どんどんと腕が疲れていきます。

とはいえ、依頼分は終わり、残りは上乗せ分のあと1つ。頑張りましょう。


「なんと......全ての実がズッシリと重い!実に素晴らしい!殿下もお喜びになるでしょう」


「そうですか」


「報酬は期待してください。先程は上乗せをすると言いましたが、この成果をご報告すれば恐らくは更なる上乗せもありえます。上乗せ分はまとめて後日、冒険者ギルドに送りますので確認してください」


「はい」


「それでは私はこれを届け....届け.....すみませんが、持ち運びを手伝ってくれませんか?」


「はい」


使いの人と実を運び、今回の依頼は終了です。

後日届いた依頼料は本来の4倍以上でした。

やはり、第三王子殿下は良い人です。

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