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いずれ国の守護となる者(前編)

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。


「ぜぇ、はぁ、ありがとうございました!くそっ、あと少しだったのに!」


「.......はい」


いつもの朝の日課、基礎鍛錬後のジョンとの模擬戦を終えたところです。

ジードさんに師事してからというもの、ジョンは以前よりも戦闘能力の向上が著しいです。

以前は鉄階級でも通用するぐらいでしたが、今のジョンならば鉄階級でも上位に位置する戦闘能力を有しています。

今日の模擬戦でも、危うく一本を取られる所でした。

まだ10歳というのにこの実力、これは確かにジードさんを超える逸材かもしれませんね.......おや?この大声が響きそうな気配は......。


「ちょうど終わったところか?」


「ジードさん、おはようございます」


「おはようございます!」


「おう!おはようさん」


珍しく朝早くからジードさんが訪ねて来ました。おや?もう一人、女の子がいますね。


「紹介するぜ、俺の娘のマルタだ」


「マルタ・グランツと申しますわ。ティファレト様、ジョン様」


「ティファレトです」


「ジョ、ジョン、です」


艶のある黒い髪を後ろに束ねた10〜12歳ほどの女の子が見事なカーテシーで挨拶をしてきました。もちろん返します。


「大事な話があってな、中で話そう。終わったらいつも通り模擬戦といこうや」


ジードさんに促され、教会へと全員が入ります。


「まどろっこしいのは無しに単刀直入に聞こう。ジョン、俺の養子にならねぇか?」


「え?えええええ!?」


「お前の才能、兵士になる夢、それは孤児のままでいさせるには余りに惜しい。国の将来の戦力として、俺は貴族の一員としてお前を迎え入れたい。どうだ?」


「ど、どうって言われても......兵士になるのに、貴族になる意味ってなん....ですか?」


「兵士になるだけなら孤児でも構わん。だがな、人間はいずれ年を取って戦えなくなる。そんな時、立場と能力と人柄がその後を決める」


「?.....?」


「つまりだ、俺はお前に兵士だけで終わらすのは勿体無えと思ってる。いずれは国を守る将軍に育てたいんだよ」


「!?」


「ティファレト、ジョンは勉強はどうだ?」


「好きではありませんが、誰よりも励んでいますよ。暗い時間になっても蝋燭を使っています」


「うわわっ!シスター!」


「そう恥ずかしがるな、格好良いじゃねぇか」


努力を惜しむジョンの姿を私は見た事がありません。


「今のを聞いてますます迎え入れたくなったぜ。どうだ?ジョン?絶対に悪いようにはしねぇ、お前が貴族に良い感情を持って無いのも見りゃ分かる。だが、お前は兵士に収まる器じゃねぇ。銀階級冒険者である俺が保証する」


「シスター、俺......」


「どうしますか?ジョン」


孤児が誰の元に行くかを決めるのは私ではありません。

私の教会は、あくまで孤児が巣立つまでの仮の住まいです。

アメリアのように、かつての子ども達のように、最終的な判断は子ども達に任せます。


「シスター.....俺、行くよ。兵士になって、将軍になる」


「お肉の支払いは忘れないでくださいね?」


「お、おう!」


「決まりだ。これからよろしくな、ジョン」


「はい!」


そう言った後、ジードさんは私に向かって畏まりました。


「シスター、ティファレト。貴女の預かる子を貰い受け、必ず健全に育てる事をジークバルド・グランツがここに誓う」


「よろしくお願いします」


「という訳だ、マルタ。仲良くな」


「はい、お父様」


今まで発言をしなかったマルタさんが穏やかに頷いています、が、妙にジョンを見る目が鋭いですね?

敵意、は感じませんね。ですが、これは、狙っている?


「さぁーて、堅苦しい話は終わりだ!ジョン、模擬戦をするか!」


ジードさんが立ち上がりますが、その前に大事な時間が迫っています。


「その前に」


「ん?」


「朝ご飯にしましょう。ジードさんとマルタさんの分も用意します」


「ガハハハ!もうそんな時間か!ありがたく相伴に預かるぜ!」


食事は大事です。


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