銅階級同士の模擬戦
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
本日は鉄階級以下の勉強の為にと、私とレシートさんの模擬戦が行われます。
「よろしくお願いします」
「ティファレトさん、よろしく頼むぜ!」
私は小盾と棍棒、レシートさんは革の手甲ですね。
「銅階級同士の戦いか、見るの初めてだ」
「若手は特に見ておけよ!進むか留まるか、辞めるかを判断出来るぐらいには学びがあるからな」
「へっ、銅階級とやらがどんなものか......」
真剣に見ようとする人、嘲笑気分で見る人、この時点で明暗が既に分かれていますね。
さて、レシートさんとは何度か一緒にお仕事をしてますが、明らかに私より強いです。
とはいえ、私としても学びを得たいところではあるので、簡単に負けるつもりはありません。
「ルールはいつも通りだ。戦闘不能かそれに類するか、あるいは降参かだ」
「はい」
「ああ」
「では、はじめ!」
審判の合図と共に私は駆け出し、重心を欺きながら棍棒を振り下ろします。
「.......」
それをレシートさんが横に弾き、弾かれた勢いを利用して更に棍棒を横振り。
「う.......」
ですがそこを待ち構えていたとばかりに膝蹴りが腹部へ来て、咄嗟に小盾で防御しましたが、重いですね。
「せい!」
たたらを踏んだ私目掛けレシートさんが真っ直ぐに拳を突き出しますが、それを一気に股を潜る形で回避。
そのまま掬い上げる形で棍棒を横腹目掛け......。
「!!」
即座にレシートさんは姿勢を低くして足払い。
棍棒を振り切っていた私は回避する事が出来ず、背中を地面に打ちます。
「むっ!」
踏みに来たレシートさんの足を掴み、逆立ちの勢いで顎に蹴りを放ちますが引いて回避され、足を手放して姿勢を整えます。
「すげぇ」
「どんな動きしてんだよ......」
「は?.....は?」
「せいや!」
今度はレシートさんから攻めてきました。
こめかみ、脇腹、手首を狙った打撃を回避しては盾で弾き......。
「!!」
足に衝撃が来たと共に無意識に膝をつき、そのまま拳が顎へと.....。
「そこまで!」
ちゃんと寸止めしてくれましたね。
「ありがとうございました。足への打撃がまるで分かりませんでした」
「ティファレトさんも、あの股潜りは冷や汗をかいたぜ。あれはあの距離限定で見えづらい蹴りなんだ」
「ふむふむ」
急所に意識を集中させて、無力化を同時に狙う。
これは受ければ致命傷となりますね。
もっと全体に意識を配れるようにしなくてはなりません。
「全員、見たか?あれが銅階級だ。目指す者はあれを目指せ。無理だと思うなら、身の振り方を考えろ」
「お、俺、やる!銅階級になってやる!」
「無理だ......俺には無理だ」
「私......辞めよっかな」
どうやらギルドの目論見通りのようですね。
こうしてふるいにかけないと、やる気無く仕事に臨む冒険者が増えるのだとか。
「な、なぁ、ティファレトさん」
「何でしょう?」
レシートさんが緊張した様子で話かけてきました。
「今度さ、一緒に昼食はどうかな?水ブドウのメニューが多い店を見つけたんだ」
「まぁ!」
実に魅力的なお誘いです。
「もちろんです。3日後が空いているのですが、レシートさんは?」
「俺もその日空いてるな.....よし!それじゃあ、3日後に!」
「はい、よろしくお願いします」
2回目のデートですね。
それにしても、水ブドウのメニューが豊富とは、今から夢が膨らみます!




