いずれ国の守護となる者(後編)
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
「お?肉も出るのか!」
「以前、ジョンがお肉屋さんと契約をしまして、定期的に出しています」
「ジードさん、それ無かったら俺達水ブドウばっかりだったんだよ」
「それは.......飽きるわな」
「水ブドウばかりは辛いですわ」
何故.......。
「おはよう〜.....うぇ!?」
起きてきたアーノルドが驚愕していますね。そういえば来ているのを伝えていませんでした。
「おはようございますアーノルド。ジードさん、彼がリバーシにおいてこの教会最強の存在です」
「ほほう」
「ジードって、え?城塞のジード?女の子もいる......」
アーノルドが固まってしまいました。少しすれば食べ始めるでしょうし大丈夫でしょう。
「うし、旨かったぜ。ありがとうよ!じゃあ、ジョン、腹ごなしと行くか」
「はい!」
食器を片付け、軽く準備運動をしてからジョンとジードさんが武器を構えて向かい合います。
「さぁ来い!」
「でやぁ!」
ジードさんの守りを崩すべく、ジョンが果敢に攻めます。
基本は上段から筋力を活かした振り下ろしをし、受けられれば滑るように軌道を変えて横振り。
私とだけ鍛錬していた頃からそうですが、ジョンはひたすらに基礎を詰めたような戦い方で、ジードさんと鍛錬してからは更にそれが顕著です。
「おっと」
「!!」
横振りからの体当たりに対し、ジードさんが盾でずらしてそのまま地面に押さえつけました。流石にまだ筋力と体格が足りませんね。
「まだまだ!」
仕切り直してもう一度。やる気に満ちていますね。
「ティファレト様」
「はい」
唐突に、一緒に見学していたジードさんの娘であるマルタさんが話かけてきました。
「もしかして、ジョン様は相当にお強いのでは?」
「鉄階級冒険者の中でも上位に通用するでしょうし、大半の新兵より強いと思います」
「まだ私とそう変わりませんのに.....」
「そうですね。10歳としては破格の強さです」
「ここから更に強くなりますの?」
「ジードさんは俺より強くなると言っていましたね」
「.......素敵」
そこからはマルタさんは食い入るようにジョンを見ていました。
何だか、マルタさんから圧を感じるのですが、気の所為でしょうか?
「よし、ここまでだ」
「はぁ.....はぁ......ありがとうございました!」
「ジョン様!」
鍛錬が終わった瞬間、マルタさんが走り寄ってジョンの汗をハンカチで拭いています。
ジョンは....緊張していますね。
ジードさんはどうしたのでしょう?顔に手を当てて見上げていますが。
「あ〜、ティファレト」
「はい」
そのまま私の方へ来て話かけてきます。どうしたのです?そんな小声で。
「もしかしたら、いや、確実にジョンは入婿になると思う」
「そうなのですか?」
「グランツ家の女は一度狙った男を離さねぇ」
「なるほど。ジョンは孤児ですが大丈夫ですか?」
「俺の養子になった後なら問題無い。どちらかと言えばジョンの気持ちが問題だ」
「ふむ、それなら大丈夫かと」
「あん?何でだ?」
「ジョンは元々、母親に捨てられているので基本的に女性が嫌いです。例外は私とアメリアぐらいでした。そんな彼が、緊張しているとはいえ嫌悪感を出していません」
「.......なるほどな」
巣立ちと共に番を見つけるとは、ジョンの才能には驚くばかりです。
「それじゃあ、準備が出来たら迎えに行くからよ。ジョンにもよろしく言ってくれ。おーい!マルタ!そろそろ帰るぞ!」
あと数年もすれば繁殖もするかもしれませんね。その時にはお肉と水ブドウを送るとしましょうか。




